星河の覇皇

「実にな」
「左様ですね」
「まさにそうなりますね」
「だからですね」
「閣下としても」
「それは行わない」
　今はというのだ。
「それはオムダーマン軍も同じだしな」
「補給ですね」
「それを考慮してですね」
「アバダン星系に集結し」
「補給を整えていますね」
「バスラ星系に拠点をもうけていたが」
　オムダーマン軍はというのだ。
「進撃の間な」
「そこからさらに攻め込み」
「そうしてですね」
「さらにですね」
「入り込んできたので」
「だからだ」
　戦局の推移の結果というのだ。
「そうしてきた、確かにバスラに拠点があれば」
「まだですね」
「補給路が長くなり」
「それで、ですね」
「付け込めた」
　シャイターンにしてもというのだ。
「間違いなくな」
「そうでしたが」
「それでもですね」
「我々としては」
「そうだったが」
　それでもというのだ。
「流石だ」
「アッディーン大統領は」
「そう言うべきですね」
「隙を見せない」
「その進軍は迅速ですが」
「迂闊には進まない」
「補給は頭に入れている」
　これはしっかりと、といいうのだ。
「そして補給に少しでも問題が出るならだ」
「進撃を中止し」
「そうしてですね」
「今の様に拠点をもうける」
「そうしますね」
「これまでを見ればわかる」
　アッディーンの過去の戦いをと言うのだ、オムダーマンを今のサハラの覇権を争う国にするまでのそれをだ。
「まさにな」
「左様ですね」
「これまでそうでしたね」
「急襲を得意としていますが」
「無理のある進撃はしない」
「左様ですね」
「補給に問題があれば基地をもうけてだ」　
　そうしてというのだ。
「その基地を足掛かりにしてだ」
「攻めますね」
「そうしますね」
「特にサラーフとの戦いの時は」
「それが顕著でしたね」
「サラーフ軍は最初撤退した」
　その様にしたことをだ、シャイターンは話した。
「物資を全て持ち施設を破壊してな」
「オムダーマン軍が補給も整備も出来ない様にして」
「そうしてでしたね」
「撤退を続け」
「そしてでしたね」
「補給路が伸びきったところで戦おうとしていましたね」
「それがハラス提督の戦略だった」
　当時サラーフ軍の司令官であり今はオムダーマン軍に所属している彼のというのだ、これはアッディーンの軍略を警戒してのことだった。