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同志諸君に告げる。これが理不尽だ!

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第21話

 
前書き
サイト管理者です。第21話「定例会議」になります。
どうぞ、ご覧ください。
 

 
 第11番惑星の衛星軌道上から超新星エネルギーを転用し、地球を破壊するガトランティス第八機動艦隊の思惑は宇宙戦艦ヤマトとオリビア将軍率いるミドガルド艦隊により、阻止された。…第11番惑星から地球までが射程圏内って、怖いな。

 「オリビア統治者。時間です。定例会議の時間が迫っております」

 おっと、もうか。では会議室に向かわねば。



 -未知領域 イラム星系 惑星イラム-

 異様とも言える光景がこの惑星イラムに包まれていた。

 月軌道外周とイラムの軌道上にはAC721スサナー級Ⅱ型やプロテクト級Ⅱ型が両方合わせて300隻以上は確実に存在している。イラム星の防衛艦隊である。その内の十数隻、ロジャー級戦艦の姿が確認出来る。

 未知の脅威がいつでもやって来ても対処出来るよう常時臨戦体制を取っているが、この日はそれ以上に重苦しい雰囲気を宇宙空間に醸し出しているのも異様とも言える要因の一つかもしれない。

 そんな中で、1隻のロジャー級戦艦と3隻のAC721スサナー級Ⅱ型、十数隻のアークワイズ級フリゲート改が通常空間にワープアウトした。

 ワープアウトしたロジャー級から1機のラムダ級T−4Aシャトルと2機のT−65Xウィング・スターファイターがハンガーベイより発進しイラム星を目指す。

 ファイターは護衛対象であるシャトルから離れず、ミドガルド本部の発着場であるプラットフォームまで送り届ける。シャトルが着陸態勢に移るとファイターはその場から離脱した。

 1機のシャトルは着陸し機体の翼を畳んだ。

 顎の部分はコックピットでありコックピット下の搭乗用ハッチがある。搭乗用ハッチが開かれ、シャトルからメガネを掛けたピンク髪の女性が現れた。歳は20代前半といったところ。

 金色の肩章が付いた光沢のある統治者専用の白い軍服を着用しており、白いマントを身に着けている。左胸には統治者の証を示す階級章がある。

 シャトルから降り立ち、その場で粛然と襟を正し終えた瞬間、ブラストゲートが開かれた。

 ピンク髪の女性から見て、十数m離れた正面のブラストゲートから3人のショックトルーパーが姿を現れ、ピンク髪の女性の前にやってきた。その内の一人、左肩に赤いポールドロンを付けているショックトルーパーが話し掛けてきた。

 「ステラ統治者。オリビア統治者がお待ちです。此方へどうぞ」

 ステラ統治者と呼ばれたピンク髪の女性ステラは頷きショックトルーパーの案内の元、ブラストゲートを潜り無言で会場である会議室へと進んでいく。

 通路をしばらく進んだ後、会場へと辿り着いた。会議室だ。

 この会議室はミドガルド本部にある数有る中の一つであるがブラストドアの両脇にショックトルーパーが警備していることから一目で此処が重要な部屋であることが伺えることだろう。

 ドアを守る2人のショックトルーパーの1人がドア脇に有る開閉ボタンを押した後、ドアが開かれる。

 「どうぞ」
 
 入室を促すショックトルーパーにステラは頷き、入室する。ステラを此処まで案内した3人のショックトルーパーは回れ右し、招かれざる者が入室して来ないようドアを警備する。

 ステラの入室と同時にドアは閉じられた。

 「遅いぞ、同志ステラ統治者」

 「悪いね、忙しくてね」

 「まぁいい、…座れ」

 入室したステラを迎えるのはオリビア統治者だ。オリビアはステラと同じく統治者専用の白い軍服を着用していた。

 オリビアはステラから見て向かい側の席に座っていた。

 他には今もステラに視線を向けている十数人の将軍…プレイヤーの姿がおり、オリビア含むプレイヤー達は円卓テーブルを囲うようにして席に座っていた。プレイヤーの中にはオリアナ、テレーゼもこの場に集っていた。

 ステラは席に座る。

 「これで全員が揃った。…では会議を始めるとしよう」

 会議が始まる。だが議題に入る前はまず近況の報告からだ。次々と近況報告がなされる中、オリアナの番がやってきた。

 「──ミドガルドがこのアンドロメダ銀河に転移してきて20年数年が経過しました。地球を発見する為にも、まずは星図を完成させ、同時に元いた時代においても未開であったアンドロメダ銀河の開拓をしてきました」

 ホロテーブルが起動され、テーブル上にアンドロメダ銀河の星図がホログラムとなって映し出される。

 「開拓は未だ途中であれど…ご覧の通り、アンドロメダ銀河の星図は完成し、星図作成中にオリビアNPCが地球の宇宙戦艦ヤマトをビーメラ4にて発見し乗艦。オリビアNPCは帰還時、地球がある天の川銀河の星図も獲得し、地球の位置を特定した私はイザベラと共に同盟を結ぶことに成功しました」

 オリアナが話している通り、開拓は終えきれていない。イラム星がある未知領域が例に当てはまるだろう。

 星図作成はオリアナが受け持っていた為、一同は労いの言葉を掛けた。次はテレーゼの番となったが今回は話すことは無いとのこと。

 最後となったステラの番となり、オリビアは彼女に尋ねた。

 「同志ステラ統治者、『スターダスト計画』の進捗状況の報告を」

 「了解」

 ステラは自身が掌り指揮するプロジェクトであるスターダスト計画について次々と話し出す。

 「──で、スターダスト計画の進捗は95%に達した。残り半月程で完成になる見込みになるよ」

 この場に集う全員から感嘆とした。始動したプロジェクトが間もなく完成となるのだから。

 「──さて、近況報告はこれで終えたな。…では今回の議題に入ろう」
 
 「…それは、ガトランティスについて、かな?」

 「そうだ、同志ステラ」

 ガトランティスと聞いて一同は張り詰めた表情をした。

 …ガトランティス。大小マゼランの覇者と名高いガミラスですら未だ何処にガトランティスの母星があるかすら掴めていない。

 そんなガトランティスはつい先日、太陽系最果ての星である第11番惑星にガトランティス艦隊が現れた。その数は合計にして250万隻。

 しかもその250万隻は全てカラクルム級で統一されており、ガトランティスはカラクルム級による円筒形砲台を作りあげ、ガミラスの人工太陽を利用して地球を破壊しようとしたというのが記憶に新しい。

 「更にテレザート星宙域でガトランティスの動きが活発化している。偵察を務める次元潜宙艦の報告によれば多数の…守備艦隊を配備していることが分かった。加えて何処から運んできたのか岩盤を使いテレザート星を物理的な封鎖が、現在進行系で行われている」

 「テレザート、か」

 『…』

 ミドガルドとしては250万隻がガトランティス全力の戦力であることを信じたい想いでいっぱいであったが…もしかしするとそれ以上の戦闘艦保有数がある可能性も、容易に捨てきることは出来なかった。

 この場に集う者達は思う。備えなければ!、と。

 「今やるべきことはガトランティスという脅威より備えることのみ。…備えなければならない」

 勿論だ、とこの場に集う全員は強く頷いた。

 やるべき備えることは4つ。

 一つ…地球に増援として艦隊を派遣する。

 一つ…デ・ブラン帝国に要請しデ・ブランに集う加盟国すべては防衛行動を1年、行うこと。中央総司令部を務めるのはデ・ブラン。

 一つ…ミドガルド本部を中心とした防衛網の強化。

 一つ…最後にテレザート星はオリビア統治者が対応する。

 以上4つ。

 最後のテレザート星の件に対し少なからず驚いた一同であるが「オリビア統治者なら」っと反対0で賛成となった。

 「…ではこれにて解散とする」

 会議の終わりを宣言する言葉を最後に会議は終了し、各々は会議室から退出していく。…だがオリビアだけは未だ席に座っていた。

 オリビアは全員が退出したことを再確認した後、間近に人が居ても聞こえないくらいの静かな声音で呟いた。

 「…まぁ、テレザート星は私どころか他の者も行かなくても問題は無いのだが。…ヤマトがそろそろテレザート星に着くし」

 そういえば、と思い出したオリビアは苦笑いをしつつ会議室を後にする。

 オリビアは退出しドアが閉まった瞬間、部屋を照らす照明が急に消えた。常時付いているのに、だ。…不調だろうか。

 部屋は暗闇に包まれる。

 ”ドサっ”

 …だが、おかしい。全員が退出した筈の部屋では音が鳴った。音の発生元はオリビアがついさっきまで座っていた席からであり、音は席に座る際に発する音のようであるがそれは間違いでは無かった。暗闇の中で溶け込んでいる為、殆ど見えないが確かに1人の人物が席に座っていたのだ。

 「…」

 いつの間にか、照明は回復し、部屋は暗闇から解放された。

 「…」

 座っている人物は漆黒のローブを総身に纏い、目深までフードを被っている為、容貌はあまり分からない。

 分かることは肌が薄い灰色で、ローブ越しでも凹凸とした部分が強調されていることがはっきりと分かることから女性であることが伺えるだろう。

 「…」

 俯き気味であった女性は顔を上げる。フードからチラっと覗かせる白い髪は揺れ、輝く黄色の双眸はドアを注視した時、またもや照明は消え去り部屋は暗闇に包まれた。

 このまま暗闇に包まれるかと思えば照明は直ぐに回復し暗闇から解放されたと同時に、ドアが開かれた。異変に気づいた警備兵であるショックトルーパー数人が入室してきたのだ。

 「照明に異常は見当たりません。キャプテン」

 「そうか、では戻るぞ」

 「「「了解」」」

 …だがそこに女性の姿は無かった。

 …それはまるで、幻影のように消え去ったかのようであった。 
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