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同志諸君に告げる。これが理不尽だ!

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第25話

 
前書き
サイト管理者です。第25話「あ、アレが、ガトランティスの…」になります。
どうぞ、ご覧ください。
 

 
 〈オリビアNPC SIDE〉

 ――同志よ、助かったぞ。

 礼には及ばん同志。

 「エンケラドゥス守備隊の健在を確認」
 「エンケラドゥス守備隊残存艦、退避行動に移る」

 しかし、よくもまぁ、守備隊をボッコボコにしてくれたな。ガトランティス。

 「報告、第1連合艦隊右翼ならび左翼に友軍艦隊ワープアウト。第2、3艦隊の到着を確認」
 「連合艦隊中央後方に空間跳躍反応を観測。友軍の第4、5艦隊です」

 ガトランティス、地球を滅亡させんとする存在…そのような存在は荒らしと断定せねばならない。此方としてはストレス発散出来て何よりであるが。

 それはそうと…艦隊のワープアウト光景は、とても美しい。

 ミドガルド・地球艦隊のそれは、“威風”“堂々”“圧巻”おまけに“規律”という四拍子を揃えていて、どの艦隊もが綺麗な隊列を維持している。見事なまでに足並み並の揃ったワープアウトは、威容で圧巻な様を見せつけた。

 とても美しい。本当に。

 「敵ガトランティス艦隊の某集団に変化有り。敵旗艦前列のカラクルム級60隻が、陣形を変えています」
 
 ほう、陣形を変えているのか。…ん?60隻だけで?

 戦況スクリーンとは別に投影される某集団のみをクローズアップしたディスプレイには、確かにカラクルム級60隻が慌ただしく艦列を組み直す様が見える。

 私は困惑した。何がしたいんだ。だが次の瞬間、私は悟る。

 その組まれつつある陣形が徐々に直列陣であることを察した途端、私は悟った。

 間違いない。インフェルノ・カノーネを使うつもりだ。それも自らの艦を犠牲にしての。

 もっとも…、

 「《アンドロメダ》、《アキレス》、《アルデバラン》、《アンタレス》、《アポロノーム》、重力子スプレッドを発射し、グラビティ・フィールドを展開」

 この重力子スプレッドが持つグラビティ・フィールドの前には無力だがな。

 5隻のアンドロメダ級の重力子スプレッド発射機砲身から、凝縮された波動エネルギーが青白い光弾となって発射。

 それぞれが艦隊前方に突き進み、やがて強力な閃光が放たれた。すると、青白い輝きを放つ巨大な靄の様なものが形成。これが、重力子スプレッドがもたらす特殊なフィールドこと、グラビティ・フィールド。

 計算上ではインフェルノ・カノーネを防げるばかりか、火焔直撃砲をも防ぐことが可能である代物だ。

 その証拠に…、

 「インフェルノ・カノーネ発射を確認!」
 「来ます!」
 「着弾を確認…グラビティ・フィールドでの防御成功!」

 そもそもこのインフェルノ・カノーネと火焔直撃砲の2点は、惑星を破壊する程の力は持たない為、防ぐことなど容易だ。

 インフェルノ・カノーネを防げたことで、ガトランティス旗艦に座乗する指揮官に小さくない動揺を与えたことだろう。やったね。

 「敵艦隊、我が方の射程圏内まで後20秒」
 「敵艦隊前方のリング下方より、高エネルギー反応を検知。拡散波動砲です」
 
 防げたと同時に、土星沖のリング下より青く輝く矢が現れた。拡散波動砲だ。

 拡散波動砲はカラクルム級の艦底からボディアッパーを喰らわせ、次々と粉砕していく。真っ二つに砕け折られていく。

 数秒後、土星リングから出てきたのは、水飛沫を上げるが如くアステロイドをまき散らして浮上。正体は、ドレッドノート級とAC721スサナー級Ⅱ型の集団。

 その集団は第2連合艦隊の先陣として駆けつけて来た第6艦隊だ。第6艦隊はずっとこの瞬間の為に、土星リングの中で息を潜めていたのだ。
 
 リングから現れた多数のドレッドノート級とAC721スサナー級Ⅱ型は、目の前の敵に主砲をお見舞い。爆炎を上げ、火を噴き上げるカラクルム級が続出し、撃沈してゆく。

 「第1連合艦隊後方、空間跳躍反応。第2連合艦隊の第7、第8、第9艦隊です」
 「敵艦隊、我が方の射程圏内に入りました」
 「全艦、砲撃開始!」

 到着した第2連合艦隊は、直ぐに戦列に参加した。それと同時に射程圏内に入った連合艦隊は砲撃を開始。ちなみに第9艦隊の構成は全て、我がミドガルド軍で構成されている。

 砲撃の他、前方に展開しているクワオアー級改とプロテクト級Ⅱ型の50隻は拡散バスターレーザーを発射。戦果を挙げてゆく。

 戦果を挙げているのは当然に我がミドガルド軍だけでなく、地球軍も砲撃に加えて拡散波動砲での戦果も挙げる。

 苛烈な砲撃戦を繰り広げて、しばらくすると戦果は248万隻を超えた。…こうもカラクルム級を沢山に沈めていると、弱い印象を持ってしまうな。第八浮遊大陸作戦の際は、最強オーラがとてもあったというのに…。

 …だがこの250万隻はあくまでも前座に過ぎない。本命は、白色彗星だ。

 白色彗星はガトランティスの拠点であることが判明された。で、あれば、そろそろやって来てもおかしくは無い。

 「…!中将閣下。敵艦隊より更に後方、巨大な空間跳躍反応を観測! 質量、計測不能!!」
 「白色彗星です!ワープアウトします!」

 ……来たか。

 「白色彗星、出現!」

 オペレーターが報告した直後、巨大な白色彗星が姿を現したのである。

 《ヤマト》からの報告通りだ。

 それでも圧巻の一言に尽いていて、白色彗星の超重力の影響によって土星に悪影響が出始めている。土星のリングも重力に引かれて散り散りになり始めており、いずれは土星そのものが崩壊してしまうのも時間の問題だろう。

 「白色彗星の予測進行針路は‥‥‥地球です!」

 だが此処で止めねば、荒らしガトランティスに地球を滅ぼられてしまう。それは阻止しなくてはならない。ギッタギタのボッコボコにしてくれるわ。

 「敵残存艦隊、敵旗艦を中心に後退を始めました。白色彗星に針路を譲る形です」
 「損傷の激しい艦は戦線の離脱を許可する。残る戦闘艦艇も一時後退し予定通り、プランMに移行。…バスターレーザーの一斉砲撃を以って、白色彗星に潜む敵本拠地を殲滅する! 全艦隊、マルチ隊形!」
 「了解しました、中将閣下」
 「航空隊、全機発艦せよ。艦隊防空に務め!」

 戦闘で被弾した戦闘艦が、次々と艦首を翻して離脱を始めていく。まだまだ戦闘が可能な艦は残り、白色彗星撃滅の為のプランMを実行すべく、急速反転後に白色彗星との距離を引き離し戦線を下げる。

 後退するミドガルド・地球艦隊は、予定の宙域で後退を止めると、プランMとして組まれた陣形に変換し始めていく。

 ミドガルドはミドガルドで組み、地球は地球で組んでゆく。

 「マルチ隊形展開完了」
 「各旗艦。重力子スプレッド斉射」
 「バスターレーザー発射用意!」
  
 ちなみにであるがアンドロメダ級は地球軍の他、我々ミドガルド軍も10隻保有。数は10隻であり4隻はライセンス生産で、6隻はミドガルド版である。波動砲も撃てる。

 ライセンス生産+ミドガルド版アンドロメダ級は第2連合艦隊の第9艦隊に組み込まれている。

 「白色彗星、増速!」
 「バスターレーザー充填率90%」
 「重力フィールドの収束率、安定値へ」
 「目標、白色彗星中心核。セット20の45」

 白色彗星内部の巨大人工天体の存在は、ミドガルド軍…ミドガルドギルドも知るところだ。

 故に、これを破壊する為の戦術を考案し、実証しようとしていた。9830隻分の波動砲と10000隻分のバスターレーザーを、グラビティ・フィールドへ向けて集中砲撃すると、重力の影響で波動エネルギーとエリスエネルギーは一気に集約される。

 グラビティ・フィールドに当てられると、予想もつかない超巨大エネルギー兵器として威力を発揮するのだ。これだけのエリスエネルギーと波動エネルギーを浴びて、果たして白色彗星が無傷でいられようか?

 「バスターレーザー充填率120%を突破!」
 「拡散バスターレーザーから収束バスターレーザーへ!全艦連動!」
 「カウントダウン開始!」

 だが、不安だ。

 「……10‥‥‥9‥‥‥8‥‥‥7‥‥‥」

 もし通じたら問題無い。

 「……6‥‥‥5‥‥‥4‥‥‥」
 
 もし通じなかったら…神を罵倒……ハッ! 神を罵倒するということは、同志創造主含むプレイヤーを罵ると同義!…だ、大丈夫だ。同志創造主に罵った訳では無い。だから私を捨てないで〜(懇願)。

 「発射ァッ!!」

 ビックリした!?…戦況を観察せねば。

 艦隊から放たれたバスターレーザーと波動砲は、グラビティ・フィールドに吸収されると同時に十数の巨大なバスターレーザーと波動砲の束となって、白色彗星に突き進む。

 途中で無謀にも、バスターレーザーと波動砲進行の邪魔をしていたカラクルム級13000隻を消し飛ばした。

 「バスターレーザーならびに波動砲、白色彗星に命中!」

 やがてはバスターレーザー・波動砲艦隊の一斉射は白色彗星を覆う霧を吹き飛ばすに至った。命中した途端、白色彗星に変化が。

 渦巻く白いガスが紅蓮の炎に包まれたかと思えば、巨大な火球へと変貌を始めた。その紅蓮の炎と爆発が白色彗星を包み込んでゆく。

 効果があったのか、白色彗星は止まり、単なる燃え盛った火球と成り果てたようであった。

 や、やったか!…今、フラグを建築したような気が。い、いや大丈夫…な筈だ、うん…同志中将?

 「はい、オリビア将軍。我々は白色彗星を殲滅に成功……殲滅出来たんですよね?」

 いや、そこは自信満々持って言って欲しかった。…同志中将、後退の準備を頼む。

 「そ、それは…」

 念の為だ。それに準備をするだけだ。

 「は、はっ!」

 …白色彗星はどう……消滅していない。

 寧ろ、白色ガスを纏って不透明だった内部が、鮮明になりつつあった。これまでは白色ガスが纏わりついて、彗星に擬態化していたが、そのガスのみが爆発し、中の人工物が次第に姿を見せていった。

 私は感じた。その言い知れぬ存在感と恐怖感に。

 「あれは、惑星‥‥‥」

 最初に見えたのは、火星と同等を誇る惑星。

 「〈ヤマト〉の報告通り―――ッ!!」

 それも、1つに限らず、全部で5つもの惑星が薄れつつあるガス層の中から姿を現した。白色彗星の中に5つもの惑星を内蔵していたとは驚きではあるが、驚くのはそれだけに留まらなかった。

 なんと5つの惑星の周囲に、別の影が見えて始めて来た。しかも、惑星を遥かに上回る規模の人工物であるよう。
 
 「あ、アレが……っ」

 同志中将が呟く。その呟きはこの場に集う全員を代弁するようであった。

 「ガトランティスの正体……!」

 5つもの惑星を上回る木星規模の人工天体が、姿を現したのである。

 人工天体の天辺部分には、都市か何かを思わせるビル郡らしきものが聳え立っている。中央には1つのタワーが聳え立ち、2列ある赤い目が20確認出来る。巨大戦艦の艦首のようにも見える。

 天頂部分から下方へと延びる、幾つもの縦長構造物は、まるで脚か檻のようなものだ。

 木星規模を誇るアレは漆黒色に近く、青く輝く線が多々、至るところに走っている。

 何事も無かったかの如く、ガトランティスの拠点である白色彗星は少しずつ動き出す。その針路先には土星が重なっており、土星は白色彗星の重力場と強引な接触によって、文字通り崩壊を始めていく。
 
 以降はアレを、彗星都市帝国と呼称しよう。彗星都市帝国が進むだけで土星がバラバラになっていく様子は、十分な脅威と威圧を与えているよう。実際そうなのだが。

 「オリビア将軍、後退の準備が整いました。後退しますか?」

 フフ、決まっている。後退だ!

 「はっ!…全艦隊に告げる。直ちに「中将閣下!」…いったいなんだっ?」
 「ち、地球艦隊。波動砲へのエネルギー再充填を開始ッ!」

 なんだと!? 
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