同志諸君に告げる。これが理不尽だ!
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番外編?
デ・ブラン「我々はミドガルドを未来永劫、恐怖するだろう」
前書き
2202編の前に2199の番外編のようなものを一話を送りたいと思います。デ・ブラン編になります。どうぞ、ご覧ください。
デ・ブラン帝国は内戦の時を得て、数百年前に統一された。経済をより円滑となって国を回せ、数十年前には宇宙へと足を踏み出し、自らが住まう恒星系をも行き来が容易に出来るようになる技術力を生み出す程までに成長した。
しかしと言うべきか人間はそれだけでは満足などしなかった。むしろ、この銀河系は我々デ・ブラン帝国が相応しいとすら絶対的な確信を持った思いを、誰もが形はなんであれ認識していた。
だがそれはもはや過去の物となった。何故ならば帝国は属国となったからだ。それも侵略対象であるミドガルドに、だ。
瞬く間に侵攻艦隊は敗走に追い込まれ、半数を失った。帝国最強の矛と名高い超兵器を搭載した艦艇1隻も含まれていたに、だ。
政府首脳陣は直様、会議を開いた。
首脳陣の殆どは「帝国が負ける訳ない」や「通信妨害のせいだ、未だ侵攻艦隊は健在だ」であった。長い時間を費やした会議の結論は一先ず決まり、本国防衛艦隊を再編し集結させ、本星を背とし布陣した。
本国防衛艦隊の戦闘艦艇はどれもが500m級クラスで占められており、その中の1隻は帝国最強の矛と名高い超兵器を搭載している。
いくらミドガルドが高性能な艦艇があるとはいえ、我が帝国に及ばない。仮に侵攻艦隊が破れたにせよ、ミドガルドだって深い傷を負っているはずだ。それが政府首脳陣が出した結論であり共通認識だった。
だがそれは間違いであった。
我々は目を疑った。
本星宙域にワープアウトしたミドガルド艦隊の数は多く無い。本国防衛艦隊3000に対し、相手は200だった。200隻なら余裕だぜっと語った将兵は居る。かくいう私もそうだったし笑っていた。だがそんな我々は、ミドガルドとの絶対的な力の差を思い知らされた。
本国防衛艦隊は瞬く間に壊滅した。ミドガルド軍の円柱型のフォルムをする戦艦である2000mにも及ぶであろう長大な棒のような形状をしている艦は別格だった。たった1回の砲撃で本国防衛艦隊の一部、50隻が緑色の巨大な砲撃に飲み込まれるように消滅した。
それはもはや砲撃の域を超えており宇宙の一角に新たな太陽が出現したようでもあった。
そんな絶対的な暴力の化身ともいえる存在が120隻も居た。数分が経った頃には本国防衛艦隊は半数を失った。ミドガルドはシールドすら強力すぎた。ミドガルドの戦艦(デ・ブラン帝国は知らないが名称、エターナルストーム級)は数十隻単位の砲撃を1隻に対して、集中して繰り出したのにも関わらず効果は無かった。
ミドガルド艦隊纏めて、消し飛ばす為に超兵器であり最新でもあるデ・ブラン砲すら使用したのにも関わらず余裕に耐えたのだ。どんな方法で防御したのか分からないが赤いリングのようなものが前面に押し出されていた気がする。
本国防衛艦隊は壊滅した。
そしてその日、デ・ブラン帝国はミドガルドに対して、無条件降伏をしたと同時にミドガルドの管理下に置かれた。
だが停戦協定が締結されたとはいえ、当初は抵抗を試みなかったわけではない。隙を見て、あるいは真正面から、ミドガルドの支配を破ろうと抵抗したのだ。
しかし、その試みは全く成功しなかった。
全力で抗ったにも関わらず、いとも容易く、無力化していった。治安は皮肉にもミドガルドの管理下に置かれてから、少しずつではあるものの治安は良くはなった。だがそれでも街は、都市に住まう人々の空気は重かった…。
封鎖するかのように巨大な艦艇36隻が星を囲うようにして、衛星軌道上に駐留。本星にはミドガルド兵、不気味ともいえる存在のバトル・ドロイドに監視ドローンによって巡回されている。…まるで星から出ることは認めないと言っているように。
それは当然の起結というべきか、デモ、反乱運動が始まった。デ・ブラン人全てとはいわないものの貧困層、中間層、富裕層は一丸となってその一員となっていた。
だがその反乱運動は直様、終わりを迎えることになる。
全ての放送機関、家庭にある中継機器がミドガルドによってジャックされ、一つの映像が映し出される。放送機関は前触れも無く、ジャックされたことに衝撃を受けた同時に現場では混乱が生じていた。政府も同様に。
一体何が始まるのか、と人々は画面を食い込むように見つめる。
映像には星の大海の中を浮かんでいる緑あふれる惑星が映し出された。ーーーそこは以前、死刑囚等をミドガルドに任せた囚人惑星。何故このような映像をジャックしてまで見せる意図が人々には分からなかった。
衛星軌道上にミドガルドの戦艦(デ・ブラン帝国は知らないが名称、エターナルストーム級Ⅱ型)5隻がその宙域にワープアウトした。
刹那、輝く緑色の粒子がミドガルド各戦艦の艦首に集まりそして、光の柱ともいえる砲撃が、囚人惑星を襲った。その砲撃は一直線に惑星へと降り注ぎ……数十秒、いや数秒にも満たない内に美しい緑の星を吹き飛ばしたのだ。
そして、囚人惑星は悲鳴を上げて、白い炎と光を撒き散らしながら宇宙の屑と化した。
──あ、あぁ…!
──なん、だよ、コレ…?!
──アレが、もし、私達に向けられたら…ッ!!
映像が切り替わり、宇宙をバックに一体の人型が映し出された。
それは人間だった。腰元まで届きそうな銀髪をし、黄土色の瞳をする少女。この世のものとは思えないほどの美しさであった。
しかしその瞳は彼女の纏う全てが美しく輝いているにも関わらず、その瞳だけが氷の如き冷たさを放っていた。その冷たさは相手を嫌悪するが故のものではない。ただただ、ひたすらに無感情で機械的。人形のような瞳。
あれほど恐ろしい眼差しを、私は今でも見た事がない。家畜を……いや、もっと矮小な、意識の片隅にすら残らない何かを見るような冷たさだ。
ぷるっとした桜色の唇が蠢き、言葉を紡ぐ。鈴の鳴るような、しかし冷たく感情を感じさせない声音が放送を通じてやってくる。
『見ての通り、我々ミドガルドは惑星を破壊出来る武力を持っている。だがコレはほんの一端に過ぎない。しかし我々はあくまで、平和を望んでいるがしかし、我々に武力を行使する存在には容赦はしない。武力による交渉はお前達デ・ブラン帝国にとっても不都合な未来だ。それ故、我々はただ一つ、コレを求める』
――我々ミドガルドに対して武力干渉をしない事だ。
私は、恐ろしい。心の底から、ミドガルドが恐ろしいのだ。
きっと自分達が住まうデ・ブラン本星は文字通りの監獄と化したことだろう。ミドガルドは証明してみせたのだ。だから私は後世にこう語りたい「我々はミドガルドを未来永劫、恐怖するだろう。…だがそれでも、諦めるな」っと。
後書き
「頑張ったかいがあったというものだ。囚人惑星を爆散させて、絶対に手を出すな的なことを無事に根づけることが出来てよかった」
「エターナルストーム級を標準的主力艦に決定だな」
「まぁ、あの星に居た囚人達は別の星に引っ越ししたことは、デ・ブラン帝国には知らせないでおこう。バレたらまた、戦争がやってきそうで怖いからな」
「そういえばディビターズ級(エターナルストーム級)と”最高指導者級”、そしてガイエンブルク移動要塞が完成したのは喜ばしいことだな」
「あぁ、間違いなく最高指導者…ギルド長は喜ぶだろうな」『違いない!』
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次回からの本作主人公達と本作トルーパー(女性)達の軍服ですが変更しまして、SW世界の共和国軍の軍服になります。後、階級章。理由としては「やっぱコレだよな!」っていう割とシンプルなものですね。
ベースのデザインは銀河共和国軍の深緑色を基調とした軍服と共通ですが、オリジナルにはない飾緒と肩章(ゴールドの毛)、赤線を。下はコートのように長いタイプ。です。
本当でしたら絵のほうも描きたかったのですが残念ながら、私は絵の才能は無いようです(泣
次回2202編 始動
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