帰る場所があるということ
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第一章
帰る場所があるということ
真喜志伊沙子は沖縄生まれだ、だが今は北海道で働いている。黒髪をショートにしていて背は一六七位ですらりとしていて小さな顔に大きな明るい目が印象的な明るい顔がある。
大学からこちらですっかり北海道にも馴染んでいるが。
「やっぱり遠いよね」
「沖縄は、ですね」
「やっぱりね」
会社の上司の経理課長の遠井伍良に言われた、大柄で太っていて眼鏡をかけた温和な顔立ちの男だ。黒髪は短くやや白いものが混じっている。
「そうだよね」
「はい、ですが」
「ですが?」
「年に一回は帰る様にしてるんで」
伊沙子は遠井に笑って話した。
「大丈夫です」
「そうなんだ」
「はい、夏には」
「夏に沖縄だと」
「その時は泳いでます」
海でというのだ。
「そうしています」
「そうなんだね」
「親は自衛隊の基地の中のお店で働いていて」
「あっちだと海自さんかな」
「はい、こっちは陸自さんですが」
「そうだね、ここの雪まつりもね」
遠井は自分達が今いる札幌の話もした。
「やっぱりね」
「自衛隊の人達が作ってくれますし」
「有り難いよ」
「そうですよね」
「そうしたところで働いているんだね」
「親は。それで年に一回はです」
それだけの割合でというのだ。
「実家に帰ってます」
「そうなんだね」
「ですが最初から北海道好きなんで」
それこそ大学生の頃からだ、伊沙子は笑顔で言った。
「いつも楽しいです、お仕事も順調ですし」
「それは何よりだよ、じゃあ今日も頑張ってね」
「そうしていきます」
遠井に笑顔で答えてだった。
伊沙子はこの日も頑張った、今札幌は冬だったが故郷にはない寒さと雪も彼女には心地よいものであり。
そうした自然も楽しみつつ札幌での生活を楽しみ。
夏には沖縄に帰った、そして実家で自分が白髪になって皺が出来た感じの母の美佐江それに痩せてやや小柄で温厚そうな白髪の初老の父の太に言った。
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