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同志諸君に告げる。これが理不尽だ!

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第29話

 
前書き
サイト管理者です。第29話「ミドガルドギルドの日」になります。
どうぞ、ご覧ください。
*はナレーションの声です。 

 
 -ーーミドガルド本部 イラム星-ーー

 今日はミドガルドギルドにとって重要で、そして記念すべき日となる。

 本部が置かれているこのイラム星では、飾り付けや式典の準備などで慌ただしい。

 『今日はギルド長が、ミドガルドギルドを創設した記念すべき日です』

 WSO世界にてミドガルドギルド創設宣言が行われ、創設された日。

 【リアル世界】より転移した日が今日で26年が経った理由もあり、式典は計画され今日に至る。

 式典計画は半ば強制されている面もあるが、もの凄い盛況さだ。

 『ーーー今日という日に想いを馳せましょう。ーーーーー』
 
 だがその式典が行われているのには、もう一つの理由があった…。


 

 -ーー某惑星 天の川銀河方面 艦隊旗艦エターナルストーム級Ⅱ型〈シエラ〉-ーー

 アンドロメダ銀河外縁部にある某惑星の軌道上には、数百隻以上のミドガルド艦が集結していた。

 CAS066ミスキ級Ⅱ型重巡洋艦やAC721級スサナー級Ⅱ型(ミサイル型含む)、クワオアー級改、ツンドラ級戦術Ⅱ型にセレス級軽空母Ⅱ型などの主力艦が、通常空間に続々と出現して来ている。

 「第二十四機動艦隊が到着。第十五、第十六、第二十機動艦隊も同様に到着」

 「アイリス将軍とガイエンブルク級移動要塞、ならびにガイエスブルク級機動要塞が間も無くワープアウト、第七艦隊もです」

 「…そう」

 長い黒髪が特徴的の女性司令官シエラ将軍は、副官と共にブリッジにあがり正面へと目線を見据えた次の瞬間、アイリス率いるミドガルド第七艦隊が、通常空間に出現した。

 ミドガルドギルドの威信を示したガイエンブルク要塞のその周囲を護衛するかのように、戦闘衛星シリーズの一部である3つのガイエスブルク要塞が展開。

 ガイエンブルク要塞も戦闘衛星の部類に入るが、ガイエンブルク要塞と比較して、ガイエスブルク要塞は最小だ。

 しかし、だ。それでも戦闘艦と比較すればガイエスブルク要塞は大き過ぎる。
 通常の戦闘艦艇のみで構成された艦隊では、難しすぎるどころか対処など果たして出来ようか?

 ブリッジからその姿を見るだけでも鳥肌が立ち冷汗が出るのは、決して気の所為ではない。

 その反面もし自分がこれと戦う事になったらと思うと、背筋がゾッとするどころか、冷汗がダラダラに出てまくること間違いなし。

 僚艦を潜り抜け、ガイエスブルク要塞を潜り抜け、砲火を躱し、戦闘機の軍集団を突破し、スターダスト計画の一部であるガイエンブルク要塞を撃破することが、果たして可能なのであろうか?

 否、不可能である。
 
 昔、WSO世界の【大戦】では出来たとしても今は違う。

 再びミドガルドギルドは進化した。

 昔のように、むざむざと破れるような事は絶対に無い。

 その証拠に次々と主力艦がワープアウトする中、巨大なワープエフェクトが展開される。

 スターダスト計画の一部にして、戦闘衛星シリーズの頂点に君臨するアタックムーン級戦闘衛星が姿を現した。

 その数十秒もしない内に2つのガイエスブルク要塞に続く形で、エターナルストーム級Ⅱ型30隻が現宙域にワープアウトする。

 艦隊の集結を最後まで見届けるシエラには、確信があった。

 ミドガルドギルドは必ず勝利する。

 「”合図”が、本部から、出たら、直ぐに、ワープ航法、移行して」

 「はっ!」

 集結し続けるミドガルド艦隊へとシエラはデフォルトである無表情の顔をそのままにしつつも、口元は半月を描くかのように弧に歪み、静かに見つめるのだった。




 -ーーイラム星 衛星軌道上 艦隊旗艦アタックムーン級〈ツヴァイ〉-ーー

 金髪の女性オリアナ将軍は、腕を組みながら静かに見守っていた。

 「【総統】の演説の時間までは、残りどれくらいでしょうか?」

 「30分を切りました、オリアナ将軍」

 「そうですか…全艦に通達、ジャンプ隊形のまま待機してください」

 「はっ!」

 踵を返した士官を横目に、オリアナはブリッジから眼前に広がるミドガルド艦隊を見つめる。

 エターナルストーム級Ⅱ型が密集し、その隙間を埋めるようにしてAC721スサナー級Ⅱ型(派生型含む)やアークワイテンズ級クルーザー(旧名アークワイズ級フリゲート)、セレス級軽空母Ⅱ型が集まっている。

 左右の真横をチラッと見れば、ガイエンブルク要塞が二つ並んでいる。
 視界外にはオリアナが座乗するアタックムーン級の他に6つのガイエスブルク要塞が、護衛するように展開していた。

 そして、オリアナが座乗するアタックムーン級の後方には、スターダスト計画の頂点に君臨する存在が睥睨と浮かんでいる。

 まるで、WSO世界最強と名高いミドガルドギルドの軍が真に復活したような光景だ。

 だが、まだ足りない。
 追いつき、追い越さねばならない。
 歩みを止めてはならない。進みに進み、進み続けらなければ。

 すぐ先の戦いを見つめるオリアナの瞳は、鋭く睨みつけていた。

 25分の時間が経った。時間が経つ中で現在も数人の士官が下士官達に指示を出しており、艦に異常が無いか、念入りにチェックをしていた。
 
 「そろそろ【総統】の演説の時間が、ですね…」

 オリアナはブリッジのモニターを見つめながら、軽く深呼吸をする。

 【総統】である【彼女】の演説が終われば、直ちに戦場へワープしなければならない。

 負けるつもりも死ぬつもりも毛頭ないのだがやはり緊張はする。思わず強張った表情をしてしまうのは仕方がなかった。

 しばらくすると演説が始まったことが報告された。
 
 「モニターに映します」

 ブリッジのモニターに【総統】の姿が映し出された。

 誰もが固唾を飲み、見守っていた。

 演壇に立つ、【総統】。
 高身長でスラリとしモデルのよう。長いエメラルドグリーンの髪で、瞳はキリッとしたツリ目。一言で表すとエメラルドグリーン髪のクール系美女。

 ギルド長の代理人にして七大ミドガルドギルド統治者筆頭の第一席であった彼女であったが、ギルド長より【総統】という地位を与えられ就任した人物。

 実質ギルド長に次ぐナンバー2である彼女、総統は上に立ち率いる者としての威厳が、確かにあった。

 画面越しにも関わらず総統のその重圧に襲われたオリアナは、身震いしてしまう。

 総統はまだ喋ろうともしない。

 何故なら画面越しでもブリッジでも、未だに歓声が収まらないからだ。*主にプレイヤーが。

 総統は片手を上げた途端、耳を覆いたくなる程の歓声が水を打ったかようにシーンと静まり返る。
 皆一様に固唾を飲んで総統の次の一言を待っているようだった。

 『私がWSO世界にて総統に就任し、長年に渡り舵取りする立場となった。総統職はミドガルドギルドを君臨するギルド長より一任され、ギルドを代理として運営する存在だ。ーーー』

 ついに演説が始まった。

 落ち着いた声のトーンで総統は演説を続ける。

 『ーーー諸君、我ら(プレイヤー)が生まれ育ったリアル世界、地球は今まさに、ガトランティスによって滅亡の危機に晒されている』

 『ガトランティスは白色彗星に擬態した木星規模の人工天体と共に、宇宙中を駆け抜けては星々を席巻し、他文明を圧し根絶する。…次なるその対象は、我らが故郷の地球』

 まさに悲劇で、しかし真実であり現在進行系で【対象】に選ばれた地球は、ガトランティスによって滅亡の危機の中にあった。

 『ーーー地球は滅亡の渦の中へと飲み込まれ、消え去ってしまう。侵略者であるガトランティスは気にもしない。…まるで、いや、もはや荒らしだ!』

 総統の演説は嘆きから怒りに変わった。

 『何故に母なる地球がッ、荒らしであるガトランティスを前に屈辱の涙を流さなければならないのか!ふざけるな!!』

 身振り手振りを交えつつ、更には次第に熱を帯び、語気を強くする総統の演説。総統のこの姿は、感情的な一面を与え、聞く者の心を完璧に支配した。

 そして、彼女は両腕を前に大きく広げ、宣言する。

 『我々は大攻勢に転じる!ミドガルドギルドはガトランティスに対し、【対荒らし殲滅プロトコル】を発動することを、ここに宣言する!!』

 その言葉と共に、歓喜の声が広がった。

 総統とギルド長を称える声があちこちと発生し、熱気と大歓声が止まらない。

 涙を流し、喜ぶ者もいれば、雄叫びをし、戦いを待ち望む者もいた。最もクローンはハッと我へと素早く帰り、己の職務に戻った。

 遥か上空に位置するミドガルド軍にとって、総統のそれは出撃の合図だった。

 「全艦ワープ航法に移行を開始」

 オリアナが座乗するアタックムーン級のブリッジでは、座標計算が行われ始めていた。

 ガイエンブルク、ガイエスブルク要塞、主力艦なども同様だ。

 遠く離れた外縁部の某惑星に駐留していたシエラ、アイリス率いる艦隊は、既に地球がある天の川銀河へと出撃していた。

 「ドライブ正常に稼働中」

 「30秒後に全艦ワープします」

 下士官達の報告でブリッジはいっぱいだ。

 準備は整った。

 『空を見上げて欲しい!栄光あるミドガルドの大艦隊が、地球を滅亡せんとする荒らしガトランティスを駆逐する姿を!!』

 「ワープ!」

 軌道上の大艦隊は、防衛艦隊を除き、皆ワープしてゆく。

 ミドガルドギルドの大艦隊は、地球を救う為に戦場へと旅立った。


 
 〈???SIDE〉

 ???「”シナリオ”から逸脱しているが、問題はないだろう。今のところイレギュラーは○○○○○以外しか存在しない。…さて、では我はーーー」

 ーーー向かうとしよう、天の川銀河 太陽系へ。 
 

 
後書き
本作初の人物の軽め紹介 総統編

 【総統】
 ・身長180cm
 ・性別 女性
 ・名前 フォネガット ランティス
 ・年齢不詳 

 高身長であり、背中まで届くエメラルドグリーンの髪。若干幼さが残る顔立ちであるが凛々しく整った顔立ちをしている。瞳は髪と同じエメラルドグリーンでキリッとしている。そして良好なスタイル。

 一言で表すと、クール系美女。

 ギルド長の代理人にして七大ミドガルドギルド統治者筆頭の第一席であった彼女であったが、ギルド長より【総統】という地位を与えられ【総統】に就任した人物。

 実質ギルド長に次ぐナンバー2である彼女はギルド長の代理人として、ミドガルドギルドの運営と軍事全体を統括している。
 
 空席となった第一席には七大統治者に次ぐ初期メンバーを充てようと考えているようで、七大統治者に次ぐWSO初期メンバーはアイリス、テレーゼ、オリアナ、ユリア、イザベラ以下の中からとのこと。

 そんな彼女であるのだが、実は…ゴホンゴホンっ。 

 本作初の人物の軽め紹介 ミドガルド総統編 to be continued…。 
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