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金木犀の許嫁

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第三十七話 織田作好みのカレーその七

「どちらもアニメにもなってるから」
「それでなんだ」
「今はね」
「メジャーになってるんだね」
「それで自由軒のカレーもね」
 こちらもというのだ。
「前以上に知られる様になったのよ」
「いいことだね」
「そうよね」
 夜空も笑って応えた。
「メジャーになったことは」
「夜空さん相当好きみたいだし」
「子供の頃お父さんとお母さんに自由軒に連れて行ってもらって」
 夜空はその時からと話した。
「その時からね」
「織田作さん好きなんだ」
「そうなの」
 実際にというのだ。
「それでね」
「いづも屋も好きで」
「夫婦善哉もでね」
 そうであってというのだ。
「織田作さん自身もね」
「好きなんだね」
「だから本当に早世が残念で」
 このことはここでも悲しい顔で話した。
「作品も読んでるの」
「そうなんだ」
「全集が昔出たそうだし」
「ああ、全集ね」
「ええ、その全集もね」
 こちらもというのだ。
「アマゾンでも何でも探して」
「買うんだ」
「お金が出来たらね」
 その時にというのだ。
「買うわ」
「そうするんだ」
「全集あるといいわよね」 
 夜空はにこりと笑って言った。
「それだけでね」
「その人の全部の作品が読めるから」
「そうでしょ、芥川や太宰だとね」
 こうした作家達ならというと。
「普通に出ていて学校の図書館でもね」
「あるね」
「もううちの図書館大きいのが幾つもあって」
 それでというのだ。
「高等部だとそれぞれの学科にあるでしょ」
「普通科でも商業科でも」
「それで総合的な大図書館もあるし」
「そこに芥川や太宰の全集もあるね」
「ええ、他の多くの作家さんのもね」
「織田作さんはあるのかな」
「あるらしいから今度行くわ」
 その大図書館にというのだ。
「それで読んでみるわ。けれど私自身もね」
「全集欲しいんだ」
「ええ、だからね」
 そう考えているからだというのだ。
「それでね」
「買うんだね」
「お金が出来て」
 そうしてというのだ。
「機会があったらね」
「アマゾンでも買うんだ」
「アマゾンって凄いわよ」 
 夜空は佐京に目を輝かせて話した。
「それこそどんな本でもね」
「あるから」
「通販でね」
 それでというのだ。 
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