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第74話「封印岩盤の全師団に通達!」

 
前書き
ネオ・代表O5−1です。第74話「封印岩盤の全師団に通達!」となります。
どうぞ、ご覧ください。 

 
 寺院内部の中央に位置する、球体状の物体が明減する。

 悲鳴を上げているかのような激しさがあった。一撃で宇宙戦艦の装甲さえも融かす高エネルギーの陽電子ビームが、その球体状の物体に衝突した。

 しかし、それ以上の変化は無かった。
 傷は無く、ただ明減するだけだった。

 「砲身温度、限界に達します」

 「照射を一時停止」

 瞬間、陽電子エネルギーが消える。それと共に、先刻までの激しさは失せ、深呼吸するかのような穏やかさとなる球体状の物体。穏やかな鼓動だ。

 陽電子ビームの照射中止を指示した将軍―――ザンツ・ザバイバルは、球体状の物体―――《テレザリアム》の光景を艦橋内部から見つめていた。

 《テレザリアム》は、惑星テレザートの最大級の島の地下深くに位置していた。寺院内部にしてテレサの聖域、《テレザリアム》。

 テレザート星での栄華は、遥か過去へと消え去った。科学文明を棄てた彼らは聖域を守るためだけに、世代を重ねるだけに過ぎなかった。

 最も、そんな彼らは既にこの世を去った。
 何故ならば、ガトランティスの兵器―――ニードルスレイブによって攻撃されたからだ。

 ニードルスレイブだけではない。

 かろうじて生き残った者達はこの聖域に立て籠もるが、失敗した。分厚く頑丈な扉は赤熱化し、扉は真っ赤になると同時に融けだし、融解した扉からやって来る紅蓮の炎が最奥部を舐めた。

 かつて聖域は緑溢れる植物で覆われていた。長い年月の時を掛けて伸びた樹木の根が壁や天井を覆い、地面には色とりどりの花でいっぱいだった。

 しかし、だ。
 それらの影形はもはや無い。ただ、聖域には球体状の物体だけが残った。陽電子ビームで照射していたのは、球体状の物体の”殻”を破るため。その理由は、球体を破壊すればテレサが現界するからである。

 「いつになれば、殻を破れるのやら…」

 どのくらい時間が経過したことだろう。宇宙戦艦ヤマトが地球を発ってからも、陽電子ビームを浴びせている。

 連続照射には限界がある。砲身が過熱する度に、一定の時間を置かねばならない。テレザート星へ侵攻したその日から繰り返してきたというのに…。

 その時だった。AIの報告がザバイバルの耳に入ってきた。

 「テレザート守備艦隊の壊滅を確認。《ゴーランド・タイプ》、二体とも生命反応を途絶。敵は〈ヤマト〉ではありません、ブリリアンス艦隊です」

 彼は瞑目する。ゴーランド艦隊の壊滅は、自分には想像もしていなかった。それは、ブリリアンスも同様だ。
 しかし、ブリリアンスが来た理由は想像がつく。おそらく〈ヤマト〉と同じく、”呼ばれた”のだろう。

 守備艦隊は、確かに壊滅した。しかし、まだ負けていない。自分が率いる、陸戦師団がいる限りは。

 ザバイバルがいるのは、地上戦艦の艦橋―――《ヘルベスティア》だ。地上戦艦はメガルーサ級をもとに設計、生産された艦種である。
 大気圏内外の往還能力こそ残されているものの、地上での運用に特化された。それにより、空間跳躍機関は排除されている。
 排除されているのは、空間跳躍機関だけではない。メダルーサ級殲滅型戦艦の標準装備でもあった火焔直撃砲と転送投擲機すら、撤去されている。

 最も「戦艦」と称されている通り、一線級の火力は健在。艦橋の正面には艦首大砲塔こと五連装大口径徹甲砲塔が一つ搭載され、八連装速射輪胴砲塔と二連装速射砲塔が後部上甲板を中心に搭載されている他、多数の対空砲が船体各所に装備されている。

 ブリリアンスの目的が〈ヤマト〉と同じであるならば、やるべきことは一つ。―――解放を阻止する、だ。
 瞑目していたザバイバルはカッと見開くと、命令を下した。テレサがどのような結末を見通せようとも、それまでは生命の充実―――生きる望みを味あわせて貰おう。

 「全師団に通達!ブリリアンス艦隊を殲滅!降下してくるであろう地上部隊、そして爆撃隊もだ!奴らの好きにはさせるな!」
 
 瞬間、ダークネス艦隊の艦数を軽く超える―――漆黒のメダルーサ地上戦艦群が動き出した。




ーーーー

現状公開可能な情報:メダルーサ級戦艦改ヘルベスティア


全長:505m
武装
・【データ開示制限】×1(旗艦型のみ)
・艦首大砲塔(五連装大口径徹甲砲塔)×1
・八連装速射輪胴砲塔×3
・二連装速射砲塔×2
・対空砲(八連装高射輪胴砲塔)×16
・艦首兵器×9
補助装備
・艦載機×12機/ニードルスレイブ×(多数)

概要
ザンツ・ザバイバル指揮下のテレザート星陸戦師団に配備された地上戦艦で、メダルーサ戦車とも称されている。
通常兵装や基本艦体構造などはメダルーサ級に準じており、艦橋に配備されたAIによって完全自動運用されている。
補助装備として、艦載機とニードルスレイブを多数搭載されている。足回りは履帯や装輪式でなく、地面から浮遊して超低空での移動形式である。

簡易型戦艦にして亜種艦艇であるメダルーサ級戦艦改ヘルベスティア。造艦計画を変更されたこのヘルベスティアだが、断じて「必要無くなったからサヨナラ♪」ではないことは明記しておいていただこう。 
 

 
後書き
さてさていかがだったでしょうか。至らないところもあるかと思いますが、温かい目で観ていただけると嬉しいです。ご意見、ご感想お待ちしております。次回もお楽しみに!  
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