ヘタリア大帝国
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TURN52 田中の苦境その四
「そういえば平賀長官が御前のことを呼んでいたな」
「何っ、俺を?」
「行ってみるか?」
「あの長官のところにか」
「そうだ。どうするかは御前が決めればいい」
田中にこう告げて今は姿を消す東郷だった。田中は東郷の言葉を聞いてすぐに、彼らしく考えるより先に動いた、そしてだった。
平賀のところに行くと小柄な頭の上にいる久重の口からこう彼女に言われた。
「どうした暴走族」
「俺に何か用かよ」
「呼んだ覚えはないが」
平賀は久重の口から述べる。
「だから少し驚いているが」
「あの長官が言ってたんだけれどな」
「そうか。そういうことか」
「?そういうこと?何だよ」
「君に少し協力してもらいたいことがある」
平賀は田中に対して告げる。
「いいだろうか」
「何か新兵器でも開発したのかよ」
「そうだ。新兵器ではないが」
「空母ならもう実用化したよな」
「そろそろ第六世代の艦隊の建造に入る」
空母については順調だ。しかしだった。
平賀は田中に対してこうも言った。
「潜水艦の建造を考えているが」
「あのデーニッツ提督が使ってるやつだよな」
「そうだ。試作型を作ったがな」
既にそれは出来たというのだ。
「だがまだテスト航海がまだだ」
「それでかよ」
「そうだ。頼めるか?」
平賀は田中を見ているがそれでも話しているのは久重だ。猫だが相変わらず人間の言葉で話していく。
「危険も伴うが」
「へr、俺にとって危険はな」
それはどうかというと。
「望むところだからな」
「では頼む」
「ああ、それじゃあな」
「精々頑張ってくれ」
「と、津波様は申しております」
ここで久重は自分の言葉も出した。
「そういうことで。ただ田中さん」
「ああ、あんたの言葉で話してるんだな」
「そうです。最近色々悩んでおられますね」
「知ってるんだな」
「噂で聞いてます
やはり聞いていた。この猫もまた。
「それでなんですが」
「情けねえ話だよ」
「いえいえ、私としてはです」
意外と親身で言う久重だった。
「田中さんには頑張って欲しいんですよ」
「それはどうしてなんだ?」
「だって田中さん海軍長官の座を狙ってますよね」
「ああ、頭になってやる」
田中は強い声で久重に述べた。
「絶対にな」
「だからなんでうよ。ここは是非です」
久重も言う。
「あの女ったらしを押しやって下さい」
「そういえばあんたあいつは嫌いだったな」
「会えば髭引っ張ってきますから」
それで嫌いだというのだ。
「娘さんは大好きですけれどね」
「色々あるんだな、あんたも」
「ありますよ、実際」
猫には猫の事情がある。
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