今度こそ、成し遂げてみせる【未完】
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第1話「転生」
白い空間。
天も地もない、ただ真っ白な空間。
その空間に、”彼女”は立っていた。
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
………
……
…
「彼奴等!よくも私を!?…ん?いつの間に…というか此処はどこだ?」
どこまでも広がるような純白の世界。
「不思議な場所だな…」
身体がなんだか軽くて無重力のように感じる。
自分はこのまま訳も分からないところにずっといるかと思うと……イライラとしてきた。
…ん?突然、目の前?の景色が変わったな。
畳が敷いてあり丸机には湯気をたつお茶とせんべいが有る。広さは六畳といったところか。
そして、目の前に置かれている丸机の向かい側には1人の女性が座っている。
ーー聞こえますか?
「…」(*頷く)
念話か!二次創作や映画にしか登場しない代物が現実に!?本当にあったとは。
…ん?この女性、天使を彷彿させる風貌だ。ということはもしや…、
「(此処はあの世、か?)」
「はい、正確には此処は【転生の間】となりますが」
私が驚いたことに気を遣ったのか彼女は口に出した。
天使あるいは神には私が考えていることはすべてお見通しなのだろうか?
一々天使とか神とか呼ぶのは大変だから以降は女神としよう。
しかし、この女神…プライバシーの欠片も無いとは。私のプライバシーを返せ。勝手にこの私の心を覗き読むな。
「本題に入っても?」
彼女は話しかけてきた。本題? 死んでしまった原因について、か?
「あぁ、良いだろう」
私は姿勢を正した。
「〇〇〇さん、貴方は日本時間の2023年6月12日18:00頃の夜、買い物を終えた帰り道にて車に轢かれ、多量出血によって亡くなりました。お悔やみ申し上げます」
そういえばあったなッ。一条財閥は私を殺さないっと誓っていたというのにッ 嘘つきだ!クソが!!
「通常は記憶をリセットし、新しい生を得る予定なのですが…」
え?リセットされるの??マジか(唖然)
おい貴様、一方的だな。
そういえばコイツ、勝手にこの私の心を覗き読んでいたよな。私のプライバシーを返せ。プライバシーの侵害だぞ。熱々のお茶をよ、顔にぶっかけるぞ!よ〜し、ぶっかけちゃうぞ〜? 1、2の…「あなたは他の者達より善行を積まれているようなのでなにか要望などがあれば」
……
…
確かに私は誰よりも善行を積んでいると自負している。女神はよく分かっているようだ。ぶっかけようとして悪かったな。よく無いよな、人様に熱々のお茶をぶっかけるのは。うんうん。
*もし他の人物が同じ席に居たら、こう突っ込むだろう。…善行?こいつが?無いなっと。
流石の神でも心の深淵までは覗けないようだ。
ー話を戻そうー
「要望、か…」
それは所謂、特典と呼ばれるアレか?
たしか不遇な結末を迎えた人の為の処置だと二次創作で見かけるがまさか有るとは。
……
…
それはつまり?
「何でも?」
「はい」
「容姿も?」
「はい」
「何個でも?」
「はい」
一条財閥様そして女神様、これからは憎んだり致しません。
しかし要望、いや特典…何にしようか?うーん、…あるな。
一つ目はとあるキャラクターと同じ容姿にしてもらうこと
カウンターサイドに登場する人物、『ヒルデ』。
ちなみにであるが現世では女性と間違えられることは良くあった。それはもう何度も何度も。
不思議なことに私は『ヒルデ』とほぼ変わらない容姿で長い銀髪であり、身体つきは女性に近い。声音もそう。
トイレを利用する際は男性トイレなんぞ行ける筈も無く、学生時代や駅等では個室トイレをいつも利用していた。
いやまぁ、個室トイレをいつも利用していた理由はある。
『さぁて、トイレトイレ…え、ちょっと○○○さん!?そっちは男子トイレだから入っちゃ駄目ですよ!!』なんて言われてしまったり。…男性と自分が言えば『またまた〜、ご冗談を〜』っと。
…このような展開が何度も何度もあった為に、私は個室トイレを利用。それに……私の心がちょっと、な。
なのでせっかくというべきか。この際、こよなく愛する『ヒルデ』になりたいっと思った。
女になったら不便になるんじゃないか?
大丈夫。というか気にしていない。たかが男から女に変わるぐらいだから。…これで女と間違えられず済むぞ…私は女になるのだからな。
二つ目は現代から近未来兵器と武器。
過剰だと思うがやはり未知の世界。用心に越したことはないだろう。
『ヒルデ』が使う武器もここに含まれる。
とはいえ、流石に全部通るとは思っていない。
『ヒルデ』が使うものは通ってもソレ以外は?
その場合は作るしかない。私はそういった知識は少ししかない。
したがって、三つ目はそういった情報をインプットしてもらおう。私の頭にな。
インプットされた知識を元に作るとしてもどうやって?そんな時に役立つのが…四つ目のドラえもんの秘密道具(全部)である。
秘密道具は色々なことが出来る。
ただのライトと見えるのが無機物、有機物関係なしに大きく小さく出来たり。
ただの電話ボックスそのものが実は自分が望む世界に出来たり。
ただの人形そのものが実は鼻を触るだけで自分とそっくりになったりと。
などなど。
これから第二の人生を歩む未知の世界で私にとって盾となり矛となり力となるからコレにした。
「ーーーが以上だ」
さて、此等の要望は通るか通らないか。
「よろしいのですか?」
「あぁ」(*頷く)
なんか意外そうな顔されているのは、何故なんだ?
「いえ、その、今までで珍しい要望だったものですから」
女神は困惑し苦笑いを浮かべつつも続けて言う。
「大抵の場合は、殆どの方は、チート級武器 チート級魔力 絶世の美少女を傍に持つ…だったりするものですから、失礼ながら貴方もそうだろうと思っていました」
むっ失礼な。
「なのでまぁ、何分と初めてのことですからこの要望、受け入れましょう」
え?通るのか。それは、驚いた。本当に。
「とはいえ流石に兵器と武器を全てというわけにはいかないので一部を除き、後は御自身で作ってください」
まぁここまでしてくれるだけでも嬉しい。あ、確認…、
「一部とはつまり…」
「はい、貴方推しのゲームキャラクラーの武器に戦術礼装に服、そして一部の兵器を初めから。後はそのゲームの…カウンターサイドの力を使えるようにしましょう。剣術は勿論、銃の技能に格闘術に異能力」
ほっ、それは良かった、流石にソレ無しだと私としては大変だからな。
「あ、戦闘をする際、戦術礼装を一々着替えるのは面倒だと思うのでコチラをどうぞ」
そういった私に渡す彼女、コレは…ヒルデが持つウォッチ?
「ただのウォッチではありませんよ。なんとそちらにあるウォッチへ意思を送るだけで直ぐに戦術礼装へと変わることが出来る優れものです」
ーーただし、確固たる意思が必要になりますが。
そう絞めくぐった彼女。
ここまでしてくれるとはっ(感激)
やはり善行は積むものだな(うんうん)
*もし他の人物が同じ席に居たら、またこう突っ込むだろう。
…善行?こいつが?無いなっ後、嘘つくな!っと。
ーー話を戻そうーー
「ではそろそろ時間ですね」
瞬間、女神の後ろに扉のようなものが出現。
扉からは眩しい光を発していたため思わず顔を腕でガードする。
「こちらをくぐれば貴方の新しい生活が待っています。私からのサービスとして言語翻訳を追加します」
あの先が、私が行く世界が…。
「ここまでしてくれたことに礼を言う」
そう礼を言い扉をくぐり、強い眠気に襲わるのを感じて意識を委ねた。
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
暗い暗い夜の中、『ヒルデ』は目を覚ました。
全てを見渡す双眼は黄金色、その瞳はキリッとし相手を射抜くような強い眼差しをしている。
身長は平均より少し高め。
その身を包むのはYシャツとスカート。上に着ているのはドレスチックの黒ジャケット。胸より下にあって腰より少し上には黒リボンをあしらっている。
スラリとした綺麗な脚にはストッキングを。靴は黒ブーツ。
胸にはフェンリルのエンブレム。
この服装は彼女以外には似合わないだろう。
その美貌を見ただけで、その完成度の差に惨めさすら感じる程に美しく、均整の取れた身体は非の打ち所がない。
そんな彼女であるがキョロキョロっと周りを見渡しそして思わず顔をしかめた。
何故なら今いる場所は「山」の中で木が至るところにあり少し更地となっているところに『ヒルデ』は立っていた。
この状況に思わず笑顔と笑い声をして、笑い声が収まったところで彼女は…、
「クソ女神ーー!!」
空に向けて枯れるぐらい叫んだのであった。
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