コントラクト・ガーディアン─Over the World─
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第一部 皇都編
第六章―約束―#4
さて、今日はレド様を街へと案内する日である。
いつもの鍛練と朝食を終えたが、ロウェルダ公爵邸を経由するので、まだお邪魔するには時間が早過ぎる。
「もう少し時間を置いた方がいいですよね。時間までどうしましょうか」
「それなら、【現況確認】の見方を少し教えてくれないか?」
そっか。前世の“モバイル端末”に仕様が似ているから、私は何となく活用できているけど、レド様には未知のものだものね。
「わかりました。それでは、【現況確認】を開いていただけますか?」
「ああ」
主:ルガレド=セス・オ・レーウェンエルダ
守護者―――リゼラ=アン・ファルリエム
肩書―――レーウェンエルダ皇国第二皇子
装備―――片手剣、短剣
神眼抑止用眼帯
【永遠の約束】【リゼラのピアス】
シャツ、スラックス、ショートブーツ
年齢―――24歳
性別―――男性
特異性質―――先祖返り:神竜人(左眼:神眼)
固有魔力量―――SSS
使用可能共有魔力量―――SSS
技能―――【ガルガディア流剣術】【ガルガディア流槍術】
【ガルガディア流戦斧術】【ガルガディア流弓術】
【馬術】【魔力操作】
「あ、【魔力操作】が【技能】に記載されていますね」
「本当か?」
この【技能】に記載されるには、ある程度の習練が必要みたいで、この間の教えた時点では記載されなかったのだ。
「ようやく、あまり意識せずに魔力を廻らせることが出来るようになったからな。頑張った甲斐があった」
レド様は『ようやく』と言っているが────あれ?早過ぎない?教えたの、いつだったっけ?
まあ、でも、レド様が嬉しそうだから、気にしないことにしよう。レド様はそういう存在なのだ、うん。
「あれ?」
この【装備】の欄の【リゼラのピアス】って────何これ?
「………レド様、私が差し上げたピアス、【解析】させてもらってもいいですか?」
「ああ、構わないが」
私はレド様の耳朶で光るピアスに【解析】をかける。
【リゼラのピアス:ルガレド専用】
元は魔石だったが、長年リゼラが魔力を流し続けたことにより、聖結晶へと至った。このピアスに魔力を流すと、魔力を循環させて身体能力の強化を行う特質を持つ。ルガレド特有の魔力結合による身体強化とこの魔力循環による身体能力強化を使用した状態で、魔術【身体強化】を使用すると爆発的な効果を発揮する。
「…………」
聖結晶って、希少なせいか、成り立ちとか詳細はまだ解明されていないんだよね。私が魔石に魔力を流し続けただけで至っちゃったの?―――え、本当に?
「リゼ?」
「……レド様、私がレド様にいただいたこのピアスに、【解析】をかけていただけますか?」
「?ああ。────、……………」
レド様が、黙ってしまった。やはり、こっちのピアスもアレなことになっているに違いない。
私は、自分の【現況確認】を投影する。
守護者:リゼラ=アン・ファルリエム
主―――ルガレド=セス・オ・レーウェンエルダ
肩書―――聖騎士/親衛騎士/Sランカー冒険者
/ファルリエム子爵/補佐官
/第二皇子の婚約者
装備―――双剣、短剣×2
魔玄のジャケット、インナー
魔玄のショートパンツ、魔玄のサイハイブーツ
【永遠の約束】【ルガレドのピアス】
星銀のバレッタ
年齢―――16歳
性別―――女性
特異性質―――忘却障害症
固有魔力量―――SS
使用可能共有魔力量―――SSS
技能―――【***流剣術】【***流弓術】【馬術】
【魔力操作】【魔力循環】【魔力変換】【測地】
【我流双剣術】【解体】【採取】【媒染】
思った通り、レド様にいただいたピアスの名称が、【ルガレドのピアス】に変わっている。その名称部分に触れると、詳しい説明が現れる。
私かレド様が【解析】すると【現況確認】に記載されることに、最近気がついた。
【ルガレドのピアス:リゼラ専用】
元は銀だったが、長年ルガレドの魔力を蓄積したことにより、聖銀へと至った。このピアスに魔力を流すと、魔力を結合させて身体強化を行う特質を持つ。リゼラの特技・魔力循環による身体能力強化とこの魔力結合による身体強化を使用した状態で、魔術【身体強化】を使用すると爆発的な効果を発揮する。
わあ、今度は聖銀かぁ…。こっちも聖結晶に負けず劣らず希少なものなんだけどなぁ…。銀が聖銀に至るってどういうこと?私の場合より酷くない?レド様の魔力、どれだけ凄いの?
私はレド様に、名称部分に指先を触れると、それについての説明が見れることを伝える。私かレド様のどちらかが【解析】をすると、そこに記載されることも。
私が差し上げたピアスの説明を見て、レド様は何か考え込んでいた。
「レド様?」
「これは使えるかもしれないな。【身体強化】は魔術式が現れるから、いざという時しか使えないが、この魔力結合と魔力循環による身体強化の重ね掛けだけでも、今よりも効果は上がるのではないか?」
「……確かにそうかもしれませんね。試してみる価値はあると思います」
「後で、試してみよう。何があるか判らないからな。強くなるに越したことはない」
「はい。もし効果があるなら、魔力の消費量なども検証してみましょう。レド様はともかく、私では魔力がすぐ足りなくなるかもしれませんし…。それでも…、効果があって────短時間だけでも使えるなら…、切り札になり得ます」
「ああ、そうだな」
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