神々の塔
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第八十五話 第六天魔王その六
「ほんま如何にもかなり飲みそうで」
「酒乱やてやな」
「そんなイメージやったさかい」
「そやな、髑髏で飲んだとかな」
「そうしたお話もあったし」
「そう思うな」
「それがちゃうかったから」
全くというのだ。
「ほんまね」
「驚いたんやな」
「しかも神仏を信じてて」
彼なりの信仰心はあってというのだ、だが今で言う非科学的な物事は信じないことは確かであったらしい。
「優しくて残酷やなかった」
「人殺すのも最低限やな」
「それに奴隷も反対やったみたいやし」
「ああ、日本って奴隷おらんで」
トウェインが言ってきた。
「信長さんもな」
「発想になかったし」
「身分の考えはあってもな」
「それでも奴隷はなくて」
彼の世界観にだ。
「後の秀吉さんも幕府もやけど」
「奴隷制反対やったな」
「そうみたいやし」
「そこもちゃうな」
「まあ秀吉さんは実際それで」
奴隷制度に反対してというのだ。
「海外に売り飛ばされて奴隷になってる人等救い出したし」
「金払って身元引き受けたんやったな」
「それでかなりの人救ってるし」
「それで信長さんもやな」
「あくまで領民を治めることを考えてはって」
それも善政で以てだ。
「奴隷なんて発想にない」
「そんな人やったな」
「そやからあそこまでなれたんやね」
尾張の守護代の家の分家筋から天下人までというのだ。
「そやね」
「そうやな」
トウェインも確かにと頷いた。
「まさにな」
「そんな人やったさかい」
「天下人になれたな」
「そやね、ただ戦や政が凄いだけやなくて」
「人柄もよかったからな」
「そういうことやね」
「そういえばあの人の傍に普通にお坊さんいたしな」
「そやねん、仏教の」
綾乃はトウェインにこのことについても答えた。
「岐阜って地名もお坊さんとお話して決めたし」
「そやったな」
「仏さん信じへんかったら」
「お坊さんともお付き合いないな」
「そうやね」
「そこからもわかるな」
「信長さんの実像がね」
「そうやな」
「あと花咲か爺さんのお殿様よね」
アレンカールはこの童話のことから話した。
「織田信長さんって」
「そんなお話あるね」
「まさかのご登場ね」
「ほんまやね」
綾乃も確かにと頷いた。
「あの童話でも悪いお爺さんとお婆さんに怒っても」
「手討ちにはしてへんわね」
「そうみたいやし褒美もちゃんと取らせて」
その花咲か爺さんにだ。
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