空手の才能はなくても
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第一章
空手の才能はなくても
小学五年生の神楽七菜と三年生の七実は姉妹であり共に空手を習っている、だが姉の空手を見てだった。
スポーツジムのインスウトラクターをしている母で空手五段の明星、姉妹に血を受け継がせている面長で霧っとした顔立ちの彼女は言った。茶色がかった黒髪を長く伸ばしポニーテールにしていて長身でスタイルがいい。
「七菜って今一つ反射神経がよくないのよ」
「ああ、だから最近空手は伸び悩んでるのか」
「そう、稽古をしてもね」
夫の和毅に話した、和毅は長方形の顔で黒髪を左で分けていて眼鏡をかけた真面目そうな顔立ちだ。職業はピアノの先生で調律師もしている。背は高く痩せている。
「今一つなのよ」
「七実は順調だけれどな」
「あの娘は空手に向いてる身体なのよ」
「そうなんだな」
「だから伸びるけれど」
七実はというのだ。
「七菜はね」
「これ以上は難しいか」
「伸びるのはね、けれど格闘技好きだから」
それでとだ、母として話した。
「続けさせたいわ」
「じゃあ反射神経が空手よりも必要ない格闘技か」
「空手と比べてね。悪くないけれど」
七菜の反射神経はというのだ。
「空手がこれ以上よくなるにはだから」
「だったら他のをやらせるか」
「ええ、ただ身体は凄く柔らかくて」
七菜はというのだ。
「だからね」
「それでか」
「そう、そうした格闘技をね」
「させるか」
「身体柔らかいならね」
明星はこのことからさらに話した。
「柔道がいいし」
「じゃあ柔道をはじめたらどうかってか」
「言ってみるわ」
「その方がいいか」
「七菜が今より強くなりたいなら」
そう願うならというのだ。
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