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彼は いつから私の彼氏?

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1-9

 花火が終わった後、私は翔琉君に

「なぁ・・・」と、散歩に行こうよーとねだったつもり・・・

「あっ そうかー 突堤までな なんか着て来いよー そのままじゃぁー」

 かと言って、私 長袖はラッシュガードしか持ってきていなかって、さっき洗濯してしまっていた。お兄ちゃんに

「なぁ なんか パーカーかなんか貸してー 翔琉君と散歩行くの」

「はっ 今からか? 暗いぞー」

「うん 夜の突堤がきれいなんだってー」

「そうかー でも 二人でか?」

「そうだ 達樹 俺等も付いて行ってやろうぜ 夜の海もきれいぜ」

 と、私はぶかぶかのパーカーを着て、翔琉君と並んで歩いて、その後ろからお兄ちゃん達が付いてきていた。ビーチに出てもところどころ灯が点いていて、思ったより暗くないのだ。ビーチに出ると翔琉君は私の手を取って繋ぎだして歩いてくれた。突堤近くになると、お兄ちゃん達は離れ出して

「あいつ等にはあいつ等の世界があるんだよ せっかくの機会なんだから ほっといてやろうぜ ここから見守ろうっとー」と、硝磨君の声が後ろから聞こえてきていた。私達にわざと聞こえるように・・・なのかなーぁ

「なんだよー 妹だから気になるのか?」

「いや 硝磨がそー 言うなら・・・」

 そんなことは構わずに、翔琉君は私の手を握りしめてどんどん突堤の先に向かっていくのだ。先端に着いて海の中を見たら魚の影みたいなものが

「あっ お魚だ おっきいの」

「うん 薄灯りに寄って来るのかなー なぁ 座ろうか」

 と、私達はかがんでいたけど、そのうちに足を海に向かって投げ出して、ペタンと座っていた。

「翔琉君 ありがとうネ 旅行に誘ってくれて・・・とっても楽しいわー」

「そうか よかった なツ 良い所だろう?」

「だね でも 翔琉君と一緒だから すご~く 楽しい」

「水澄・・・ もっと 寄れよー」と、私の腰に手を廻してきた。この頃から私は自然と彼の左側になっているのだ。だから、彼は左の腕で・・・私は ビクンとなったけどされるままに、少し位置をずらせて・・・彼の手を握って 眼をつむって顔をあげるように・・・テレビとかでその瞬間は知っていたけど、やっぱりこういう感じにするのが自然なのだと思っていた。好きなの 翔琉君・・・。

 少し間があって、腰の手に力がこもった瞬間 彼の唇の感触が・・・その時 頭の中で銀色の光が走ったような気がした。どれぐらいの時間だったかはわからない。短かったような 長かったような・・・。

「水澄 好きだよ」と、彼の右手を胸に感じていた。遠慮がちに触れてきている。

「いいよー 触っても 翔琉だものー」と、私はパーカーで被うようにして 彼の手を上から押さえていた。タンクトップのソフトカップ越しだったけど、彼のぬくもりを感じていたのだ。

「まだ 小さいでしょ? 翔琉 好き! 私の彼氏?」

「だよ 俺は水澄の彼氏だ ずっと 前からだけどな」

「ふ~ん これからも ず~ぅっと?」

「あぁ これからもな」

「白浜美蕾ちゃんとは?」

「あほっ なんでも無いっていってるだろう 水澄だけよー」

「ウン 今 私 すんごく うれしい! 幸せ!」と、私から もう一度 唇を寄せていっていた。

 戻って来る途中には、もう、お兄ちゃん達は居なくて、家まで戻ると

「なんやー 帰ってたん?」

「なんや や ないわー お前等のイチャイチャしてるの遠くからでも感じて来るからなー おられるかぁー」

「・・・見えてた?」

「遠くて 見えんけど 雰囲気でわかるわー 寄り添ってよー 水澄 お前は まだ・・・俺は、お母さんにも言われてー・・・」

「ストップ お兄ちゃん お魚が泳いでいるのいっぱい見えたよ あっ おしっこ我慢しててん」と、私はトイレに駆け込んで行った。

 次の日は、朝からみんなでビーチボールで遊んで、翔琉君とも普通に触れ合っていた。午後から東尋坊へ見物に・・・歩くと少しあると言うのでバスで出掛けた。崖を見降ろすところに行く時も、翔琉君は自然と手を繋いでくれていて、私の彼っていう感じに満足していて、改めて、彼と彼女という関係になったのだと実感していた。さざえのつぼ焼きというものも初めて食べた。うんこみたいなのは無理だったけれど・・・。

 その夜も散歩に出掛けるのは、いかにもと言う感じなので皆でトランプゲームをして遊んで、翌日の朝だけ海に入って、午後から帰るという予定だった。

 私が仰向けに浮かんで 気持ち良く空を見ながら泳いでいると

「水澄 オッパイがぷっくりと出ていて 掴みたくなるよー」

「なっ なんやのー すけべー! いゃーらしいこと考えてるやろー」

「あほっ 普通やろー それに 水澄のやからー 可愛い」

「うぅー これは まだ 翔琉のんちゃうねんからなー この前の夜の時は特別やー」

 お昼からは福井に出て、今度は天丼を食べて帰ろうと途中下車して、だけど、私は、お母さんにソースカツ丼をと思っていたので、お土産用にテークアウトしたのだ。家族4人分を買っていたので、重いからとお兄ちゃんが持っていてくれた。

 家の最寄りの駅まで来て、おばさんにも丁寧にお礼を言って、我が家に向かった時、私はお兄ちゃんと手を繋いで歩き出した。

「お兄ちゃん ありがとうネ 一緒に行くって お母さんの前で言ってくれたから・・・とっても 楽しかったよ」

「そうか 俺も 楽しかったよ 水澄もはしゃいでいたものなー」

「ウン あのね 私 翔琉君とキスしちゃったー お母さんには内緒ネ! 好きなんだものー」

「やっぱりーかぁー 突堤で まぁ お互いが好きだという表現だものなー いいんじゃぁないか でも エスカレートすんなよ まだ・・・小学生・・・」

「うん・・・お兄ちゃんにも彼女が出来たら 私が 品定めしてあげるネ」

「いらん!」
 
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