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抜擢人事の裏側

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第二章

「神学がです」
「西洋の学問の大樹です」
「その神学をよく学び理解し」
 そうしてというのだ。
「そのうえで、です」
「多くの学問を修めている」
「これは真の秀才です」
「それ故にですね」
「彼はです」
 ライツヘイムはというのだ。
「二十八歳にして国立大学の教授になったのです」
「神学を非常によく理解しているので」
「そして論文も優れていて」
 そうであってというのだ。
「そしてです」
「そのうえで、ですね」
「はい」 
 まさにというのだ。
「他の分野の学問も優れているので」
「当然のことですね」
「ここまで優れていれば」
 それならというのだ。
「二十代で国立大学の教授も」
「大抜擢もですね」
「当然です」
 はっきりと言い切った。
「このことは」
「むしろそうしないとですね」
「駄目です、あの大学はいい判断をしました」
「有能な人材をその能力に相応しいポストに就けた」
「そうです、そうしなければです」
「かえっておかしいですね」
「左様です」
 こう話した、そしてだった。
 マッツ達は以後ライツヘイムについて何も言わなかった、そしてその彼はというと。
「教授、今日もですか」
「はい、出来る限りです」
 自身の研究室で自分と同じ位の年齢の助手に話した。
「学んでいきます」
「そうされますか」
「学者ですので」
 だからだというのだ。
「やはり学び」
「論文を書く」
「そうしなければならず」
「お好きなので」
「ですから」
 それ故にというのだ。
「学んでいきます」
「そうされますか」
「今日も」
 こう言って学問に励む、その姿は助手から見ても真の学者のものであった。そうして彼は抜擢に相応しい業績を残した。若い頃からそうしていったのだった。


抜擢人事の裏側   完


                     2024・10・23 
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