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今度こそ、成し遂げてみせる【未完】

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第14話「陽だまりに翳りなく」

 〜リディアン学園寮〜  

 ーピピピッピピピッピピピッー

 窓より照らさる心地よい日の光は今日はやって来なかった。
 アラーム音が聞こえ二段ベッドから黒髪のショートポブの少女が目を覚ました。

 「・・・」

 枕に埋めた顔をヨコにし、もう一度、顔を埋めた。少しして、彼女はベットから降りて離れて思いつめた顔をしていた。辛いことや大変なことがあってとても落ち込んでいる様子、悩んでいる様子だ。

 彼女は窓際の机にある一枚の写真の写真立てを手に取り見た。
 
 そこには幼い頃の彼女と【親友】の少女が居た。
 とても元気だった。親友の少女とは幼い頃より一緒に居た。

 朝起きて見たら元気を貰える。
 朝起きて語り会うと元気が貰える。

 でも、今日は、そんな元気な様子では無かった。
 彼女は思った。あぁ、あの時からだっと。

 ー親友が【何か】抱えていたのは分かってた。でも、なんでっ 相談に乗ってくれなかったの?私では駄目なの?私達は親友の筈でしょ?ー

 ーそうでしょう?響ー

 複雑な思いの中、少女、未来は無言で制服に着替え始める。

 そんな彼女を、ベットにヨコになって寝て居る茶髪の少女、響は目を開けて背を向けて壁際の方に向けていた。
(未来が起きたんだ)と気配で確認した。
 この少女も、心の中で悲しみにくれていた。悲しみの波に襲われ胸を痛めていた。

 彼女達の心情を映すように外は、、朝なのにも関わらず雲で暗く閉ざされ雨が強く降っていた。
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
 大粒の雨が激しい音を立てて地面を叩き、霧のように飛沫をあげる。アスファルトを殴りつけるような雨の中、誰も居ない商店街の中でクリスはノイズから逃げていた。

 「ハハハっ、やっぱ、キツイなッッ」

 クリスは自笑にも似た笑いをして言い、落ち込んだ顔つきをして辛そうに悲しみながら地面を蹴り走った。その最中、ノイズより距離を取れた彼女は路地裏へと入った。

 彼女は路地裏に隠れ、壁に背を預けて自分が何故こうなっているかの経緯と【彼女】について振り返っていた。

 〜回想中〜
 
 始めて会った時は驚いた。印象も強かった。銀髪の、まるで異世界から来たかのような雰囲気をした少女だったからだ。表情は無かったとはいわないが表情の希薄は濃くは無かった。

 だけど、あの時は心から楽しかったと言える。

 次出会った時は、迷子の兄妹の世話を仕方なくやった時の後だ。あの時は久しぶりに出会ったからか気分が高揚していたがヒルデは用事があると言っていたので少し落ち込んでいると言葉を掛けてきた。

『お前の中に迷いがあるのならば、ソレをそのままにしておくなよ。大切なのは歩み寄る努力だ』

 すべて分かっている、そう言いたげだった。アタシが悩んでいることを当てたんだ。
思わず「何が分かる!」って言いそうになったが、コレは初めて会った時に、な。まぁコレがあってか親しくなったんだけどな。それも私が一方的にな。

 フィーネから決別しようと決め勇気を絞ってフィーネの屋敷へと向かった。
でも、アイツは…フィーネは結局アタシを駒として見てなかったんだ。

 『貴女はもう用済みよ。さようなら』

 あぁ〜、悔しいな、悲しいなッ!

 何もかも奪われた私にとってフィーネは!!ーーー

 〜回想終了〜
 
 フィーネより召喚されたノイズはクリスの命を狩ろうと追いかけ今に至る。館から出る前、シンフォギアに変身した。

 クリスは路地裏にてやってくるノイズを迎い撃つ姿勢に入った。
迎い撃つ姿勢に入った次の瞬間、ノイズがやってきた。
  
 「うらぁアアッ!?」

 やってきた三体のノイズを武器を倒し最後の一体はボウガンで壁へ叩きつけ倒した。

 「はぁ、はぁ、はぁ」

 荒く不規則な息を吐くクリス。彼女は逃走の最中より満身創痍の状態、身体から悲鳴が訪れていた。強制的にシンフォギアが解かれ、元の服装へと一回の瞬きの内に戻っていった。

 「はぁ、はぁ、はぁ、うっ」

 視界が歪む。身体が浮遊感に包まれ、天地が反転する。クリスは、身体が地面へ引かれる力に抗うことが出来ず、そのまま目の前が暗転した。
 
 同時刻、制服に着替えた未来は暗い面影を漂いながら傘を差して歩いていたがその時、路地裏から大きな音がした。そこには薄く赤い服装をしたツインテールの銀髪の少女が雨の中で倒れていた。

 同時刻、響は二課司令官である弦十郎より指示があるまで待機と受けて学園に居た。

 (未来、このままなんて、私は、やだよっ)
 
 響は親友の未来の事を思いながら授業を過ごした。

◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆

 未来は銀髪の少女を雨風をしのげる場所にと移動させた。場所は【ふらわー】理由としてはお好み焼き屋ふらわーは未来と響がよく寄っているからと店主の女性とは仲が良いからだ。

 店主である女性に訳を話し二階の一室と布団を借りた。

 未来はクリスの服を脱がし、体操着を着せた。
 脱がした服は店主の厚意で洗濯に回す事が可能になった為、未来は感謝の一言を言いお願いした。

 未来は続けてクリスの世話をし見守った。

 少しして、クリスは小さなうめき声を出して目を覚ました。
 上半身を起こしたクリスはキョロキョロっと周りを見て、最後に未来を見た。
 
 「ふふ、良かった。目が覚めたのね。びしょ濡れだったから着替えさせてもらったわ」

 未来は彼女へ安心させるよう笑顔で接した。

 クリスは苛立ち、立ち上がり勝手な事をした未来にこう言った。

 「何を勝手な事をッ!…ん?」

 「はっ…かぁ///」

 未来は顔を紅潮させた。何故ならばクリスは下着を履いていなかったのだ!いやこれは未来は悪くない。そもそもクリスは路地裏で倒れた後、此処で未来に介護されていた際、未来は「びしょ濡れはアレだから」と体育の授業で使う予定だった体操着に着替えさせたが下着までは持っていなかったからだ。だからまぁ〜結果的にというかクリスも【その】違和感に気がつく訳で・・・

 「なっ!、なんでだ!」

 「あ、あっ流石に下着の替えまでは持っていなかったからッ///」

 未来程では無いが恥ずかしい思いをしたクリスは直ぐに体育座りをし布団を被り、覆った・・・顔は出ているが。

 「未来ちゃん。どう?お友達の具合は?」

 「さっき目が覚めたところです。すみません突然押しかけて部屋と布団を貸してもらって……」

 「気にしなくていいんだよ。あっ、あなたのお洋服洗濯しておいたから」

 「あ、私、手伝います」

 「ありがとう、未来ちゃん」

 クリスはこのやり取りに戸惑う。ここには無償の優しさがあふれているからだ。それともうひとつ戸惑うことが・・・「え、え?下着は??」

 その後、なんやかんやあって未来とクリスは和解と少し話が出来る仲へとなった。

 そして未来がクリスが着ていた体操着を一度脱がせて背中の汗を濡れたタオルで拭き始める。身体に残る痣が痛々しい。

 しばらく、場が静寂に支配される。
 クリスを助けてくれた少女、未来は、何も聞いてくることもなく、ただ黙々と看病を続けている。

 「何も、、聞かないんだな・・・」

 沈黙に耐えきれず、クリスの方から口を開く。

 客観的に、他人視点から見れば、大雨の中で傘を差さずに倒れてる人間なんて、怪しい以外の何者でもない。それなのに何も聞いてこようとしない。それが、何よりも不可解だとクリスは思った。
 
 「うん」

 未来は苦笑いをして手を止めず話す。疑問に思われていたことに対しての・・・

 「私は、そういうのは苦手みたい。今までの関係を壊したくなくて…なのに一番大切な物を壊してしまった」

 クリスは黙って聞いていた。今までなら自分以外の事なんて気にもしていなかったから。
 でも今は・・・

 「それって誰かと喧嘩したって事なのか?」

 クリスは素直で率直な疑問を口にした。彼女程の少女が喧嘩をするとは思っていなかったからだ。

 「うん」

 同時刻、天気は晴れとなっていた。休憩時間となった響は屋上で黄昏れていた。そこへ青髪のポニーテールをした少女、翼がやってきた。二人は座る。響は語りだす。語るのは【守りたい物】。

 「私、自分なりに覚悟を決めたつもりでした。守りたい物を守る為シンフォギアの戦士になるんだって。…でも駄目ですね〜っ。小さな事に気持ちが乱されて何も手に付きませんでした。ノイズと戦う時だって翼さんや奏さん、ヒルデさんの足手まといにも有りましたし。私、もっと強くならなきゃいけないのに、変わりたいのに…はぁ」

 「その小さな物が立花の本当に守りたい物だとしたら、今のままでもいいんじゃないかな」

 響は翼の方へと向く。翼は言った。

 「立花はきっと立花のまま強くなれる」

 「翼さん…」

 「奏のように元気付けるのは難しいものだな」

 翼は少し照れた顔をしたが励まそうと努力したのを見て響に笑顔が戻り始める。そして言う。

 「そんなことはありません、前にも此処で同じような言葉で親友に励まされたんです。それも私はまた落ち込んじゃいました。駄目ですよね〜」

 そう言った後、響は空を見上げる。表情は既に暗く無く、明るい表情へと変わり始める。

 同時刻、ふらわーにて

 クリスは自分が着ていた服が乾いたと聞き着替え、現在は終えたところであった。

 「喧嘩か〜、アタシにはよく分からない事だな」

 「友達と喧嘩したこと無いの?」

 「友達居ないんだ。地球の裏側でパパとママを殺されたアタシはずっと一人で生きてきたからな。友達どころじゃ無かったんだ」

 未来は顔を伏せた。

 「たった一人理解してくれる人もアタシを道具のように扱うばかりだった。誰もマトモに相手をしてくれなかったのさ」
 「大人はどいつもこいつもクズ揃いだ。痛いと言っても聞いてくれなかった。やめてと言っても聞いてくれなかった。アタシの話なんてこれっぽっちも聞いてくれなかったッ」

 クリスは叫びたい思いで話した。

 未来は申し訳無い気持ちになった。この一言だけで自身も悲しい思いになり、何よりもこの少女に辛い思い出を引き出してしまったことに申し訳が無かった。

 「ごめんなさい」

 未来は謝った。

 「でもな、こんなアタシの事を悩んでくれて相談に乗ってくれたヤツが居たんだ。だからと言うべきか、死にたいって思っていた自分が馬鹿らしくてな。だからっ、そいつの為にも何か恩を返すまでは死ねないって思った」

 「それに…」
 
 「そ、それに?」

 「唯一の理解者だと思ってたあの女はソイツと一緒にぶん殴ってやるって決めてんだ」

 だからっとクリスは続けて言う。

 「だからよお前、その喧嘩の相手ぶっ飛ばしちまいな。どっちが強いのかハッキリさせたらそこで試合終了だ!そして仲直り、そうだろう?」

 クリスは自信満々な顔でそう言った。

 今までの暗い雰囲気は何処に行ったのやら。だが未来は苦笑いをし、やがては口元を抑えながら笑った。それを見たクリスは釣られて笑った。暗かった雰囲気が明るくなったのだ。

 「あ、そういえば…悩んでた時に相談に乗ってくれた人が居たんだよね?その人はどんな人なの?」

 「あ?そいつの名はヒルデだ」

 「あぁー!私も知ってる!」

 その後、二人は共通の話題で盛り上がったとかならなかったとか。

 話のキリがついて、お互いに名前を言った。
 そして・・・

 ブゥ〜〜〜ゥウン ブゥ〜〜〜ゥウン

 街中に警報が鳴り響いた。


――――――――――――――――――――――――――――



 未来は気遣ってくれたクリスに感謝する。

 「優しいんだね、クリスは。私は小日向未来。もしもクリスがいいのなら…」

 未来はクリスの手を、優しく握る。

 「あっ…」

 「…私は、クリスの友達になりたい」

 未来のその言葉に、クリスは驚くが背を向けて直ぐに顔が暗くなる。

 「…アタシは、お前たちにひどいことをしたんだぞ」

 「…えっ?」

 二人の中に少しの沈黙が流れた……。
 たった今放たれたその一言には、どういう意味があるのか、未来は問おうとする。

 その時だ。ーーー窓の外から警報が鳴り響く。

 「「ッ!?」」

 未来はクリスとそして店主の女性と外に出て避難することを提案する。店主は力強く頷き、クリスは何が起こっているのか戸惑っていたが此処に居るのはまずいと判断し提案に従った。

 三人は急ぎ足で店を出た。…そして見た。

 「キャーっ!?」

 「は、早く避難所へ向かうぞッ」

 「うえぇぇぇえんッ」

 老若男女関係無く、人々は我先にと避難所がある方向へと駆けていた。

 「おい、一体何の騒ぎだ?」

 「何ってノイズが現れたのよっ?」

 クリスのこれは何事だという反応には、未来は本気で驚いてしまった。

 だが無理も無い、彼女が【あの日】より送ってきた人生は辛いことばかりであったのだから。彼女は知らないが《ノイズ》出現を知らせる警戒警報であり避難勧告の知らすものでもある。

 これを未来より知らされたクリスは苦虫を噛み殺したような表情を浮かべ手に力が入る。

 未来は避難所へ早く向かおうと店主に促して次は彼女へと促そうとするが…、

 「あ、クリスッ」「クリスちゃんッ!」
 
 未来と店主は驚いた。
 なんとクリスは避難所がある逆方向へと駆け出したのだ。

 クリス自身も驚いているがそれでも走るのを止めることは無かった。
 彼女は走る。向かうのは、ノイズが発生したであろう場所へと…。



 いつもは大勢の人々がやって来て賑わうであろうこの商店街は現在は怖いくらいに人々や賑わいが無く、有るのは乗り捨てたであろう車、逃げる際にその場に置いたであろう買い物袋(色々)。そして……逃げる事が間に合わずノイズより炭素化された人達が。

 「はっ、はっ、はっ、ふっけほっ、はっ」

 商店街を走り抜けた彼女はその場で息を整えようとするが不安定な息づかいが続く。

 「はぁはぁ、ゴホッけほっ、ふぅ。ッ!アタシの所為で関係無い奴らまでッ!?」

 悲壮な雰囲気を纏いながら、クリスは天に向かって叫び声を挙げる。

 「うわぁぁアアッ!!あっ、あっ、あうぅ」

 クリスはガクリと地面へと膝をついた。

 それと同時にクリスの目から涙が出始め涙は留まることを知らず次々と流れ出て地面へと落ちていく。

 「アタシ、アタシがしたかった、のはっこんなことじゃないッ。……けどいつだって私のやる事は……いつもいつもいつもッ!?」

 間違っていたんだ。自分がやってきたことは、平気で犯罪を犯し、平気で故郷を蹂躙する汚い大人と、何ら変わらない損座なのだと。

 「ううっ〜ああぁッ」

 両手を地面に置いて頭を垂れる。…懺悔するように。

 「(あぁ、今ならフィーネとバカ女が言っていたことは理解出来た。認めるよ、アタシのこんな方法では、結局は火種を作って新たな犠牲を出すだけだってな。アタシは罪深い女だ)」

 彼女がふと周りを見る。
 クリスはノイズたちに取り囲まれていた。
 彼女は立ち上がる。

 「アタシは此処だぞ…関係の、関係の無い奴らの所にいくんじゃねぇ!」

 ノイズに向かって睨みながら叫んだ。

 もしもこの場に、この発言を聞いている人が居たら怒るだろう。いや、殺意を向けるかもしれない。

 ーーーその口でよくもまぁ。

 ーーー大切な人を奪った癖にッ。

 ーーーどれだけの人を巻き込んだと思っているんだ。っと。

 全くもってそのとおりだ。
 だがクリスは思うのだ。
 一度行い染めた罪は簡単には消えやしないし、失ったものは帰ってこない。だけど己を責め続ける”それ”はそれ以上に『今』を生きる大勢の人を侮辱する行為に他ならない。

 それでも、だ。
 人の為に助けたい、と想う今のクリスの言葉は態度も気持ちも、嘘偽りはないのだ。

 クリスの叫びに反応したのか、増援と思われるノイズの群体も商店街を通ってやって来た。

 集結したノイズから攻撃がやって来る。

 クリスは攻撃を最低限の動きで避けながらシンフォギアを纏おうとするが、詠唱中にせき込んでしまう。
 隙が生まれてしまい絶体絶命に陥るクリス。
 空からノイズが突撃してきたが陥ることは無かった。何故ならば…【彼】がやってきたからだ。

 「ふんッ」

 そんな掛け声と共に地面を蹴りつける男。
 するとコンクリートが剥がれ壁を作り上げ、ノイズたちは即席の防御壁にぶつかっていく。突然のことに目を白黒するクリス。
 一瞬出来たその隙に男はクリスを抱えて逃げる。

 「大丈夫か?」

 高身長でガタイがよく、紅いシャツを着ているこの男は風鳴弦十郎。二課の司令官である。
 司令官とも在ろうものが何故現場にと思わるかもしれないがまぁこの男の、、言葉が出てこないな。

 クリスを抱えて建物の屋上に逃げるがすぐさま追手が来る。

 クリスは弦十郎から離れ聖詠を歌いシンフォギアに変身した。

 ギアを纏うと手にボウガンを生み出して飛行しているノイズ達を撃ち落としていく。

 クリスは弦十郎に此処は任せろと話し掛けるが弦十郎から待ったの声を貰う。

 ソレに苛立ち苛立った声で言う。

 「こいつらはアタシがまとめて相手にしてやるって言ってんだよッ」

 そう言い残すとクリスはノイズ達に向かって突貫していく。

 戦場に向かっていく彼女を見て沈んだ悲しげな表情をして思ったことを口に出した。

 「俺は…またあの子を救えないのか?」

 同時刻、響は悲鳴が聞こえた廃墟ビルへ向かっていた。

 響は声を聞きつけ、音源である廃ビルにまで駆け寄り急いだ。中は至る所にコンクリートの破片や人の手で破壊したと思われる跡などもあって様々な物が散乱していた。

 響は声を挙げて誰かいないか問いかける。その時、響の直上から【何か】の攻撃がやって来る。響は咄嗟に避け、今居る二階より下に降りようとする。

 助走をつけて走り手すりの上を足を乗っけジャンプし空中で一回転のバク転をして華麗に地面へと着地することに成功した。

 攻撃をしたで在ろう存在を確認すると大型のノイズが。形状はタコのようである。

 ノイズがすぐ近くに居ることに驚き、声を挙げようとするが言葉が口から出ない。どうやら誰かに口を手で塞がれたようだ。誰かの方へ振り向くと未来が居た。

 未来は喋らないでとジェスチャーし手を離すと、携帯を取り出した。

 どうしたんだろうと響が思っていると、未来が携帯を見せてきた。
 響は未来の顔を見る。どうやらメーセージを打ち込んでいたようだ。
 だが響は何故打ち込んでいたのか理由が分からなかったが、彼女のジェスチャーで携帯の画面を見た響は理解した。

 『静かに、あれは大きな音に反応するみたい。あれに追いかけられて、ふらわーのおばちゃんとここに逃げ込んだの』

 何故ならば、未来の後ろには倒れた店主の女性が気を失って倒れていたからだ。
 そして、未来の言い分は正解だ。
 このノイズは音に反応する。もしも音の一つや2つを出せば、如何にシンフォギアといえども、二人を庇うのは困難だ。

 響は今直ぐにでもシンフォギアを纏いたい気持ちでいっぱいであったが、出来ないでいた。
 響の悩みを感じ取ったのか未来は再びメーセージを打ち込んで画面を見せた。

 『響聞いて、私が囮になってノイズの気を引くから、その間におばちゃんを助けて』

 と書かれていた。未来は口に出さずとも覚悟を決めたと言っているように見えた響は、一瞬頭が真っ白になった。

 『元陸上部の逃げ足だから何とかなる』

 「(なんとかなるってッ、そ、そんなこと!)」

 駄目だって決まってる。未来は親友だ。危険な目に合わせたくないのに今だって危険な事に巻き込んでしまった。

 響は震えながらメーセージを打とうとするが未来は響の携帯に手を被せるように乗せた。

 彼女は響らしいと微笑んだ表情を見せる。

 「あ、ああぁ」

 気を失っている店主から、唸る声が口から漏れてしまう。
 ノイズが察知したのか触手と思われるもので探し始める。ノイズの動きに驚く二人。

 響は未来に言おうとするが未来は背中に両手を回して抱きついた。響の耳に顔を寄せて口を近づかせて言う。

 「私は響に酷いことをした。今更許して貰おうなんて思ってない。それでもっ一緒に居たい、私だって戦いたいんだッ」

 「だ、駄目だよッ」

「 (私だって未来に酷いことをしたよ。シンフォギアのことだって秘密にして、距離だって取ったんだからッ)」

 未来の言葉は続く。

 「どう思われようと関係ない。響一人に背負わせたたくないんだ」

 未来は立ち上がる。彼女の佇まいはただの少女のソレでは無く、恐怖を抑え込み友の為に立ち向かう勇敢で勇気を持った少女へとなったのだ!

 「私、もう迷わない!」

 未来はノイズを引き付けるため声を挙げながら廃墟から走って出ようとするが、彼女の居る位置を発見したのか。ノイズが未来の方に向き触手貫こうとする。
 未来はジクザグと走りながら向きを替えて避けた。

 同時に廃墟に出る事が出来たが追撃をするノイズ。

 響はノイズが廃墟から出たと同時にシンフォギアに変身し、店主を抱え廃墟から脱出し車でやってきたスーツの男、緒川に店主を託して響は未来の方へと向かう。

 響は建物の上を飛び回り空高く飛び未来を探す。
 響は廃墟で未来とのやり取りを脳裏に過る。

 『響、聞いて。私が囮になってノイズの気をひくから、その間にふらわ〜のオバちゃんを助けて』

 『駄目だよ、そんなことはさせられない!』

 『元陸上部を舐めてもらっちゃこまるよ?何とかなるよ』

 『なんとかならない!』

 『じゃあ何とかしないとね?』

 『あっ…」

 『危険なのは分かってる。だからお願いしているの。私の全部を預けられるのは響だけなんだから』

 響は自身が戦う理由を思い出していた。

 「(戦っているのは私一人じゃないんだ。シンフォギアで誰かの助けになれるなんて思っていたけどそれは思い上がりだッ。助ける私だけが一生懸命じゃない。助けれる誰かも一生懸命なんだ!)」

 『おい、死ぬなっ。生きるのを諦めるな!』

 『怪我は無いか?お前、名前は?・・・そうか、私はヒルデ。お前とお前の友人を助けた者だ』

 『私一人では難しかったが立花のおかげで人々を助けることが出来たことに礼を言う。おいっ、私に抱きつくなッ!あ、いや、そこまで落ち込まくても』

 「(本当の人助けは自分一人の力じゃ無理なんだ。今なら分かる気がする!)」

 「キャー!?」

 「(未来!)」

 山岳の道路を走る未来を発見した響。
 彼女はブースターを起動しながら、急行する。

 走る未来だが体力の限界により地面に倒れ込んでしまう。それを両手で防ぐ。
 しかし、後ろを振り向くとじわじわとやって来るノイズ。距離はもう10Mと言ったところ。

 此処で私は終わりなのかっと諦めようとしたが未来はまだまだと吠える。

 「(まだ此処で諦める訳にはいかない。まだ響と流れ星を見ていない!)」

 前に向かって走る為、足に力を入れようとした時、先のノイズが空高く飛び地面に突進する。それにより、道路は崩れ、ノイズと共に下へと落下する。

 このまま落ちてゆくと未来は目を閉じたその時、響が横から力を込めた拳で突貫しノイズを倒した。

 響は直ぐさま未来の元に行き、未来の身体を両手で支え抱きつき、半回転しギアを展開し着陸姿勢に入る。

 このままコンクリート歩道の隣にある緑がある芝生に無事に着陸、、はならなかった。

 一応着地らしいことは出来たのだが、ダイナマイトが爆発したんじゃないかってくらいの音を発しての着地の後に勢いよい過ぎて、両者はコロコロと転んだ。大体5mくらい。

 後少しで川に入ってしまうところだったが杞憂で終わったようだ。

 二人は起き上がった。響はシンフォギアから変身を解除し制服へと戻る。

 「あ、たたた」

 「痛〜い、あっ」

 「「あははは、はははっ」」

 「格好良く着地したかったな〜♪」

 「あっちこっち痛いけど生きてるっ感じがするよ」

 「ありがとう、響なら絶対に助けてくれると信じてた」

 「ありがとう、未来なら最後まで諦めないって信じてた」

 二人は褒めあい、そして称え合った。
 響は最後に友達だからっと付け加えた。

 友達と響から聞いた未来は涙を流す。それに驚き戸惑いワタワタと慌てる。

 慌てたと同時に未来は響へ抱きつき押し倒した。

 泣いた理由は怖かったっと。

 同時に距離を取っていた理由を話す未来。

 そんな未来に響の反応は、笑いである。

 「えへへへ、あはははっ」

 笑いである。
 いやちょっと失礼では無いかって思われるかもしれないが、響なりの理由があるし訳もあるのだ。

 「髪の毛ボサボサだね、土埃も付いてるし、涙でグチャグチャなのにシリアスな事言っているし」

 響も未来と同じくらいになっているのを鏡の変わりにスマホを使い記念にと笑いながら写真を撮った。

 こうして、夕日をバックに仲直りが出来た少女達であった。 
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