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星河の覇皇

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第八十七部第一章 シャイターンの復活その七十

「無念はです」
「思わないことだな」
「そのうえで」
「今もだな」
「ことを進めていきましょう」
「そういうことだな」
「よくわかった、ではな」 
 シャイターンはあらためて言った。
「私はだ」
「その様にされますね」
「困難なぞものともせずだ」
 そうしてというのだ。
「先に進もう」
「今の戦局も」
「そうする、私は預言者ではないが」 
 コーランに出て来る彼等ではないというのだ、イスラムの預言者はムハンマドが最高であり最後であるとされているから当然である。
「しかしだ」
「英傑ですね」
「梟雄と言う者もいるが」
 それでもというのだ。
「そう呼べばいい」
「左様ですね」
「姦雄でも梟雄でも英傑だ」 
 そうなるというのだ。
「そうだ、英雄は一口では言えない」
「左様ですね、イスカンダルも英雄であり」
 アブーも言ってきた。
「そしてサラディンもです」
「英雄だな」
「それぞれタイプは違いますが」
「それでもな」
「彼等は共に英雄です」
「そうだ」
 アブーにも話した、イスカンダルとはアレクンサンドロス大王のことである。
「まさにな」
「左様ですね」
「サラディンは実は奸智も備えていた」
「謀略も使いました」
「彼の人生では実に都合よく邪魔者が消えた」
「そして望む座に就いていきました」
「それは何故か」
 都合よく邪魔者が消えたことはというのだ。
「真実はわからないとされているが」
「謀略ですね」
「そうだ、彼は間違いなくだ」
「暗殺もしていましたね」
「そうして権力の座に就いた」
 アイユーブ朝を開くに至ったというのだ。
「勇敢で知恵にも富んでいて敬虔なムスリムであり」
「無駄な血も避けましたが」
「謀略もだ」 
 これもというのだ。
「使っていた」
「だからですね」
「梟雄というとな」
「そうもなりますね」
「その一面はある」
 間違いなくというのだ。 
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