北朝鮮はいい国
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第三章
「拉致やってテロやって」
「核兵器の開発してな」
「嘘しか言わないし」
「何処がいいんだよ」
「そんなの誰でもわかるだろ」
「お前もだろ」
「うん、聞いてるとね」
重太郎は父の言葉も思い出して話した。
「そうだよ」
「最悪の国だよ」
「絶対に暮らしたくないわよ」
「何処が地上の楽園なんだ」
「地獄だろ」
「軍隊ばかり大きくて」
「変な行進ばかりする」
誰もがその先生の話を信じていなかった、そしてだった。
重太郎もそう思う様になった、それでだった。
その先生の言うことは全く信じなかった、そのうえで中学を卒業して高校に入り大学に入ってだった。
同窓会に出てだ、見ればその先生はおらず彼はかつての同級生達に尋ねた。
「あの北朝鮮好きの先生は?」
「ああ、あいつ?」
「あいつ今休職中だよ」
「そうなったらしいわよ」
「休職?何やったんだ」
重太郎はその話を聞いて問うた。
「一体」
「ずっと北朝鮮のことばかり言ってな」
「あの国がどれだけ素晴らしいか」
「それ最近も言ってな」
「生徒が親に話したんだよ」
「あの先生が北朝鮮好きだって」
重太郎も事情を察して言った。
「親御さんの耳に入ったんだな」
「そうしたらその親御さんがPTAに言ってな」
「ネットでもそうしてな」
「それで問題になったんだよ」
「教育委員会にも行ってな」
「あんな国礼賛してるがいいのかってな」
その様になったというのだ。
「北朝鮮みたいな独裁国家な」
「言論弾圧して拉致もテロもして」
「そんな国賛美していいのか」
「そんなこと言う先生学校にいていいのかってな」
「そうなったか、まあ俺達の頃でもな」
重太郎は自分達の頃を振り返って話した。
「問題だったしな」
「そうだよな」
「あの時も北朝鮮ばかり言ってな」
「どれだけいい国か」
「どう見ても違うのに」
「嘘八百なのにね」
「今も言ってたら」
それこそというのだ。
「問題になるよな」
「そうだよ」
「それで問題になってな」
「その親御さんから親御さん全体で問題になって」
「PTAでもでな」
「流石に教育委員会でも問題になって」
そうなりというのだ。
「休職になったんだよ」
「まあ実質的にクビだな」
「授業もド下手で全くわからなかったし」
「もう戻れないな」
「そうか、本当に馬鹿だったんだな」
重太郎は今このことが完全にわかって言った。
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