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夢幻水滸伝

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第三百六十三話 時は止まらないその九

「ほんまな」
「そうですね」
「それで向こうも仕掛けてくるが」
 策、ここで言う奇襲をというのだ。
「それをな」
「我々は防いでいますね」
「すぐに見抜いてな」
「そうですね」
「お互いそうしてるわ」 
「互角ですね」
「何もかもがでな」
 質が同じでというのだ。
「ほんまな」
「膠着していますね」
「お互い攻めてもな」 
 そうしてもというのだ。
「それでもな」
「ここまで打つ手がないとな」
 さもないと、というのだ。
「苛立ちを感じるな」
「ですがそれは」
 グリフォンは主の言葉を聞いて即座に諫言した。
「決してです」
「出したらあかんわ」
「苛立ち焦りますと」
「そこからしくじるわ」
「そうなりますので」
 だからだというのだ。
「決してです」
「焦ったらあかんな」
「苛立ってもです」
「落ち着くことやな」
「特にこうした時は」
 膠着している戦局ではというのだ。
「何があろうともです」
「落ち着いてな」
「無理をしてでも」 
「そやな、ちょっと頭冷やすか」 
 トウェインはこう言ってだった、戦局を見つつ。
 グリフォンの背に立って乗ったままで水筒を出した、そしてその中にある水を飲んで一息ついてからまた言った。
「こうしてな」
「お水を飲まれることもいいですね」
「そや、水分補給になるだけやなくてな」
「気持ちを鎮めてもくれます」
「そうもしてくるからな」
 だからだというのだ。
「ほんまな」
「お水を飲むことはいいことですね」
「そや、水はええもんや」
 グリフォンに微笑んで話した。
「こうした時もな」
「左様ですね、では」
「落ち着いたしな」
 水を飲んでというのだ。
「苛立ちが消えたわ」
「そのうえで戦局を見られますね」
「ああ、こうして空から見てもな」
 広大な戦線で双方合わせて三百二十万の軍が戦っている、陸でも海でも空でも。
「全くや」
「膠着しきっていて」
「手出しをしようにもな」
「難しいですね」
「下手にはな」
 そうだというのだ。
「ほんまな」
「そうですね」
「そやからな」 
 だからだというのだ。
「今はな」
「このままですね」
「戦ってな」
 そうしてというのだ。
「機を待つしかないわ」
「そうなりますね」
「この戦はじまってからずっとこんな感じやが」
 膠着してというのだ。 
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