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八条学園騒動記

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第七百七十話 最強の戦士その十二

「モンゴルの中でもよ」
「略奪しないのね」
「泥棒はいるわよ」
 そうした犯罪者はというのだ。
「けれど泥棒は犯罪でしょ」
「モンゴルでもよね」
「泥棒が犯罪じゃないのは」 
 それはというと。
「流石にね」
「ないわね」
「今はね」
「そうよ、ただね」
 ナンはこうも言った。
「昔は略奪もね」
「してたのね」
「普通に」
「ものがないと」
 そうなると、というのだ。
「本当にね」
「略奪してなのね」
「生きていたのね」
「周りの国からね」
「ワイルドね」
「略奪が普通って」
「だから草原は何もないから」
 そうした場所だからだというのだ。
「家畜が寒かったりして大勢死んだらね」
「生きていけないから」
「他の国を略奪して」
「それで生きていたのね」
「昔のモンゴル人は」
「そうだったのよ」
 これがというのだ。
「本当にね、けれど今はね」
「豊かになって」
「家畜も昔みたいに死なないから」
「気候に左右されにくくなって」
「穏やかに暮らせるから」
「草原でもね」
 遊牧民の生活の中でもというのだ、ナンは自分が暮らしていたその草原のことを思い出しながら二人に話した。
「そうよ、ただね」
「ただ?」
「ただっていうと?」
「略奪はあくまで組織としてやってたから」
 モンゴルではというのだ。
「産業としてね、泥棒はね」
「昔のモンゴルでもなのね」
「犯罪だったのね」
「そうよ、ちゃんとね」
 そこはというのだ。
「決まっていたから」
「法律で」
「そうなっていたのね」
「まあそれはね」
「当然よね」
「スパルタとは違うから」
 この国とはというのだ。
「そこはね」
「ああ、あそこはね」
 アロアは羊のすね肉を齧りつつ言った。
「泥棒したらね」
「見付からなかったらよかったのよね」
「そうよね、奴隷を殺してもね」
「それが試験だったのよね」
「とんでもない国ね」
「そりゃエウロパだしね」
 ナンは蔑んだ声で述べた。
「だからね」
「奴隷に人権はなくて」
「殺しても何してもね」
 連合でのエウロパ観を話した。 
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