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不幸を味わった犬達

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第二章

 タラゴサはマックスを家族に迎えた、そして後日ブラウンが彼の様子を見に行くと施設にいた時とは全く違い。
「ワンワンワン!」
「元気ですね」
「元々明るい子なんです」
 タラゴサはブラウンと共に庭を駆け回るブラウンを見つつ笑顔で話した。
「その明るさをです」
「取り戻したんですね」
「はい、それで私はです」
「この明るさをですね」
「ずっと守っていきます」
「宜しくお願いします」
 ブラウンはタラゴサに心から言った、そしてタラゴサから送られてくる動画や実際に家を訪問してみる彼の姿は。
 常に明るかった、それでブラウンも笑顔になった。
 この話をカルフォルニアの動物保護団体で勤務しているステファニー=イーズリー優しい顔立ちで黒い目でブロンドの長い髪の毛を後ろで束ねた若い女性は保護された二十三匹の犬達を前にして言った。
「大変ですね」
「うん、どの子も蚤だらけで皮膚病に罹っていてね」
 先輩のスタッフが難しい顔で答えた。
「それでね」
「すぐに治療しないと駄目ですね」
「フィアナにいた子達だけれど」
 アメリカとの国境にあるメキシコ最北端の街である。
「これがね」
「飼育崩壊で、ですね」
「多過ぎてね、保護されて」
「それでまずは治療して」
「家族を見付けてあげよう」
「わかりました」
 こう話してだった。
 施設全体で犬達を治療してだった、心優しい人達に家族に迎えてもらったが。
「クゥ~~ン」
「その娘は家族に迎えたんだね」
「はい」
 家に来た先輩にた、イ^ズリーは笑顔で答えた。彼女の傍には雌の茶色の毛の中型犬が目をキラキラとさせて座っている。
「スマイルと名付けました」
「どの子も家族が見付かってね」
「幸せになっていますね」
「もう飼育崩壊でね」 
 その状況に陥っていてとだ、先輩はここでも話した。
「本当に蚤が寄生してね」
「皮膚病に罹っていて」
「不潔な環境にいて食べものも殆どなくて」
「大変でしたね」
「うん、けれどね」
「皆が助かって」
「よかったよ」
 こう言うのだった。
「そしてその娘もね」
「幸せにですね」
「過ごしていてね」 
 それでというのだ。
「よかったよ」
「そうですね、引き取った時は凄く悲しそうでしたが」
「今は違うね」
「そうですね」
 今も目をキラキラとさせて座っている、毛並みもかなりよく体格もかなりよくなっていて如何にも健康そうだ。
「私が見ても」
「ペンシルバニアの子も幸せになって」
「この子達もそうなって」
「よかったよ、不幸に陥っても」
 それでもというのだった。
「幸せになるべきだよ」
「犬もそうですね」
「人間も他の生きものもでね」
「それで、ですね」
「スマイルもね」
「幸せになれましたし」
「その幸せをずっとね」
「守っていってくれるから」
「勿論です」 
 イーズリーは笑顔で答えた、そしてスマイルの頭を優しく撫でるとだった。
 スマイルは尻尾を左右に振った、イーズリーも先輩もそんな彼女を見て心から幸せを感じたのだった。


不幸を味わった犬達   完


                    2024・9・25 
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