魔法少女まどか⭐︎マギカX 希望の閃光
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#1 夢跡(DREAMTRACE)
前書き
いよいよまどマギ1話に入ります
魔女との戦いの後ーー
静寂が戻った街並み。倒された魔女の残骸が消え去ると、辺りは不気味なほど静かになった。ほむらは冷静な表情を崩さず、目の前に立つエックスをじっと見つめていた。彼の姿は、どこか未来的であり、ほむらにとって見慣れない装甲に包まれている。先ほどの戦いで見せたその力は、明らかに人間のそれとは違っていた。
「エックス、だったかしら?」ほむらが口を開いた。「あなた、一体何者なの?ただの人間ではないわよね。」
冷静な中にも、警戒心と疑念がにじむ言葉。しかし、エックスはそれを受け止め、落ち着いた口調で応じた。
「そうだね、俺はエックス。人間……というには違う。俺は『レプリロイド』と呼ばれる存在だ。人間とほとんど同じように作られたロボットだが、俺たちは意思を持ち、人間と共に生きることができるんだ。」
ほむらは少し眉をひそめた。エックスの説明は一見、理解できそうなものだが、その背後にある技術や概念は、この時代の常識を超えている。
「意思を持ったロボット……ね。それなら、なぜここにいるの?」ほむらはさらに踏み込んだ。「未来から来たというなら、その理由があるはずよ。」
ほむらの問いに、エックスは一瞬目を伏せた。自分がこの世界にいる理由。それはまだ完全には解明できていない。だが、今はできる限り彼女に伝えるしかない。
「俺がここにいる理由は、正直言ってまだはっきりとはわからない。気づいたら、俺はこの世界にいたんだ。俺の時代――21XX年とは違う場所、そして違う時間だと思う。だが、俺がここに来たことで、何かを変える必要があるんじゃないかと感じている。」
ほむらはその言葉を聞き、再び沈黙した。未来から来たという存在が、偶然この時代に現れた――その説明だけでは、まだ信じるには足りない。
「何かを変える……?あなたが未来から来たというなら、私たちの運命にも関わってくるということかしら?」
エックスはその問いに、少し戸惑いを見せたが、冷静に返答した。「まだよくわからないが、今のところ、俺ができることは手助けをすることだけだ。きみたちが戦っている相手――魔女だったか。あれは強力だったが、俺も戦える。少なくとも、ここで見過ごすわけにはいかない。」
ほむらはエックスの返答に対し、深く考え込むように視線を落とした。彼の正体がはっきりしない以上、全幅の信頼を寄せることはできない。しかし、さっきの戦いで見せた力は本物だったし、今のところ彼が敵でないことは確かだ。
「……分かったわ。あなたがここにいる理由を今は追及しないでおく。でも、忘れないで。私たちは、魔法少女として戦う理由がある。そしてそれには――過酷な運命が待っている。」
ほむらは目を細め、エックスを見つめた。その背後には、彼女が背負っている運命の重さが感じられた。エックスは、その瞳に何か決意めいたものを感じ取り、軽く頷いた。
「きみたちのことは、まだ詳しくは知らないが……助けが必要なら、俺に言ってくれ。今は、それが俺にできることだから。」
ほむらはその言葉に軽く頷き、背を向けた。「行くわよ、エックス。まだ安全とは言えないわ。」
エックスはほむらに言われ、静かに後を追った。
???ーー
夢の中、鹿目まどかは何かに引き寄せられるように、無意識のうちに歩を進めていた。目の前に広がるのは、見知らぬ未来の都市。高層ビルが崩れ落ち、地面は亀裂だらけで、あたりにはただただ破壊の痕跡が広がっている。彼女の耳に届くのは、激しい戦闘音と、遠くから響く悲鳴のような音だけだった。
「ここは……?」
まどかの声は、誰にも届くことなく、虚しく響くだけだった。あたりを見回すが、自分がどこにいるのか、なぜここにいるのか、全くわからない。恐怖が胸を締めつける中、彼女の目に映るのは、ただ荒廃した未来の風景だけだった。
そのとき、視界の中に一筋の光が飛び込んできた。青い光が、荒れた大地を駆け抜け、まどかの前方で何かにぶつかり、激しく閃光を放つ。それは巨大な敵と戦う一人の戦士の姿だった。青いアーマーに身を包んだその戦士――エックスは、強大な敵に対して一歩も引かず、ひたすら攻撃を繰り出していた。
「この人は……?」
まどかは、その青い戦士の姿に息を呑んだ。彼は、目の前の敵と戦いながらも、どこか悲しげで、そして決意に満ちた表情をしていた。その姿は、絶望的な状況にあっても希望を捨てず、戦い続ける者だった。
しかし、その戦いはあまりにも激しく、まどかの心に不安をもたらした。戦士がどれほど頑張っても、敵の攻撃は容赦なく彼に襲いかかり、ついには彼がひざまずき、苦しそうに呼吸を整えながらも立ち上がろうとする様子が見えた。
「どうしよう……」
まどかはその場でただ見守るしかなかった。夢の中だとはわかっていても、彼を助けたいという気持ちが胸に湧き上がる。しかし、何もできない。彼女の体は動かず、声も出ない。ただその場で、戦士が倒れそうになるのを見ているしかなかった。
そして、次の瞬間、強烈な光がまどかの目の前に閃いた。戦士が最後の力を振り絞り、敵に向かって突進する姿が見えた。光はますます強くなり、まどかの視界は真っ白に包まれていく。
「だめっ……!」
まどかが叫ぼうとした瞬間、すべてが消え去った。光も、音も、そして戦士の姿も。
目を覚ましたとき、まどかはベッドの中にいた。夜明け前の薄暗い部屋の中、彼女は深い息をつき、夢で見た光景を思い出そうとしたが、細部はすでに曖昧になっていた。
「なんだったんだろう……あの夢……」
まどかはぼんやりと天井を見上げながら、夢の中の青い戦士のことを考えた。彼の姿が、何か重大な意味を持っているように感じたが、その意味を理解することはできなかった。
「でも、まるで本物みたいだった……」
彼女は目をこすりながら、再び眠りにつこうとしたが、戦士の姿が頭から離れなかった。
学校での朝ーー
次の日の朝、まどかは夢の影響をまだ引きずっていた。朝食を取りながら、彼女は夢の内容を反芻する。まるで現実だったかのような鮮明さに、まどかは不思議な感覚を覚えていた。夢の中の戦士――エックス――の姿が、彼女の頭から離れなかった。
「変な夢だったな……」
まどかは自分にそう言い聞かせ、朝の支度を進めた。母親の詢子に「遅刻するわよ!」と促され、急いで制服を整え、鞄を持って家を出た。外の空気は少し冷たく、夢の残像を振り払うにはちょうど良かった。
学校へ向かう道すがら、まどかは空を見上げた。澄んだ青空が広がっていたが、彼女の心は曇ったままだった。あの夢はただの空想なのか、それとも何か意味があるのか――まどかはその答えを見つけられずにいた。
学校に着くと、クラスメイトたちがいつものように集まり、談笑しているのが見えた。まどかは友達の美樹さやかと志筑仁美と合流し、他愛もない会話を交わしながら教室へと向かった。
そのとき、教室のドアが開き、担任の先生が入ってきた。
「皆さん、今日は新しいお友達を紹介します。暁美ほむらさんです。」
教室が一瞬静まり返り、注目が一つに集まる。まどかもその視線に導かれるようにドアの方を見た。そして、その瞬間、彼女の心がざわついた。
黒髪の少女、暁美ほむらが教室に入ってきた。まどかは彼女を見た瞬間、夢の中で見た戦士を思い出してしまった。もちろん、ほむらはエックスとは全く異なる存在だったが、その冷たい眼差しと強い意志が、夢の中で感じた何かと重なったのだ。
「……」
ほむらは無言で教室を見渡し、その冷たい視線がまどかに留まった。まどかは、その目に何かを見透かされているような気がして、思わず目をそらした。しかし、その瞬間、ほむらの目が少しだけ優しくなったように感じたのは気のせいだったのだろうか。
授業が始まり、ほむらは自分の席に座ったが、クラスメイトたちとの間には明らかに距離があった。まどかはその様子を見ながら、夢の中で感じた不安と、現実で感じる違和感が入り混じり、複雑な気持ちを抱えていた。
「ほむらちゃん……何か知ってるのかな……」
まどかはほむらの存在に一抹の疑問を感じながらも、それを深く追及することはできなかった。ただ、彼女とエックスという夢の中の戦士――どこかで交わる運命があるような、そんな漠然とした予感が胸をよぎるのだった。
キュゥべぇとの遭遇ーー
放課後、まどかとさやかはCDショップに立ち寄り、さやかは上条恭介へのプレゼントを探していた。店内を歩き回りながら、さやかは「恭介、このCD好きだったかな…」とつぶやき、真剣に選んでいる。まどかはその姿を微笑ましく見守っていた。
CDショップを出た二人は、夕方の街を歩いていました。さやかが「やっぱり、これで良かったかな」と気にしていると、まどかは急に立ち止まりました。
「…どうしたの、まどか?」さやかが尋ねた。
まどかは、まるで遠くから呼ばれているような声を聞いていました。「助けて…」というかすかな声が、まどかの心に直接響いてくる。
「なんだろう、この声…」まどかはその声に導かれるように、無意識に足を進めていた。
「まどか?」さやかは不安そうに声をかけますが、まどかは聞こえていないかのように歩き続ける。
やがて、まどかは廃ビルの前にたどり着きました。さやかは彼女を追いかけ、「まどか、こんなところに何かあるの?」と戸惑いながら問いかけた。
まどかは、ビルの中へと足を踏み入れます。廃ビルの中は暗く、廃墟のような静寂が広がっていた。
「ここに…何かがいる…」まどかは呟き、ビルの奥へと進んでいきます。さやかも不安ながら後を追う。
すると、薄暗い部屋の一角で、傷ついた小さな生き物――キュゥべぇを見つけた。
「これ…大丈夫かな…?」まどかは心配そうに言いながら、その生き物に近づく。
「まどか、それ、何?」さやかも驚きつつ、キュゥべぇを見つめた。
エックスの登場ーー
まどかがキュゥべぇに手を伸ばそうとした瞬間、ビルの影から暁美ほむらが現れた。冷たい目を持つ彼女は、無言でキュゥべぇに向けて攻撃を仕掛けようとする。
「何してるの!?」さやかが叫びましたが、ほむらはその声を無視してキュゥべぇにとどめを刺そうとする。
その瞬間、建物内に一瞬の閃光が走り、ほむらの攻撃が防がれた。まどかとさやかの前に現れたのは、青いアーマーをまとった謎の戦士――エックスである。
「ほむら、待ってくれ。」エックスは冷静な声で言い、ほむらの動きを制した。彼は廃ビル内でほむらの動きを予測し、タイミングを見計らって現れた。
ほむらは驚きを見せず、「これは私一人でやるべきことよ」と冷たく言い放つ。
「今はきみ一人では対処できない危険が迫っている。」エックスは冷静に答えました。その声には、冷静な判断と経験の裏打ちが感じられた。
一瞬の緊張感が二人の間に走ったが、ほむらはしぶしぶ同意し、「仕方ないわね、でも邪魔しないで」と言い、エックスの援護を受け入れた。
魔女の結界ーー
その時、突然廃ビル内の空間が歪み始め、異様な力が二人を取り巻いた。まどかとさやかはその場から逃げようとしましたが、魔女の結界に囚われてしまった。
「これ、魔女の結界…!」ほむらが警戒の声を上げ、エックスと共に戦闘態勢に入った。
結界の中では、異形の怪物たちがまどかとさやかに襲いかかろうとする。エックスは即座に反応し、バスターで次々と怪物たちを撃破していく。その姿を見たまどかは驚愕し、動揺する。
「この人…夢で見たあの人…?」まどかは混乱しながらも、夢と現実が交差する奇妙な感覚にとらわれていた。
エックスはまどかとさやかを守りながら戦い続け、ほむらもその隙を突いて敵を倒していく。
マミの登場と救出ーー
戦闘が激化する中、巴マミが華麗に登場し、エックスとほむらと共にまどかたちを救出しする。マミは迅速に状況を把握し、エックスに対して「助けてくれてありがとう」と感謝の意を示した。
ほむらはエックスに対して「余計なことを…」と呟きましたが、その表情には安堵の色が見え隠れていた。
ほむらとの協力とエックスの提案ーー
魔女の使い魔との戦闘が終わり、廃ビルの内部に広がっていた異様な光景が次第に消え去り、朽ち果てた廃墟の姿が戻ってきた。魔女そのものは現れることなく、どこかへと消え去ったため、結界も一瞬のうちに霧散してしまったのだ。
まどかとさやかは、目の前の変化に戸惑いながらも、周囲を見渡した。つい先ほどまで彼女たちを飲み込もうとしていた異世界が、まるで幻のように消え去ったことに驚いていた。
「消えたの?」まどかが不安げに呟くと、エックスが冷静に答えた。「ああ、魔女が結界を解いたようだ。ここにはもういないだろう。」
「でも、まだ安心できないわ。」マミがまどかの肩に手を置き、優しく微笑んだ。「一度逃げた魔女は、またどこかで現れるかもしれない。だから、油断しちゃダメよ。」
ほむらは少し離れた場所からその様子を見守りながら、やがてゆっくりとエックスに視線を移した。「今回のこと、感謝するわ。でも次は私一人でやるわ。」
エックスはその言葉に反応する前に、まどかとさやかに目を向けた。彼女たちはまだこの世界の危険について十分に理解していない様子だったが、懸命に状況を受け入れようとしていた。
「ほむら、一人で背負うのは危険だ。」エックスは真剣な表情で言った。「この世界には、君一人では対処しきれないほどの危険が潜んでいるかもしれない。仲間を持つことは弱さではないよ。」
ほむらはその言葉に微かに眉をひそめたが、反論することなく静かにうなずいた。彼女もまた、エックスの言葉に込められた意味を理解していたのだ。
その緊張感の中、マミが微笑みを浮かべてエックスに向き直った。「ところで、自己紹介がまだだったわね。私は巴マミ、魔法少女よ。あなたは?」
エックスは軽く頭を下げて答えた。「俺はエックス。レプリロイドだが、ロボットって言った方が通じるかな。協力できることがあれば力を貸そう。」
「エックスね、よろしく。」マミはにっこりと微笑んだ。
「私たちも自己紹介しないと…」まどかが少し緊張しながら言った。「私は鹿目まどか、こちらは美樹さやかです。よろしくお願いします。」
「まどか、さやか。」エックスは彼女たちの名前を繰り返し、その響きを記憶に刻み込むように慎重に言葉を選んで続けた。「君たちの安全を守るために、できる限りのことをするつもりだ。」
その言葉に、まどかは少し驚き、どこかで聞いたことのあるような感覚に囚われた。「エックスさんのこと…もしかして、夢で見たことがあるかも…」
エックスは一瞬驚いた表情を見せたが、すぐに落ち着きを取り戻し、「夢…? いや、初対面のはずだが…」と答えた。まどかの言葉が彼の心に引っかかり、何かしらの因縁があるように感じられた。
「エックス、あなたは彼女たちのことを知っているの?」ほむらが疑問を投げかけたが、エックスは首を振った。「いや、ただ…何かが引っかかる。」
そのやりとりを静かに見守っていたキュゥべぇが、まどかとさやかの前に現れ、優しく話しかけた。「さて、まどか、さやか。さっきの戦いで見た通り、この世界には多くの危険が潜んでいる。もし君たちがその危険から誰かを守りたいと思うなら、僕と契約して魔法少女になってほしいんだ。」
まどかとさやかは、その言葉に驚き、しばらくキュゥべぇを見つめた。彼の言葉が放つ魅力と、その背後に隠された危険に気づかずにいた。
エックスはキュゥべぇの提案を聞いて、彼の言葉に対する一抹の不安を感じたが、今はただ二人を見守ることしかできなかった。
後書き
まどかたちがエックスの姿を見て、驚かなかったのは一応理由があります。
ヒント:21XXより100年前と言えば…?
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