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神々の塔

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第八十四話 三つの世界の主神達その十三

「うち等は」
「そんなものか」
「そうしたことも興味はありますけれど」
「酒に馳走に風呂の方がいいか」
「そうです」
「健全と言うべきか」
 ハーデスは綾乃の返答を聞いて述べた。
「それは」
「そうですか」
「うむ」 
 まさにというのだ。
「その考えはな」
「健全ですか」
「我等より遥かにな、流石に今はとてもな」
「そうしたことはされへんですね」
「神霊の誇りに賭けてな」
 こう言うのだった。
「そうしたことはしない」
「絶対に」
「ギリシアの神霊達もな」
「節度がありますか」
「遵法精神そして理性もな」
 そうしたものもというのだ。
「全てだ」
「備えてはりますか」
「そうだ、流石に欲の赴くまま動くのはな」
 神話の物語の様にというのだ。
「流石にだ」
「あらへんですね」
「とてもな」
「わしはよく言われるが」 
 ゼウスが苦笑いで言ってきた。
「今はな」
「そうしたことはですね」
「決してだ」
 誓う言葉であった。
「せぬ」
「左様ですね」
「今は妻だけでな」
 浮気はせずというのだ。
「人と世界を見守っておる」
「天空を司られて」
「そのうえでな」
「この塔にも来られてますか」
「そうだ、だからそなた達にもな」
「声をかけないですか」
「そうする、変身してだ」
 そうもしてというのだ。
「迫ることもな」
「されへんですか」
「神話ではよくやったが」
 しかしというのだ。
「今はな」
「されへんで」
「そしてだ」
 そのうえでというのだ。
「オリンポスに帰ればな」
「ヘラ女神とですか」
「飲んで食べる」
 そうするというのだ。
「そして楽しい時を過ごすからな」
「そやからですか」
「機会があればまた会おう」
「わかりました、ほな」
「健闘を祈る」
 これからもとだ、こう話してだった。
 一行はゼウス達と別れ宿屋に入り休んでから上の階に進んだ。そうして踏破にさらに近付くのであった。


第八十四話   完


                  2024・8・1 
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