コントラクト・ガーディアン─Over the World─
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第一部 皇都編
第三章―ファルリエムを継ぐ者―#2
「…それで、収納袋だったな」
そう、問題はマジックバッグである。絶対に取り出す方法があるはずなのだ。でも、一体どうやって取り出せば───いや、取り出し方法を見つければいいのか。
“ゲーム”の“ステータス”みたいに、自分の状況を確認できればいいんだけど────
【現況情報】を【抽出】───完了
【投影魔術式】のインストールを開始します───完了───【投影】が実行可能になりました
【現況情報】を投影します…
「え?」
もうお馴染みとなった声が響いたかと思うと、私の目の前に、40インチのテレビほどの半透明な画面が現れた。
守護者:リゼラ
主―――ルガレド=セス・オ・レーウェンエルダ
肩書―――親衛騎士/Sランカー冒険者
装備―――【誓約の剣】、短剣×2
礼服一式
魔玄のショートパンツ、魔玄のサイハイブーツ
フェイスガード
【記念のピアス】
星銀のピンブローチ、星銀のバレッタ
年齢―――16歳
性別―――女性
特異性質―――忘却障害症
固有魔力量―――SS
使用可能共有魔力量―――SSS
技能―――【***流剣術】【***流弓術】【馬術】
【魔力操作】【魔力循環】【魔力変換】【測地】
【我流双剣術】【解体】【採取】【媒染】
え、本当に、ゲームみたいなステータス画面が現れたんだけど…。
流派は文字化けしているし、“刀術”という言葉がないからか、剣術になっている。
情報はまだ続いている。
固有能力―――【霊視】:顕在化・未
限定能力―――【念話】【把握】
特殊能力―――【案内】【最適化】【抽出】【顕在化】
【最新化】【同期】
【命名】【進化】
【鑑識】【地図製作】
【情報開示】
実行可能魔術―――【解析】【投影】
搭載魔導機構―――【最上級魔力炉】
【最上級魔術駆動核】
何だか、突っ込みどころ満載なんだけど…。とりあえず、後で考えることにして、読み進めていく。
書き込み済み魔術式────
【遠隔管理魔術式】【換装魔術式】【解析魔術式】
【投影魔術式】【転移魔術式】【身体強化魔術式】
【防衛魔術式】【重力操作魔術式】……
その後も、“魔術式”──多分、魔術陣と同じ?──の名称が延々と記されている。ええっと…、もしかして、ここに記載された魔術、全部使えるってこと…?
まだまだ続くようだけど、次のページにはどうやっていけばいいのか。この右隅の矢印に触れればいいのかな?
指先を矢印に触れさせると、ページが進んだ。魔術式の項目はまだ続いていた。それを飛ばし読みして、ページを進める。
ようやく、一番知りたい情報へと辿り着く。
所持品
無限異次元収納庫:主共通―――なし
無限異次元収納庫:リゼラ専用―――なし
無限収納袋:リゼラ―――
大型トランク
(ジャケット×1、ショートコート×1、インナー×2、
ショートパンツ×1、ビスチェアーマー×1、
アームボレロ×1、グローブ×2、ポーチ×1、シャツ×1、
キュロット×1、靴下×3、キャミソール×3、
ショーツ×3、タオル×3、
アクセサリーボックス×1):最適化済
中型トランク1
(羽根ペン×3、インク×3種、レターセット×10、
ダリアレン版植物図鑑、冒険者ギルド監修版魔物図鑑、
筆記帖×3、大陸略図大小各1、方位計×1、墨果筆×5、
定規×1、実行済み絶縁状):最適化済
中型トランク2
(小型鍋×1、ポット×1、マグカップ×2、フォーク×2、
スプーン×2、皿×2枚、網×1、調理用ナイフ×2、
布巾×3、塩×1瓶、胡椒×1瓶、茶葉×1袋、
ドライフルーツ×1瓶、固焼きパン×5):最適化済
小型トランク1
(ロングブーツ×1、ショートブーツ×1):最適化済
小型トランク2
(櫛×1、手鏡×1、鋏×1、石鹸×1、空瓶×1、
布巾×3、包帯×3、傷薬×1缶、
回復薬×5):最適化済
麻袋・大中小各3枚:最適化済
ショートマント×1:最適化済
ランタン×2、小箱(蝋燭×5):最適化済
双剣×2セット、短剣×2:最適化済
弓×1、矢筒(矢×10本)×2:最適化済
汎用大型ナイフ×2、解体用大型ナイフ×2:最適化済
内ポケット:着用中コート
(懐中時計〈冒険者ライセンス〉、鍵束):最適化済
自室:拠点1
女性用高級硝子ペン×3、インク×2、
高級レターセット×30、筆記帳×2、小説×65冊、
ディアルーカ版草花絵図全6巻、南方旅行記全3巻
ドレス×18着、ワンピース×33着、
シュミーズ×24着……
この後もアクセサリーやら髪飾りやら靴やら化粧品やらの詳細が、延々と続いている。
…何か、使わせてもらうことになったあの部屋にあったものが、すべて書き出されているんだけど。
一体どうやって認識しているの?
それにこの“異次元収納庫”って、字面からするとラノベでよくある“アイテムボックス”ってやつですか?───いや、それよりも、この【無限収納袋】に入っている大型トランクを取り出したいんですよ。
【遠隔管理魔術式】のインストールを開始します───完了───【遠隔管理】が実行可能になりました
───何か、また魔術を使えるようになったみたいだ。
ページを戻ると、『実行可能魔術』の欄に【遠隔管理】が増えていた。その文字を指で触れてみる。すると、説明が出てきた。
【遠隔管理】
自分の所持品を遠隔で管理する魔術。手元に取り寄せたり、持っている荷物をしまったりすることが出来る。ただし、確実に自分が所有している物か、主と共有している物に限る。
え、何これ…。アイテムボックスだけじゃなく、部屋に置いてあるものとかも取り寄せることが出来るってこと?…………便利過ぎない?
「…リゼ?」
いけない。想定外の展開に、レド様をおいてけぼりにしていた。
私は、レド様にこのモニターもどきがどういうものなのかと、“遠隔管理”という魔術について説明する。
「…何と言うか、本当に凄まじい技術だな…。しかし、先程から思っていたのだが、リゼはよく理解できるな。記憶持ちと言っていたが、もしかして、前世は古代魔術帝国で生きていたのか?」
「いえ、前世は、こことは違う世界で生きていました。その世界で、何と言えば良いのか…、似たような技術の概念があったんです」
「こことは違う世界…?そんなものがあるのか…?」
「ええ。前世生きていた世界は、こことはかなり違った世界です。魔法や魔術というものはありませんでしたし、魔物や魔獣もいなかったんです」
「そんな世界があるのか…」
「もし、ご興味があるなら、空いた時間にでもお話ししましょうか」
「ああ。ぜひ聞かせてくれ」
「はい。…今は、とにかく、この魔術を使ってみますね───【遠隔管理】」
複雑に編み上げられた魔術陣───いや、魔術式が、瞬時に足元に広がり、光が迸った。
すると、頭の中に、自分の所持品が次々と浮かんでくる。
これだ、この大型トランク!────そう思った瞬間、目の前に見慣れた大型トランクが現れ、ふわりと床に着地した。
「良かった…、取り出せた…」
私は安堵の溜息を吐いた。
「良かったな。それでは、着替えてくるといい」
「でも、そうすると、ご飯が遅くなってしまいませんか?…それでなくても、お待たせしているのに」
「大丈夫だから、気にするな」
「…ありがとうございます。急いで着替えてきますね」
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