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おぢばにおかえり

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第八十三話 回廊ひのきしんその五

「貸したら偉そうに何処が悪いだのいいこと言わなくて」
「貸した本でそれ?」
「受け取っても返しても有り難うなしですよ」
「そこでも感謝しないの」
「挙句は人の部屋に勝手に入って本漁るんで」
「勝手に入ってはないわね」
「それで自分江尾この世で一番偉いって思ってるんです」
 こうも言いました。
「何でか」
「いや、誰も偉くないでしょ」
 私はすぐにこの言葉を出しました。
「あの、別にね」
「誰もですよね」
「偉くないわよ」
 こう言いました。
「それはね」
「おみちでもわかることですよね」
「教祖様より偉いなんてね」
「ないですよね」
「そうよ、他の宗教でもね」 
 おみち以外を見てもです。
「お釈迦様やキリストさんより偉いとかね」
「絶対にないですね」
「それでお話を聞いてたら」
 これは、と思わざるを得ませんでした。
「あんまりよね」
「そうなんですけれどね」
「ご本人はわかっておられないのね」
「ちなみに貸したお金返さないですし」
「そうなのね」
「ひのきしんも進んでしません」 
 おみちにとって欠かせないこのこともというのです。
「全く、注意されても聞かないです」
「更正しないのね」
「何があっても、注意した自分の叔父さんに掴みかかったことも」
「えっ、暴力もあるの」
「殴ってやろうかとも言ったり」
「注意されたらなの」
「そんなのです、いいところなんて」
 それこそというのです。 
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