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金木犀の許嫁

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第三十八話 狭い道を歩いてその七

「私も思うわ」
「そうだよね」
「佐京君浮気はしないし」
 それにというのだ。
「無駄遣いもね」
「しないね」
「けれどね」
 それでもというのだ。
「お互いいい加減なら」
「織田作さんのカップルだね」
「そうだってね」  
 その様にというのだ。
「思うのよ」
「いい加減だけれど憎めない」
「人間的でね」
 そうであってというのだ。
「流れ流れても」
「最後は落ち着く」
「そんな風ね。ただ流れ流れては」
 それはというと。
「私達の場合転勤とか」
「ああ、それはね」
「就職したらね」
「わからないね」
「そうよね」
 その場合はというのだ。
「やっぱり。出来たらね」
「大阪、それに関西にいたいね」
「ええ。けれどね」
 将来はというのだ。
「どうなるかはね」
「わからないね」
「八条グループって神戸からはじまって」
「大阪にグループの企業のかなりの本社があるね」
「神戸とね。けれどね」
 そうであるがというのだ。
「全世界に展開しているから」
「世界的な企業グループだから」
「それでね」
 そうであるからだというのだ。
「だからね」
「それでだよね」
「そう、本当にね」
 そのことはというのだ。
「日本どころかね」
「他の国に行くことだってあるね」
「普通にね」
「そうなんだよね」
「行かない可能性のある国は」
 それはというと。
「それこそ北朝鮮だけよ」
「あそこは日本と国交ないし」
「八条グループとも関係ないし」
「というか仲悪いよね」
「ええ、日本の中でもね」
 それこそとだ、夜空は佐京に話した。
「特に北朝鮮嫌いよね」
「八条グループはね」
「八条新聞でも八条出版でも」
「北朝鮮を批判してるね」
「どの新聞でも雑誌でもね」
 そうした状況だというのだ。
「何でもあの国が建国されてから」
「二十世紀の中頃に」
「その頃からね」
 まさにというのだ。
「八条グループとあの国は仲悪いわ」
「そうだね」
「だから」
「あの国にだけは行かないね」
「逆に言うとあの国以外に行く可能性があるわ」
「八条グループの企業に入ったら」
「うちの学校その八条グループが経営してるしね」
 正確に言うとグループが運営している八条財団である、経営している家は八条家なので実質的に同じである。 
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