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金木犀の許嫁

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第三十七話 織田作好みのカレーその四

「船の行き来が多かったから」
「船場っていうんだね」
「そうなの、難波もね」
「ここもなんだ」
「地名に由来があるの」
「そうだったんだ」
「難波は昔ここが葱畑だったから」
 だからだというのだ。
「難波なのよ」
「葱ってなんばっていうから」
「それでなのよ」
「だから難波なんだ」
「そうなの。他に天下茶屋もね」
 西成区のこの場所もというのだ。
「豊臣出良さんが行って」
「あの人がなんだ」
「お茶をいただいてね」
「天下の茶屋って言ったのかな」
「そう、それでね」
 それからというのだ。
「天下茶屋になったの」
「そうだったんだ」
「そうなのよ、福島区もね」
 この区の話もした。
「福島正則さんのお屋敷があったから」
「だから福島区なんだ」
「そうなの」
「大阪の地名って色々由来があるんだ」
「そう。あと橋とか川とか堀の地名が多いのは」
「それは俺もわかるよ」
 佐京は笑顔で応えた。
「大阪は水の都で」
「そう、川や堀が多くて」
「それで橋も多くて」
「地名になっているんだね」
「そう、だから」 
 それでというのだ。
「川や堀や橋の地名が多いの」
「そうだね、道頓堀だってね」
「堀だし」
「大阪は八百八橋だったのよ」
「そこまで橋が多かったんだ」
「そうしたこと私母方の親戚の人に教えてもらったの」
 そうだったというのだ。
「その人そうしたことに詳しかったから」
「そうだったんだ」
「図書館で働いていたから」
 だからだというのだ。
「それでね」
「大阪の地名とかにも詳しかったんだ」
「大阪の歴史にね」
「図書館にいたから」
「それで私もお姉ちゃんも教えてもらったの」
 そうだったというのだ。
「こうしたことをね」
「成程ね」
「それでね」
 夜空はさらに話した。
「昔は住吉大社のすぐ傍が海だったことも」
「ああ、埋め立てて」
「昔はね」
「あの辺りまで海だったんだ」
「あの神社が素戔嗚尊を祀っているからね」
「あの神様海の神様で」
「そう、それでね」
 そうであってというのだ。
「海が傍にあったこともね」
「覚えておくよ」
「そうしてね。大阪って何かとあるから」
「そこまで知らなかったよ。神戸にいると」
「やっぱりあまり知らないわね」
「ご先祖様はおられたけれど」
 猿飛佐助はというのだ。 
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