金木犀の許嫁
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第三十三話 二人でいられるならその六
「佐京君も夜空ちゃんもね」
「そちらよね」
「忍術を使って何かをするとか」
「お仕事をするんじゃなくて」
「心身を鍛えてるわね」
その両方をというのだ。
「そうね」
「そうよね」
「幸雄さんも」
真昼は彼のことも話した。
「槍をされてるけれど」
「槍術ね」
「あくまで鍛錬ね」
「そうよね」
「山縣有朋さんみたいに」
明治の元勲の一人だった彼の様にというのだ。
「そうされてるわね」
「確かね」
夜空はその山縣有朋の名前を聞いて言った。92
「あの人も鍛錬で」
「そう、毎日ね」
「槍の鍛錬をしてたのよね」
「幕末が終わってね」
そうしてというのだ。
「もう槍はね」
「完全に武道になったのよね」
「戦場では使われなくなったわ」
「そうよね」
「けれどね」
真昼はそれでもと話した。
「あの人は毎日、毎食後ね」
「槍の稽古をして」
「そしてね」
「鍛錬を重ねていたのね」
「それと同じね」
「二人の忍術も」
「それで戦ったりお仕事にしないで」
そうであってというのだ。
「武道、スポーツだから」
「感情を出しても」
「いいわね」
「そうよね」
「スポーツならある程度でもね」
「感情を出してもいいわね」
「私だってね」
真昼は自分のことを話した。
「テニス部でしょ」
「選手にもなってるしね」
「大会にも出てるわ」
「そうよね」
「そのテニスでもね」
このスポーツでもというのだ。
「やっぱりね」
「感情出るのね」
「あまり怒るとよくないけれど」
それでもというのだ。
「勝って喜んだり負けて悲しんだり」
「そうしたことはよね」
「自然に出るし」
そうであってというのだ。
「悪いとはね」
「思われてないのね」
「そうよ」
まさにというのだ。
「これがね」
「そうなのね」
「スポーツマンシップを守っていたら」
そうであったならというのだ、テニスはスポーツの中でもスポーツマンシップに厳しい競技の一つであろうか。
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