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金木犀の許嫁

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第三十四話 妹達への提案その二

「そのうえで結婚して」
「そうしてですか」
「愛妻家だったのよ」
「そうだったんですね」
「そのことを作品にも書いてるわ」
 競馬という作品がそうの様である。
「織田作さんはね」
「夫婦善哉も」
「あれ男の人はそうかも知れないけれど」
 柳吉はというのだ。
「織田作さんもね」
「そうなんですね」
「けれどね」
 それでもというのだった。
「ヒロインはお姉さんがモデルかも知れないわ」
「そうですか」
「そう、織田作さんを可愛がってくれた」
 肉親としてだ。
「その人だってね」
「言われていますか」
「そう聞いてたわ」
「そうですか」
「けれど織田作さんはね」
 彼はというのだ。
「実際に愛妻家で」
「それで、ですね」
「多分お二人でね」 
 その妻と、というのだ。
「大阪のあちこちをね」
「巡っていましたか」
「そうかも知れなくて」
「自由軒や夫婦善哉もですか」
「行っていたかもね」
 こう言うのだった。
「それでよ」
「俺達もですか」
「よかったらね」
 二人がというのだ。
「行ってね」
「楽しめばいいですか」
「難波自体もね」
 この街もというのだ。
「楽しめばね」
「いいですか」
「ええ、だからね」
「今度ですね」
「二人で言ってきたらいいわ」
「そうしていいですね」
「むしろこれからは何も言わないから」 
 それでとだ、真昼は佐京に優しく笑って話した。
「どんどんね」
「行けばいいですか」
「そうよ」
「二人で難波に」
「それで織田作さんに縁のあるお店とかに行って」
「デートをすることですね」
「口縄坂もね」
 真昼は大阪のこの場所も話した。
「あと生國魂神社もね」
 この場所もというのだ。
「縁のある場所で銅像もよ」
「織田作さんの」
「それがあってね、丁度ね」  
 白華を見て佐京に話した。
「白華ちゃんが見た幽霊の姿なのよ」
「そうなんですか」
「帽子にマントにね」
「着流しですね」
「そうしたいかしたね」 
 そうしたというのだ。 
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