ドリトル先生と奇麗な薔薇達
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第十二幕その二
「今からね」
「日笠さんとお二人でね」
「皆自棄に僕に気を使ってくれているけれど」
それでもという先生でした。
「何でかな」
「何でじゃないよ」
「そんなことじゃないよ」
「全くね」
「先生はやっぱりわかっていないね」
「やれやれよ」
皆は先生の今の言葉を聞いて呆れました、ですが。
それでもです、皆でまた先生に言いました。
「何はともあれ行ってね」
「お二人でね」
「そうしたらいいから」
「難しいことは抜きにしてね」
「皆がそこまで言うなら」
それならとです、先生は皆の本意はわからないままです。そのうえで頷いてそうして日笠さんに答えました。
「それじゃあね」
「うん、行ってきてね」
「これはきっといいことになるから」
「今は何もなくても」
「将来に生きるから」
「だからね」
「そうしていってね」
皆も先生をそうする様に言います、そうしてでした。
日笠さんにそれではと答えました、日笠さんはとても嬉しそうに宜しくお願いしますと応えてでした。
そのうえで先生と一緒に研究室を出ました、それからです。
先生を学園の中にある植物園に案内してです、そしてでした。
薔薇園に入りました、薔薇園は今も色々な色の薔薇が咲き誇っています。先生はその薔薇達を観て微笑みました。
「何時観てもです」
「素敵ですね」
「はい、それでエンベルグさんもですね」
「ブラウシュタインさんに薔薇を贈られました」
「そうされましたね」
「エメラルドの茎とサファイアの葉で」
そしてというのです。
「エンベルグさんは白薔薇で」
「ダイアモンドですね」
「ブラウシュタインさんは赤薔薇で」
「ルビーですね」
「その二つの薔薇達がです」
「贈られて」
「お二人の結婚記念となって」
その象徴になってというのです。
「そしてです」
「そのうえで、ですね」
「お二人をです」
「これからもですね」
「結び付けてくれる」
「そうしたものになりますね」
「心がありますので」
だからだというのです。
「きっとです」
「そうなってくれますね」
「必ず」
こうお話します、そしてでした。
そのお話の中で、です。先生は日笠さんにこう言いました。
「それでなのですが」
「どうしました?」
「いえ、今回はです」
しみじみとした声で言うのでした。
「薔薇の騎士からヒントを得てですが」
「あの歌劇からですね」
「銀の薔薇はよくなくても」
夫婦の結婚記念のプレゼントにです。
「ですが」
「それでもですね」
「いい結果になったみたいですね」
「そうですね」
「そのままではよくなくても」
銀の薔薇ではというのです。
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