| 携帯サイト  | 感想  | レビュー  | 縦書きで読む [PDF/明朝]版 / [PDF/ゴシック]版 | 全話表示 | 挿絵表示しない | 誤字脱字報告する | 誤字脱字報告一覧 | 

夢幻水滸伝

しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。 ページ下へ移動
 

第三百六十三話 時は止まらないその十八

「残念に思う時もあるわ」
「どの方もそれぞれの種族の中では美形ですが」
「いや、やっぱり人は顔やないな」
 このことを実感している言葉だった。
「ほんまな」
「そうなのですね」
「顔で人をどうか言うのは最初だけにせんとな」
 そうでなければというのだ。
「下手したら痛い目見るわ」
「人は顔だけではない、ですね」
「中身見んとな」
「性格が大事ですね」
「そや、ただわし等皆個性派やが」
「どの方も素晴らしい方です」
 グリフォンはすぐに答えた。
「まことに」
「わしもか」
「はい、性格も」
「わしは自分ではそう思わんがそう言ってくれるならな」
 メルヴィルは微笑んで応えた。
「ええけどな」
「それならですね」
「ああ、しかしそれでもな」
「性格がよくともですね」
「縁がないとな」
 そうであると、というのだ。
「もうな」
「恋愛は出来ないですね」
「ああ、縁は大事やな」
「これは神霊の導きですね」
「キリスト教でも神様のな」
「左様ですね」
「ほんま縁ないわ」
 メルヴィルは苦笑いで述べた。
「わし等はな」
「どちらの世界でもですね」
「ああ、ただ将兵が恋愛してもな」
「構わないですね」
「軍務に支障が出んとな、同性愛もな」
 こちらもというのだ。
「わし等の中でそっちの趣味のもんはおらへんが」
「構わないですね」
「ええわ」 
 特にというのだ。
「ほんまな」
「そうなのですね」
「ああ、しかもこっちのキリスト教は同性愛に寛容やしな」
 そうした考えに変わったのだ、宗教の教義というものも時と場所によって変わるものであるのだ。それが同じ宗教でもだ。
「それでな」
「それで、ですね」
「ええわ、それで民はどんどんな」
「恋愛をして」
「結婚してな」
 そうしてというのだ。
「幸せな家庭築いて」
「子供を作ってもらいますね」
「そうしたら人口が増えてな」
「国も豊かになりますね」
「そうなるさかいな」 
 だからだというのだ。
「是非な」
「恋愛をしてもらいますね」
「結婚もな、それでわし等も縁があれば」
 その時はというのだ。
「結婚したいわ」
「ご縁があらんことを」
「おおきにな、そう言ってくれるとは自分ええ奴やな」
「そうでしょうか」
「前から思ってたけどな」
 グリフォンに笑顔で話した。
「そやな」
「嬉しいお言葉です」
「事実や、ほな明日から総攻撃かけるし」 
 彼もまたその考えだった、今は戦っているトウェインと同じく。
「それでな」
「もうお休みになられますね」
「そうするわ、寝んとな」 
 そうしなければというのだ。
「やっぱりな」
「満足に戦えませんね」
「そやからな」
 だからだというのだ。
「今はな」
「お休みですね」
「そうするわ」
 こう言ってテントに入って寝るのだった、恋愛や結婚のことを語りながらもやはり今の彼等の頭の中にあるのはまずは戦であった。


第三百六十三話   完


                     2024・7・24 
ページ上へ戻る
ツイートする
 

全て感想を見る:感想一覧