金木犀の許嫁
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第三十四話 妹達への提案その七
「若過ぎるわね」
「そうよね」
「そう考えたら結核って忌まわしいわね」
「そうでしょ」
こう妹に述べた。
「そう思わざるを得ないでしょ」
「本当にね」
「だからね」
それでというのだ。
「結核なんてなかったらってね」
「思うのね」
「そうね」
「そうなのね、お姉ちゃんは」
「宮沢賢治さんだって結核だったしね」
この病で命を落としているのだ。
「他にも多くの人がね」
「結核になって」
「それで死んでいるから」
「結核なんてなかったらいいって」
「思ってるわ」
「今は助かる病気になってよかったわね」
「もっとよ」
真昼は妹に悲しい顔になって言った。
「早いうちにね」
「助かる病気になって欲しかったのね」
「そうなの、私は」
「もっと早く」
「宮沢賢治さんも好きだから」
真昼はこの童話作家にして詩人もと言った。
「尚更ね」
「思うのね」
「お二人が長生きしていたら」
結核に感染しても助かってというのだ。
「そうなっていたらって思うから」
「それでなのね」
「結核がなかったら」
そうであったならというのだ。
「それかもっと早く助かる病気になっていれば」
「よかったのね」
「本当にね」
まさにというのだ。
「そう思うわ」
「そう言われたら私も」
夜空は姉の話をここまで聞いて述べた。
「何かね」
「そう思えて来るわよね、夜空ちゃんも」
「ええ」
まさにと答えた。
「結核はね」
「病気は色々あるけれど」
「結核はそうなのね」
「今だと癌ね」
「早いうちに見付かったら助かっても」
「それでもね」
そうであってもというのだ。
「けれど癌も死ぬ人多いし」
「大事な人亡くした人も多いわね」
「だからね」
そうした病気だからだというのだ。
「私今は癌がね」
「嫌なのね」
「そうなの」
「結核はなくなっても」
「人は絶対に死ぬわ」
真昼は夜空に言った。
「もうそのことはね」
「絶対よね」
「命があるなら」
それならというのだ。
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