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不幸を味わった犬達

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第一章

               不幸を味わった犬達
 ペンシルバニア州の動物保護施設に来た顔の左右と腹部と足首が白い垂れ耳の大型犬、マックスという雄犬を見てだった。
 施設のスタッフであるサラ=ブラウン大柄で太ったアフリカ系の四十代の女性である彼女は所長に言った。
「この子は」
「八年前にここにいたね」
「はい、そして」
 それでというのだ。
「その時に引き取られたんですが」
「その引き取った人がなんだ」
 アフリカ系の初老の男性である所長は言った。
「ここにだよ」
「送ったんですか」
「そうなんだ」
「あの、どうしてですか」
 ブラウンは本気で分からないといった顔で問うた。
「折角家族に迎えて」
「八年一緒にいてね」
「捨てるなんて」
「私も事情はだよ」
「ご存知ないですか」
「一切言わないで」
 それでというのだ。
「それでなんだ」
「そうですか」
「とりあえずね」
 所長は眉を曇らせて話した。
「新しい家族をだよ」
「探しますね」
「そうするよ」
「八年前と同じく」
「他の子達ともね」
 まさにというのだ。
「同じでね」
「そうしますか」
「そしてね」
「今度こそですね」
「ずっと一緒にいてくれる」
 そうしたというのだ。
「家族にね」
「迎えてもらいますね」
「そうしてもらうよ」
「わかりました」
 ブラウンも頷いた、そしてネットでその犬マックスのことを紹介すると前の飼い主に対する怒りの言葉が多く書き込まれた、そして。
 ある褐色の髪と黒い目と髪の毛の小柄な女性が施設に来て言ってきた。
「実はマックスを知っていまして」
「そうなのですか」
「最近見ないと思ったら」
「はい、こちらにです」
 ブラウンはその女性ユリア=タラゴサに話した。
「送られていました」
「そうですね、見れば」
 タラゴサはマックスを見て話した。
「凄く悲しそうですね」
「ご覧の通り」
「クゥン・・・・・・」
 見れば実にだった。
 マックスは悲しそうな顔をしている、虚ろな目が尚更それを物語っていた。その彼を見てであった。
 タラゴサはブラウンにだ、こう言った。
「私がです」
「家族にしてくれますか」
「はい」
 強い声での返事だった。
「幸せにします」
「ずっとですね」
「勿論です」
「そうですか」
「そして」
 ブラウンにさらに話した。
「いつも笑顔でいられる様に」
「してくれますか」
「必ず」
 この時も強い声で答えた、そしてだった。 
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