五十一番目の州
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第三章
「似非だよ、そして何かあると君は彼の似非ぶりを見るよ」
「見ますか」
「若しかしたらすぐにね、そしてね」
「そして?」
「君はこの言葉も実感する」
確信している言葉だった。
「恥を恥と思わなくなった時最も恐ろしい腐敗がはじまる」
「よく言われる言葉ですね」
「私は阪神ファンだが休暇再編で実感したよ」
尚三森は広島ファンである、共に全人類普遍の敵であり人類社会を悪徳で汚染せんとしている読売ジャイアンツは忌み嫌っている。
「この言葉をね」
「あの時近鉄の社長が合併押し切ったんですね」
「そうだよ、ワンマンで一旦決めたことは変えないそうでね」
「人の話を聞かないで頑迷ですね」
「死んだ時に経営者というより文化人と言われたよ」
「経営者に向いていなかったんですね」
「文化人として劇場も伏見桃山嬢もあやめ池も潰してね」
リストラを敢行してだ。
「球団も潰したよ」
「ポルポトみたいな文化人ですね」
「そしてどれだけ批判が来ても合併したんだよ、色々罵詈雑言も言ってね」
「そうだったんですね」
「そう、言うチームの赤字の額は十億単位で増えて」
三十億が四十億、五十億となっていった。
「最初は身売りしないと言っていたのが合併後今年で終わらせるつもりだっただよ」
「嘘まで吐いていましたか」
「そしてわかったよ、本物は恥も外聞もなくてね」
そうであってというのだ。
「何を言われても自分さえいいとね」
「何でもしますか」
「そしてわかったんだ」
「恥を恥と思わないのなら」
「最も恐ろしい腐敗がはじまるとね」
「球界再編を見てですか」
「実感したよ、そしてね」
小林はさらに話した。
「彼等も然りで」
「あの人もですか」
「すぐにわかるかもね」
「あの人の実態が」
「それがどんなに醜く下劣なものであっても」
小林はこうも言った。
「見たらいいよ、それは貴重な学問になるよ」
「ああした人達の実態を知る」
「愛国の国士さんのそれをね」
「わかりました」
三森は小林の言葉に頷いた、この頃とある超大国では大統領選挙が行われていて保守系とされる政党からは以前大統領と務め議会の襲撃や女性問題に金銭問題、選挙介入だけでなく偏見や罵倒、感情的な政策で知られる男が候補者であったが。
加嶋はこの男が大好きで何かと賛美していたが。
「あの、エックスで」
「君も見たな」
「はい、日本はあの国のです」
大学の図書館の中で小声でだった、三森は小林に話した。
「五十一番目の州になれとです」
「言ったね」
「あの候補が好きで」
「もう盲信しているね」
「そうですね」
「まず言うがあの男は何か」
小林はこのことから話した。
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