備えなければならない【未完】
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まさか、あれは…!
世界中に怪物が…ゾンビが現れた。奴等の、ゾンビの血が生きている人間の傷口に入ると虫に体中を食いちぎられる苦痛と共に死を迎える。
そして5分以内に―――ゾンビとなって蘇る。ようは噛まれることで感染し、やがては晴れてゾンビの仲間入りとなるのだ。
ちっとも嬉しくもない出来事が、自身にと待ち受けることだろう。
ゾンビは動く死体だ。強くも無ければ、素早くもない。ただ問題は―――数の多さだった。人口が密集する大都市などは一ヶ月で機能を失ってしまい、政府機能は麻痺。
ある者は最初、ゾンビを恐れたが―――やがては人間の方がゾンビよりも何倍に怖くなった。無法地帯と化した国は…代表例として日本は強盗は勿論、殺人や若い女性へのわいせつな行為などの犯罪が日常茶飯事となっていた。
生き延びた人々は何故、ゾンビが現れたかは分からない。ただ分かることは…文明は終わったという事実のみ。
そんな残酷な世界となった”バイオハザード”発生前とほとんど変わりない技術を保持し、企業としての形を保っている唯一の会社が存在していた。その名は「アンブレラ」。
二人の女性によって設立されたアンブレラ社は、とある作戦遂行の為、定めた目的地へと部隊を派遣していた。
〜〜とあるショッピングモール〜〜
このショッピングモールは規模は小さいがそれども普段は活気ある賑わいを見せていたが現在、ならず者達に占拠され住処となっていた。
「おい?此処の”元”住民の方々にはちゃ〜んとおもてなしは、出来たんだろうなぁっ?」
「へい!。それはもう、しっかりとしてありますよぉ組長!。なぁ?風魔の兄弟?」「勿論ですぜ!。兄弟!、組長!」
ならず者達とはヤクザとパンデミック騒動に生じて脱走した重い罪を犯した犯罪者の事である。モールを住処としている、このヤクザ達は日本暴力団の一つ、斎藤組だ。
「しっかし、さっきの”ゲーム”!楽しかったぜ。それとさっきのあの女…恋人の前で俺に”あんな事”されちゃってなぁ?涙流してちゃってよぉ〜。可愛い顔が台無しだったなぁ?まぁ最期は非〜常に残念であったがそれでも…へへへっ、俺好みではあるがな!」
彼等はこのモールに避難していた数少ない人達を施設内にある広場一ヶ所に集め、ゲームと称して一人また一人と逃げまとう人達を打撃武器を振り回しながら追いかけ、そして殺されてしまった。
恋人関係であり、”バイオハザード”前に結婚式を開いたばかりの新婚夫婦は最も酷いことをされたことだろう。妻を庇った夫は強引にも引き剥がされてしまい、無惨にも殺された。妻は組長以下のヤクザに”あんなこと”をされてしまい、愛しい人にしか許していないことをされたことに対して心を抉るようなショックを受け、その後、この場にいない夫を追うようにして自殺を図り、亡くなった。
避難していた人々はもうこのヤクザ達を除いて、存在していない。あるとするならばあの世へと向かってしまったか、ゾンビになったこと。
次は何をしようかっと、常人ではとても考えることなど悍ましいとさえ思えることを平気でするようになった。「このような世界となったら法を気にする必要など無い。法は死んだ。なら好きにやろうぜ」っがこの者達を動かした。
だが裏社会で生きてきたこのならず者達のそのような時間は、間もなく終わりの迎えることになる。…文字通りに。
「作戦を開始せよ。…神の御加護を」
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
「な、なんだよッ…」
バラバラバラ…(空気を切り裂く音)
そう高くない高度を飛ぶのは2機の黒塗りのオスプレイだ。モールの屋上へと到達し、その後に着陸態勢へと入った。
「なんで、こんなクソみたいな世界にオスプレイが飛んでっ…あ、アレはまさかッ」
見晴らしのよい屋上から辺りを見渡し、自分達以外の人間達がやってこないか警戒をしていた矢先に男はソレを未た瞬間に驚きと動揺を隠くことは出来ないでいた。何故ならアレは”アンブレラ”のマークが施された機であったからだ。何故?っと、男の思考はアンブレラの事で埋め尽くされるが男は、ハッとやるべきことを思い出しトランシーバーで組長に連絡しようとする。
「は、早く…(ズドンッ!)…え?」
だが、それは叶うことは無かった。
「ヘッドショット」
何故ならば男の頭に銃弾が当たり撃ち抜かれたからだ。近くからでは無く遥か遠くから…。男が自分が攻撃されたと認識した時には、膝からガクッと崩れ落ちて抗うことなど到底出来ない死を誘う睡魔にと支配され、倒れた時には息を引き取った。
『…ザーザー(ノイズ)。…おいッ…どうした!…』
屋上上空へと到達したオスプレイはV-22オスプレイを発展させた設計のティルトローター機である。機体はRAH-66のようにステルス性能を強く意識した設計である。オスプレイの改良設計の為それまでの欠陥が本機では大きく改善されており、安定した飛行性能を備えている。
空気を切り裂く音を立てながら、アンブレラの軍用機は着陸し、正面にあるコックピットから真反対にある出入口用と思われるハッチが降ろされた。
『どうした!応答し…』バキ!(壊れた音)
ハッチが降ろされたと同時にアンブレラの戦闘員達が次々と前へ掛けて行き、息を引き取ったヤクザのトランシーバーを踏み潰して、オスプレイを囲うようにして周囲を警戒しながら一時的に仮陣地のようにして場を固めた。
アンブレラ戦闘員の服装と装備は、全身黒色の戦闘服にヘルメット、真っ黒のゴーグルに顔全体に覆うようになるフェイスマスク。背中には赤文字で「アンブレラ社」と社のシンボルを刺繍されたボディーアーマー、タクティカルベスト、M4カービンが装備されている。
着陸した周囲の安全が確保されたと同時に悠々とオスプレイより出てくる者が一人居た。その人物は純白髪をしオッドアイの女性だった。他の者達と戦闘服と装備を身に着けているのは同じだがヘルメットやフェイスマスクはしていない。
「ショッピングモールに潜むアンデット共は殲滅。だが数体は捕獲しろ。ヤクザ共及び死刑囚等は出来得る限りは生け捕りだ。…使うからな」
「了解しました。ゼノビア博士」
ゼノビアは部隊長に命令を下した。部隊は二つに別れた。一つは屋上から下の階へと通じる道より突入。一つはラペリングをし、合図を受け取ったのち、窓ガラスを突き破って突入を敢行。
ゼノビアは念には念を、なのか。二重の反転ローターを内蔵した巨大なダグデットファン2基を左右に搭載した黒塗りの汎用ヘリ5機は、周囲を周回しながら警戒をし、モールの敷地内外は地上部隊により完全に包囲。一部の部隊を除いたアンブレラ部隊はシャッターが閉まっている全ての出入口へライフル、ライオネットシールドを構えながら近づいていく。部隊長の指示の元、戦闘員の一人がグレネードランチャーを使って一つの出入り口へ向けて引き金を引く。
スポ〜ン(グレネードランチャーの発射音)
──ドッゴォォォォォォン
シャッターを破壊し、吹き飛んだことを確認したと同時に部隊長以下数十名(包囲中の部隊、各出入口の歩哨に就く数名を除く)が突入を敢行。
並びにモール地下駐車場と道路はハンヴィーと及び標準装備仕様の兵達により封鎖。
「来るなぁ!来るなぁあああ!!」
「なんでアンブレラの奴等がこんなところに居るんだよ!?聞いてねぇぞッ!」
乱射乱射乱射乱射と。
ならず者達からの止まない銃弾の嵐にも、アンブレラは怯ひるむ事なく障害物を利用しながら向かって来ていた。
既にショッピングモールに入ったアンブレラは各所を次々と制圧していき、残るは2Fにある巨大な監視室に集まっている所が最後の砦であった。現在は組長以下の彼等もアンブレラと交戦していたが戦闘は直ぐに決着が着いた。
「研究所に連れて行け」
アンデッドは捕獲された数体を除いて、全て処理された。ヤクザや死刑囚等は拘束され、人を収容することに特化された輸送機へ次々に列を為して中へと歩んでいく。一部の者達は押しのいて、列から逃げ出した。その行動を見ていたゼノビアは戻るよう彼等へ促すが彼等は無視した。ゼノビアは冷笑的な笑みを以って部下に命じ、逃げた数名のならず者達を射殺させた。
「全隊員、撤収準備に移れ」
輸送機への積み込みが終わった。もう用が無いとばかりゼノビアは自身が乗ってきた軍用機に乗り込んでいき、護衛機と共に帰投した。命令を受けた隊員達は撤収準備をパッと終われせて軍用機や車両へ乗り込んでいき、帰還の途へと着いたのであった。
そのアンブレラが行っていた行動を気配を消して、隠れながら見ていた者の存在を知らずに・・・。
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