神々の塔
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第八十一話 老子と孔子その十二
「そこじゃ」
「塔の踏破やなくてですね」
「何故この塔を踏破する」
老子は芥川に問うた。
「答えは出ておるな」
「この世界を救う為の力を得る為です」
「そうじゃ、それがわかっておるならな」
「それならですね」
「よい」
まさにというのだ。
「この塔を踏破することは目的ではない」
「試練ですね」
「力を得る為のな」
「そうですね」
「だからな」
それでというのだ。
「その返答は及第じゃ」
「そうですね」
「それでじゃ」
老子は自分の言葉を続けた。
「その考えでじゃ」
「世界を救うことですね」
「そうせよ、ただな」
「ただ?」
「世界を救って終わりか」
「それでハッピーエンドか」
「そこからも考えることじゃ」
こう言うのだった。
「これからはな」
「世界を救ってからのことをですか」
「そうじゃ」
まさにというのだ。
「これからはな」
「そこまではです」
「考えておらんかったな」
「どうも」
「これからはな」
「世界を救ってからもですか」
「少しでもな」
そうであってもというのだ。
「考えるのじゃ、よいな」
「そうですか」
「そこまでは考えておらんかったな」
「はい」
芥川は正直に答えた、そしてそれは他の面々も同じだった、一行の誰もが確かにという顔で頷いてることが何よりの証だった。
「とても」
「そうじゃな、しかしな」
「これからはですか」
「考えていくのじゃ」
「世界を救ってからどうするか」
「そのこともな」
まさにというのだ。
「考えていくことじゃ」
「これからは」
「よいな、先の先を考えてこそな」
そうであってこそというのだ。
「ことは為せる、そしてその先のこともな」
「為せるのですね」
「そうじゃ、よいな」
「わかりました、では」
「考えていくのじゃ」
「世界を救ってからのことも」
「そうするのじゃ」
老子は微笑んで話した、そうして一行を送った。一行は宿屋に入り休みそうしてまた先に進んでいくのだった。
第八十一話 完
2024・7・8
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