ドリトル先生と奇麗な薔薇達
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第八幕その五
「若い夫婦の恋愛はハッピーエンドでも」
「他のことがね」
「元帥夫人は年齢を感じるし」
「純粋な結婚を祝える作品じゃないからね」
「しかもね」
先生はこうも言いました。
「結ばれる若い二人はどちらも女の人が歌うね」
「そうそう、伯爵のオクタヴィアンも」
「花嫁の銀行家の娘さんのゾフィーも」
「二人とも歌うのは女の人だよ」
「言うなればオクタヴィアンは男装の麗人」
「オスカルさんみたいな」
「ベルサイユの薔薇のね」
先生もまさにと言いました。
「あの人みたいだね」
「そうだよね」
「考えてみたら」
「そうなのよね」
「それがね」
どうにもというのです。
「夫婦の純粋な結婚祝いにはね」
「そぐわないわね」
「考えれば考える程」
「どうにも」
「そうなんだよね」
これがというのです。
「考えれば考える程」
「全くだね」
「そうなるわね」
「これが」
「そうだね、名作であっても」
そうであってもというのです。
「それぞれのことに合う合わないはあるよ」
「どうしてもね」
「それはあるよね」
「どんな作品でも」
「これがね」
「だからね」
それでというのです。
「今回はね」
「銀の薔薇は外して」
「別のものにすべきだね」
「薔薇を贈るにしても」
「それでも」
「そうすべきだよ、そして」
さらにお話する先生でした。
「一つ問題があってね」
「問題?」
「問題っていうと」
「銀自体のね、ほら銀はしょっちゅう手入れしないと」
そうしなければというのです。
「黒ずんでしまうね」
「あっ、そうだね」
「銀はそうなるわ」
「本当にすぐに黒ずんで」
「手入れしないとよく見えないわ」
「だからね」
そうした金属だからだというのです。
「相当時間か人手に余裕がないと」
「銀の薔薇は駄目だね」
「そういえば食器もだしね」
「中国や欧州だと銀の食器を使うけれど」
「お金持ちだとね」
「陶器はすぐに割れるけれど」
それでもと言う先生でした。
「銀だと割れないし」
「いざという時は潰して持って行って」
「後で溶かしてまた食器にすればいいし」
「銀だからそのまま財産にもなるし」
「いいんだよね」
「そう、けれどね」
それでもというのです。
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