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金木犀の許嫁

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第三十五話 大阪でのデートその十五

「本当にね」
「そういうことね」
「幽霊って怖いって思うでしょ」
 妹にこう言って問うた。
「それだけで」
「子供の頃はそう思ったけれど」
「それがね」
 その実はというのだ。
「幽霊と人間ってね」
「違わないのよね」
「身体があるから人間でね」
「魂だけになったのが幽霊ね」
「魂が本体だとすると」
 人のというのだ。
「幽霊はね」
「身体がないだけで」
「人間とね」
「全く変わらないわね」
「だから悪霊や怨霊は」
 こう呼ばれる存在はというのだ。
「身体がないね」
「悪い人ってことね」
「そうなるのよ」
「それでいい人が幽霊になってお」
「いい幽霊よ」
「そうなるわね」
「そう、幽霊は人間とね」
 それこそというのだ。
「全くね」
「変わらないわね」
「そうよ」
 こう妹に話した。
「実はね」
「そういうことね」
「だから幽霊はね」
「怖がることはないわね」
「幽霊が怖いなら」
 そうであるならというのだ。
「もう人間がね」
「怖いわね」
「身体のあるなしの違いだけだから」
「そうなるわね」 
 夜空も確かにと頷いた。
「本当に」
「そう、だからね」
 それでというのだ。
「いいわね」
「幽霊は怖がらなくていい」
「怖いのは悪霊や怨霊で」 
 そう呼ばれる者達でというのだ。
「いい人はね」
「怖がらなくていいわね」
「幸村公が幽霊でも怖くないでしょ」
「むしろ尊敬するわ」
 夜空はすぐに答えた。
「幸村公なら」
「そうでしょ」
「だってね」
「素晴らしい方だからね」
「それならね」
 夜空はさらに話した。
「尊敬するわ」
「悪いことされる筈がないわね」
「ええ、それでご先祖様もね」
 猿飛佐助もというのだ。
「同じよ、他の十勇士の方も」
「同じね」
「ええ」
 そうだというのだった。
「そのことはね」
「そうでしょ」
「言われてみるとね」
 まさにというのだった。
「そうよね」
「そう、幽霊はね」
「人と同じ」
「このこともね」
「覚えておくことね」
「そうしてね」
 こう妹に言った。
「これからは」
「わかったわ」 
 夜空は素直に答えた。
「それじゃあね」
「幽霊のことも頭に入れて」
「人間と同じって」
「そうしてね」
 そのうえでというのだ。
「佐京君と一緒にね」
「大阪行って来るわね」
「そうしてね」 
 妹に笑顔で送り出す様にして言った、妹もその言葉を受けてだった。
 佐京と大阪に行くことにした、二人は再び大阪での楽しい時間を過ごすことになることを今から楽しみにしていた。


第三十五話  完


                  2024・7・24 
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