英雄伝説~黎の陽だまりと終焉を超えし英雄達~
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コネクト~レン、エレイン~
ヴァンたちは街の巡回の合間に、しばしの休憩をとることになり――――――一時的に解散してそれぞれ自由に過ごすのだった。
~イーディス~
レンが一人で紅茶を楽しんでいるとヴァンが近づいてきてレンの前の席に座った。
「裏解決屋さん、来てくれてありがとう。」
「お前さんからの依頼とはな。わざわざアニエスに内緒でとは。」
「余計な心配をかけたくなくてね。」
「本音は?」
アニエスにも内密で依頼をしてきたレンの意図をある程度察していたヴァンは若干呆れた様子でレンに訊ねた。
「裏解決屋さんと二人で解決したほうが面白そうだから。」
「面白いって…………」
レンの答えを聞いたヴァンは冷や汗をかいた後呆れた表情で溜息を吐いた。
「もちろん前者も本音だけど。」
「学校周辺で問題が起きてるとか言ってたか?」
「実は最近、うちの生徒たちの身の上を嗅ぎ回っている連中がいるみたいでね。」
「穏やかな話じゃなさそうだな。警察やギルドには相談したのか?」
レンの話の内容からすぐに危険な内容であることを察したヴァンは真剣な表情でレンに確認した。
「いいえ、今のところは。情報源がちょっと警察方面には言いにくいものだから。」
「その情報源が何かはあえて聞かないとして、嗅ぎ回ってる、ねぇ…………普通に考えりゃ誘拐の為の下調べって所か。アラミスは資産家の子供もそれなりにいる上、メンフィル帝国でも希少な異種族である天使族も留学中である事も様々な方面に知られているからな。あの学校の敷地は警備も万全だしそう簡単には行かないはずだが。」
「だけど確かに予兆はある。そして生徒たちだけで学校を離れるタイミングなら警備は及ばなくなってしまう。」
「そうか、確かアラミスはそろそろ…………」
レンの話を聞いて事情を察したヴァンは真剣な表情で呟いた。
「そう、控えている”あの行事”が唯一のネックでね。生徒だけでの校外活動になるから私が全部カバーするのは物理的に不可能。できればそれまでに完全に懸念を取り除いておきたいの。」
「…………俺が知ってる前提で話を進めてるのは気になるが、まあいい。確かに、今のうちにとっとと片付けちまったほうがいいだろうな。」
「協力してくれるかしら?」
「その前に一応確認しておくが。お前さんなら”今も隠れてお前さんを護衛している連中”に処理させるなり、お前さんの”親”を通じて”某SSS猟兵団”に処理させるなりできるんじゃねぇか?」
レンの頼みに対してヴァンは真剣な表情で周囲を見回した後レンに確認した。
「フフ、さすがね。確かに私がその気になれば”彼ら”に”別の指示”をして処理してもらうことはできるけど幾ら私でも”私的な理由”で”実家や祖国の為にならない指示”を出すような”子供じみたこと”はしないわよ。」
「あのな…………よりにもよって3年前に”その子供じみた事で俺を雇ったお前さん”がよくその俺の目の前でそんな事が言えるよな?」
ヴァンの気配察知能力に感心した後苦笑しながら答えたレンの答えを聞いて冷や汗をかいて脱力したヴァンはジト目でかつての出来事を思い返してレンに指摘した。
「あら、3年前の時も”実家や祖国の為にもなる依頼だったでしょう”?話を続けるけど”某SSS猟兵団”の件にしても、”彼ら”同様その”某SSS猟兵団”にとっては”業務外”になるのだから、予兆の段階の時点では”私的な理由”で高額なミラを用意してまでその”某SSS猟兵団”を動かしたくないのよ。」
「なら、”北”の連中はどうだ?連中がこの旧首都――――――しかもよりにもよってこの俺の事務所の近所に”拠点”を構えて活動している事を俺が知らない訳がない事もお前さんの事だから気づいているだろう?」
「”北の彼ら”が動いてくれるのはあくまで、”祖国の為”。確かに”エースキラー”の人達同様私にも”北の彼らを動かせる要請を出す権限”はあるけど、その権限を使える条件は今までの出張業務で”エースキラー”の人達や”北の彼ら”と関わったヴァンさんならとっくに気づいているでしょうけど、”とあるマフィアに関連する時のみ”よ。」
「なるほどな…………ま、ここまで話を聞いたしな。…………それに面白そうだからとか言ってたが。お前さんが俺に頼むってことは”ワケあり”なんだろう?」
レンの依頼を請ける事を決めたヴァンはレンに確認した。
「…………ええ、実はまったく心当たりがないわけでもなくてね。その意味でも貴方の手を借りたいの。もちろん、通常の依頼料とは別の”報酬”も用意しているわ。リベール王国の有名アイスクリーム屋、”ソルベ”の新作ジェラート…………王都グランセルから空輸で取り寄せさせてもらったわ。」
「某スイーツ情報誌で今話題のッ!?取り寄せの予約は1年先まで埋まってるって話だったはずじゃあ…………!!」
レンが用意した”報酬”の一部の内容を知ったヴァンは血相を変えて真剣な表情でレンに確認した。
「フフ、貴方に頼む以上はこれくらいは当然でしょう?」
「ハッ…………さすがに3年前と比べると成長しただけあって、わかってるじゃねぇか。こうなったら全力であたらせてもらうぜ…………!」
ウインクをしたレンの言葉にヴァンは不敵な笑みを浮かべて答えた。
こうしてヴァンたちはアラミス周辺の不審情報の調査を開始した。予めレンが目星をつけていたこともあり調査は順調に進み…………やがて”とある人物”と”組織”が絡んでいることを突き止めていった。
~地下鉄整備路~
「下調べは十分だな、フン、後は”視察研修”で実行するだけだ。」
人が滅多に立ち寄らない地下鉄整備路のある一角でマフィアたちの報告を聞いていたリーダー格の男は満足げな笑みを浮かべて呟いた。
「頭に言われたからアンタに人手を貸したが、本当に上手く行くんだな?」
「当然だ。僕の計画通りに進めれば、身代金がたんまりいただける!今や僕も”ドゥールファミリー”の一員だからな、このくらいの貢献はするさ。そして、ククク…………生徒が次々と誘拐なんてされれば生徒会長の管理責任が問われるはずだ。そうして地位も名誉も失ったタイミングで誘拐した生徒を餌にヤツを誘き出して、一気に――――――クハハハハハハッ!忌々しいレン・ヘイワーズめ!今こそ僕の復讐を果たさせてもらうぞ!あぁ、パパもきっと喜んでくれるに違いない!」
マフィアの確認の言葉に力強く頷いたリーダー格の男は自分の計画通りの状況を推測した後声を上げて笑い始めた。
「あら、意外と一途なのね、ロナール君。まだ私のことが忘れられないなんて。」
「それよりあのファザコンぶりにちょっと引いたんだが…………」
その時からかい気味の娘の声と呆れた様子の男の声を聞いたマフィア達が血相を変えて振り向くと扉から入ってきたヴァンとレンがマフィア達に近づいて対峙した。
「なッ、なんで、貴様が…………!!」
「やはり貴方が背後で糸を引いていたのね、ロナール・グリフィス君?」
「なるほど、俺とも間接的に因縁がある人物…………確か以前お前さんにちょっかいを出した挙句、逆に追い詰められて退学になった元同級生だっけか?」
自分達の登場に信じられない表情を浮かべている男――――――ロナールをレンは意味ありげな笑みを浮かべて確認し、レンが口にした聞き覚えのある名前を耳にしたヴァンは心当たりを思い出して納得した様子で呟いた後レンに訊ね
「ええ、記者さんを介して裏解決屋さんも情報収集を手伝ってくれたあの汚職政治家の息子。とても役に立った情報だったわ。」
訊ねられたレンは頷いて答えた後笑顔を浮かべた。
「くっ…………貴様のせいでパパは失脚して、僕たちがどれほど苦しい目にあったか…………!」
「知る訳がないでしょう、特に興味もないし。」
「つーか完全に自業自得だろうが。むしろよりにもよって怒らせたら冗談抜きでヤバ過ぎる類のコイツにちょっかい出して”その程度”で済んでいるんだから、運がいい方だろ。」
ロナールの言葉に対してレンは興味なさげな様子で切って捨て、ヴァンは呆れた表情で指摘した。
「ちょっとヴァンさん?その言い方だと、まるで私が”危険人物”のように聞こえるのだけど?」
一方ヴァンの自分の扱いが気になったレンは不服そうな様子でヴァンに指摘したが
「まるでも何も事実じゃねぇか。3年前と比べたら随分と丸くなった上”大戦”の件で世間で有名になったあのリア充シスコンハーレム剣士が率いた部隊の参謀姫として有名のようだが、未だに”裏”もそうだが”軍”方面にも”二人の姉共々昔の異名で恐れられている”とも聞いているぜ。」
「うっ…………」
苦笑しながら指摘したヴァンの言葉に反論できないのか冷や汗をかいて唸り声を上げた後気まずそうな表情を浮かべて頬をかいた。
「ぐっ…………!」
一方レン同様ヴァンの正論に反論できないロナールは自分達を無視して呑気に会話しているヴァンとレンを睨んだ。
「要するに、私に報復するための誘拐計画だったわけね。やり方が回りくどすぎないかしら?」
「大方前回お前さんに懲らしめられたのがトラウマにでもなったんだろう。だから直接狙う勇気すらなくなったってわけだ。」
「なるほどね。」
気を取り直したレンは自身が推測したロナールの目的を口にした後若干呆れた様子でロナールに指摘し、レンの疑問に対してヴァンが自身の推測で答え、ヴァンの推測を聞いたレンは納得した。
「ババ、バカにするなぁっ…………!!僕は貴様に復讐するために、”ドゥールファミリー”の一員になったんだ!長くこのカルバードに根付いた歴史のある正真正銘の凶悪マフィアだ!前回のようになると思うな!」
自分の事を好き放題言うヴァンとレンの会話を聞いたロナールは怒りの表情で声を上げた後レンを睨んだ。
「”ドゥールファミリー”…………その名前を聞くのは久しぶりだな。」
「カルバードで三番手にあたる勢力のマフィアね。以前は黒月に次ぐ二番手で、かなり勢いがあったみたいだけど…………ここ数年はアルマータに勢力を奪われ、活動もすっかり減ってしまったみたいね?」
「黙れ小娘!それとあのクソッタレのアルマータの話をするんじゃねぇ!」
「あら、アルマータにコンプレックスがあるのかしら?ごめんなさいね、気づかなくて。」
ヴァンに続くように口にした自分が知る情報を聞いた瞬間怒りの表情で声を上げたマフィアの様子を見たレンは笑顔で挑発した。
「ガキども…………ブッ殺されてぇのか!?」
「計画がバレたのは予想外だったが、そっちから来たのは好都合だ!見せてやるよ、正真正銘の闇の世界の力というものをなぁ!!」
「クス、クスクス…………」
ロナールが叫んだある言葉を聞いたレンは思わず笑顔を浮かべて笑い始めた。
「な、何がおかしい!?」
「いえ、ロナール君があまりにも可愛いことを言うものだから、つい。それじゃ裏解決屋さん、お願いしていいかしら?」
「やれやれ…………お前さんもサボるんじゃねえよ。」
レンにロナール達の制圧を頼まれたヴァンは溜息を吐いた後得物を構えてレンに声をかけ
「ええ、うちの生徒に手出しができないように、たっぷり可愛がってあげないと♪」
声をかけられたレンはザイファを取り出してアーツの駆動を開始した。
「フン、虚勢を張るのも今のうちだ――――その顔も10分後には絶望に染めてやる!」
対するロナールは勝ち誇った笑みを浮かべて宣言した後マフィア達と共にヴァンとレンとの戦闘を開始したが、全く歯が立たずロナールを含めたマフィア達はそれぞれが受けたダメージによって地面に膝をついていた。
「う、うそだ…………本物の、マフィアだぞ?1年前に雇った半グレどもとは違う…………そ、それがこんなあっさり…………」
「10分もいらなかったわね?」
自分達があっさりやられた事にロナールは信じられない表情で呟き、対するレンは余裕な様子でロナールに指摘した。
「お、思い出したぞ…………前にどこぞの下っ端が学生にボコられたとかいう…………!」
「それに隣の男は、確か最近色々と出しゃばってるアークライドなんとか…………」
「ア、アルマータとやりあったっつう噂の!?なんでそんな奴らがここにいる!?」
「冗談じゃねえ、俺達だけで敵う相手じゃねえ!」
「て、撤退するぞ――――――!!」
一方レンとヴァンの情報について思い出し、自分達では絶対に敵わない相手だと瞬時に判断したマフィア達は慌てた様子でその場から逃げ出した。
「”ドゥールファミリー”の中でも下っ端みたいだし、こんなもんか。諦めが悪い様子だったらお前さんの”本当の身分”や”異名”を教えてやって2度と手出しさせないように脅す事も考えていたが、あの様子だとその必要も無さそうだな?」
「クスクス、ヴァンさんこそ容赦ないわねぇ。”たかが二流マフィア”の下っ端相手に”私の祖国での立場”を教えるなんて、軽犯罪者の逮捕の為だけに”軍”
が直々に動くようなものなくらい、”力の差が圧倒的に離れている事”を教えるようなものよ。」
マフィア達が逃げた後納得した様子で呟いたヴァンはレンに指摘し、指摘されたレンはおかしそうに笑いながら答えた。
「ま、待て、お前たち…………」
一方ロナールが呆然とした様子で逃げ出し、その場にいないマフィア達に意味のない制止の言葉を口にしたその時レンが近づいてロナールに声をかけた。
「それでロナール君、なんて言ってたかしら?ああそうそう、闇の世界の力ね。」
ロナールに声をかけたレンはわざとらしく手を叩いて笑顔を浮かべた。
「ぅ…………ぁっ…………」
「深淵を覗いたことすらない人間がよくもそんなことを口にできるわね。それとも、今度は”本物”を味わってみる?」
「――――――」
そして意味ありげな笑みを浮かべたレンに問いかけられたロナールは目を見開いたまま気絶した。
「あら、あの時と同じ結果ね。根性があるのかないのか…………」
「まあ、ある意味あの時のやり残しだ。面倒事が片付いて何よりだぜ。」
「ありがとう、裏解決屋さん。また助けられちゃったわね。」
「ま、お前さん一人でも解決できたと思うがな。そういえば機会があれば確認しようと思っていたんだが…………やはりお前さんも”エースキラー”の一員なんだろう?」
「やっぱりヴァンさんは気づいていたのね。――――――確かにヴァンさんの予想通り私も”エースキラー”の一員よ。まあ、私には学生生活がある事も考慮されているから、他の人達と違って情報収集の仕方は相当限定したやり方だし、”余程の事態にならない限り”ヴァンさん達のように他の地方にまで”出張”することはないけどね。」
ヴァンが自分も”エースキラー”の一員であることを確信した聞き方に苦笑を浮かべたレンは静かな笑みを浮かべて答えた。
「その”余程の事態”ってのはどのレベルの出来事なのかは気になるが…………ま、とりあえず今回はお疲れだ、仔猫――――――いや、レン皇女。」
「ふふっ、あの記者さんにも伝えたけどアラミスには身分を隠して通っているのだから、普通に呼び捨てで呼んでくれて構わないわよ。――――――ヴァンさんもお疲れ様。」
その後、レンと地上に戻って報酬のジェラートを受け取り…………お勧めの紅茶でお茶会を楽しんだ後映画館を訪れると意外な人物――――――エレインを目にした。
~タイレル地区・映画館~
「お、珍しい所で会うな。」
「ヴァン…………別に、通りがかっただけよ。この辺りで依頼を受けてね。」
「そうか、てっきりサボって映画でも見るのかと思ってたが。」
「これでも忙しいの、ヒマそうな貴方と一緒にしないでちょうだい。」
ヴァンのからかいに対してエレインはジト目で反論した。
「今は休憩時間だっつの。それで、剣の乙女どのが注目してる映画ってのはいったい――――――」
「それじゃあ、私は仕事だから。」
「あ、おい…………」
ヴァンが上映している映画を確認しようとするとエレインはヴァンの制止する声を無視してその場から立ち去り、エレインが立ち去った後ヴァンはエレインが見ていた映画の説明を確認した。
カルバードでも人気の”みっしぃ”がついに映画になった!劇場版”長靴をはいたみっしぃ”、11月から公開予定!
「ハン、なるほどな。好きなら好きでいいと思うが…………ま、あいつらしいか。…………そうだな…………」
映画についての説明を確認したヴァンは苦笑した後考え込んであることを思いついた。
それからしばらくして…………
~タイレル地区~
「よっ、お疲れさん。」
エレインが街を歩いているとヴァンが声をかけた。
「いや~、今日はよく会うねぇ。」
「ふう、待ち伏せみたいな真似はやめてちょうだい。それともストーカーとして逮捕されたいのかしら?」
「頼むからそれはやめてくれ。ちょっと渡すもんがあってな。ほらよ。」
エレインの指摘に冷や汗をかいたヴァンは疲れた表情で答えた後エレインにある物を手渡した。
「!これって…………」
「来月上映予定、劇場版”長靴をはいたみっしぃ”。劇場限定のマスコットが先行販売されててな、すげえ並んだぜ?」
手渡された物を見つめて驚いているエレインにヴァンが説明をした。
「…………どうしてそうまでして…………」
「いかにも観たそうにしてたからな。」
「べ、別に…………仮にそうだとしても、貴方に何かしてもらう義理はないわ。」
「…………まあ、なんだ。あの頃の約束、結局破っちまったのを思い出してな。3年前の自称”ただの新妻”と放蕩王子の突拍子な提案で結果的にあの頃の約束を遂行する事になっちまったが、アレに関してはノーカウントだからな。」
自分の疑問に対してヴァンが気まずそうな表情で答えるとエレインは若干驚いた様子でヴァンを見つめた。
「ま、そんなモンでチャラにしようってワケじゃないが。」
「…………当然でしょう。それと、そんなモンなんて言い方はやめて。みっしぃに失礼でしょう。」
「あー、そいつは悪かったな。…………そんじゃな。」
そしてヴァンがその場から立ち去るとエレインはふと数年前の出来事を思い返した。
~数年前~
「MWL(ミシェラムワンダーランド)…………クロスベルにそんなものができるのね。これがマスコットの…………」
「戻ったぞ、エレイン――――――何を読んでいるんだ?」
「クロスベル方面のニュースか。なになに、”みっしぃ”…………?…………なんともいえねぇ顔してんな。こんなもんに興味あるのかよ?」
キンケイドと共にその場に現れたヴァンはエレインが読んでいる雑誌に写っている”みっしぃ”の写真を確認した後若干呆れた様子でエレインに訊ね
「い、いいでしょ別に!悪かったわね、見かけによらなくて!」
「フッ、相変わらず仲が良くて何よりだ。しかしクロスベルか。大陸横断鉄道で一本――――――今からバイトすれば来年あたりには二人で行けそうだな?」
ヴァンの指摘にエレインが頬を赤らめて恥ずかしそうな表情で反論している中、二人のやり取りを微笑ましそうに見守っていたキンケイドは口元に笑みを浮かべてある提案をした。
「露骨に焚き付けてんじゃねえよ。…………あー、どうする?お前がそんなに行きたいなら…………」
「ほんとっ?…………コホン、いいわよ。私をそんなに連れて行きたいなら。」
キンケイドの提案にジト目で指摘したヴァンは気まずそうな表情を浮かべながらエレインに訊ね、訊ねられたエレインは嬉しそうな表情を浮かべた後すぐに気を取り直していつもの調子で答えた。
「ほんっと可愛くねえな…………ったく。」
「お互い様でしょう?ふふっ、楽しみにしてるわね――――――」
呆れた表情で溜息を吐いたヴァンに指摘したエレインは静かな笑みを浮かべた。
~現代~
「何年経ったと思ってるんだか。…………でも、まだ覚えていてくれて、3年前の”親睦会”の件であの頃の約束を守ったとは思っていないでいてくれているのね…………」
かつての出来事を思い返したエレインは苦笑を浮かべた後僅かに嬉しそうな表情を浮かべてヴァンを思い浮かべた。
その後、ヴァンは仲間達と合流し裏解決業務を再開したのだった――――――
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