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同じこと

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第三章

「占領していってな」
「侵略してるな」
「国連が言っても聞かなくて」
「どんな大国もな」
「核兵器までちらつけせてるんだぞ」
 その国は核保有国であるからだ。
「もう無茶苦茶だろ、俺が思うにな」
「どう思うんだ?」
「あいつ等が自分達を迫害していた連中と同じだろ」
 これ以上はないまでに忌々し気にだ、山岡は岩戸に言い切った。
「人種主義だの宗教だの掲げて迫害していた」
「その迫害有名だからな」
「何度も虐殺されてきたんだろ」
「いわれもなくな」
「自分達をそうしてきた連中と同じだろ」
 こう言うのだった。
「もうな」
「そうだな」
 岩戸も否定せず頷いた、これが彼の返事だった。
「あそこまでいったらな」
「そうだよな」
「同じだよ、あれだな」 
 岩戸もこれ以上はないまでに忌々し気に言った。
「いじめられっ子がいじめっ子になった」
「そんな感じだよな」
「そうなった奴が一番酷いいじめするらしいな」
「いじめられたトラウマがあってだよな」
 山岡はすぐに指摘した。
「余計に酷くなるな」
「それと同じだな」
「そうだな、ああなったらな」
「同じだよな」
「自分達を迫害してきた連中とな」
「醜いな」
 岩戸は吐き捨てた、文字通りそうした。
「ああなったら」
「全くだな、迫害されてきた連中が迫害する」
「そうなりたくないしなったら駄目だな」
「人間も国家もな」
「ああなったら終わりだよ」 
 二人で話した、そしてだった。
 その国をそれから見ていった、するとだった。
「誰が言っても同じだな」
「殺し続けてるな」
「あそこの首相人殺すの好きなのか?」
「それも虐殺がな」
「自分達が何度も虐殺されて」
「収容所にも送られただろ」
「それで自分達が虐殺するか?」
 一般市民への攻撃を止めないその国を見て話すのだった。
「本当に同じだな」
「こんな醜い話ないな」
「全くだな」
 二人で話した、あくまで戦争それに伴う殺戮を止めないその国を見て。そして忌々し気に顔を顰めさせたのだった。


同じこと   完


                   2024・5・15 
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