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転職して再会して

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第二章

「思わなかったな」
「そうですよね」
「取引先が何処か聞いてな」
「僕の転職先で」
「まさかと思ったけれどな」
 草野は一転して笑って言った。
「お前が担当なんてな」
「まさか課長がなんて」
「奇遇だな、しかし相手がお前ならな」
「課長ならです」
「気軽に話せてな」
「やりやすいですね」
「お互い知った仲だからな」
 それ故にというのだ。
「これはいい取引が出来るな」
「そうですね」
 高田も笑顔で応えた、そうしてだった。
 二人の仕事はお互い知った仲であることが影響して極めて順調に整い二人にとってもそれぞれの会社にとっても満足すべきことになった、それで関係者は誰もが満足したが。
 仕事の後で一緒に飲んでだ、草野は高田に言った。
「金沢に来たらなとは言ったけれどな」
「まさか課長が佐賀に来て」
「それでなんてな」
「思いませんでしたね」
「ああ、けれどな」
 草野は鶏の焼肉を食べつつ言った、佐賀県で有名なチェーン店の中の一つである。
「いい仕事出来てこうして一緒に飲めてな」
「よかったですね」
「だからな」
 それでというのだ。
「それならよしだな」
「そうですね」
「それで金沢のものも美味いが」
 鶏肉を食べながら話した。
「佐賀のものもな」
「美味いですね」
「だからまた来たらな」
「こうしてですね」
「飲もうな、あとな」
 さらに言うのだった。
「お前が金沢に来たらな」
「その時はですね」
「お前がこっちに来る時に言った様にな」
「金沢で飲みますか」
「そうしような」
「今度は」
 鶏の焼肉をビールと一緒に楽しみつつ話した、そしてだった。
 二人はそれぞれの担当として時々会った、時には高田が金沢に行くこともありその時はそこで草野と飲んだ。二人はそれぞれ佐賀でも金沢でも付き合っていった。高田が転職してもそのことは変わらなかった。


転職して再会して   完


                    2024・9・15 
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