| 携帯サイト  | 感想  | レビュー  | 縦書きで読む [PDF/明朝]版 / [PDF/ゴシック]版 | 全話表示 | 挿絵表示しない | 誤字脱字報告する | 誤字脱字報告一覧 | 

夢幻水滸伝

しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。 ページ下へ移動
 

第三百六十四話 賭けの攻勢その四

 中佐の階級にある森人の男が戦場を見回しフォークナーに言った。
「あの、死傷者を後方に送り」
「そこにも人手が必要ですね」
「死傷者の多くは自分では動けません」
 その理由は言うまでもなかった。
「ですから人手が」
「わかっています」
 フォークナーは中佐に確かな声で答えた。
「そやから皆さんの分までです」
「フォークナー様が戦われますか」
「はい」
 そうするというのだ。
「そうですさかい」
「この場はですね」
「安心してです」
「後方までですね」
「死傷者の方々を送って下さい」
「それでは」
「一人は皆の為に」
 戦場で汗をかきつつだ。フォークナーはにこりと笑って言った。
「皆は一人の為に」
「その精神ですね」
「そうです、ですから」
「今はですね」
「私が引き受けます」
「神具と術で戦われますか」
「はい、そして」
 そうしてというのだ。
「こうした時もです」
「サラマンダーは役に立ちますか」
「広範囲に攻撃を繰り出せるので」
 だからだというのだ。
「敵を足止め出来ます」
「人手が足りない時も」
「そして再び攻撃に転じたなら」
 その時のことも話すのだった。
「やはりです」
「攻撃を行い」
「そしてです」
 そのうえでというのだ。
「敵を倒します」
「そうされますね」
「今は治療と復活です」 
 死傷者が多く出ているからだというのだ。
「ええですね」
「ではそちらに力を入れます」
「その様に、では」
「共に戦いましょう」
 中佐はにこりと笑って応えた、そして彼もまた自分の役割を果たしていくのだった。戦は続いていた。
 スタインベックは戦場で戦いつつ補給物資が多く届くのを見た、そうして将兵達に対して普段より明るい声で言った。
「皆食え!最高のプレゼントが来たぞ!」
「飯ですね!」
「それが来てくれましたね!」
「そや、戦ってるけどな」
 戦塵に汚れた顔で言うのだった。
「こうした時こそな」
「食うことですね」
「それが大事ですね」
「まさに」
「そや、わいも食う」 
 スタインベック自身もというのだ。
「それで皆でな」
「食べることですね」
「そうすることですね」
「これから」
「そや、レーションをな」
 これをというのだ。 
ページ上へ戻る
ツイートする
 

全て感想を見る:感想一覧