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金木犀の許嫁

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第三十話 夢で会ってその一

               第三十話  夢で会って
 白華はまだパジャマ姿だった、その姿で自分と同じまだパジャマ姿の真昼と夜空にこんなことを言った。
「夢で伊藤さんにお会いしました」
「あら、そうなの」
「昨日の夜私達とお話したら」
「写真のままの人が出て来まして」
 そうしてというのだ。
「可愛いのうといきなり言われました」
「気さくにかしら」
「一切飾らないで」
 そうであってろいうのだ。
「よおとかいう感じでご自身からです」
「来たのね」
「白華ちゃんの前に」
「それで河豚を食べないかって口説かれました」
 そうされたというのだ。
「これが。それでお店に入りまして」
「河豚食べたの」
「そうだったの」
「そうでした、大阪の」 
 この街のというのだ。
「道頓堀の」
「ああ、あそこね」
「あのお店ね」
「紅白のおじさんのお人形に」
 道頓堀名物のというのだ。
「大きな蟹の看板も見て」
「まさにあそこね」
「道頓堀ね」
「それで河豚の看板のお店に入りまして」
 そうしてというのだ。
「河豚のコースを食べました」
「伊藤さんと一緒に」
「そうしたの」
「それは面白い夢ね」
「伊藤さん河豚と縁あるし」
「それで伊藤さん白ワインを飲まれて」
 そうしてというのだ。
「私にも飲んでどんどん食べろと言われて」
「白華ちゃん飲んだのね」
「そして食べたのね」
「白ワインを飲んだのですが」
 この酒をというのだ。
「伊藤さんと同じ」
「白華ちゃん甘いお酒好きだけれど」
「それが甘くて」
 そうした味でというのだ。
「美味しかったです」
「そうだったのね」
「はい、そして」 
 それでというのだ。
「河豚もです」
「美味しかったのね」
「お鍋もお刺身も唐揚げも」
 コースのそれもというのだ。
「美味しくて」
「よかったの」
「それでデザートのバニラのアイスもいただきましたが」
 それでもというのだ。
「満足したところで」
「どうなったの?」
「伊藤さんに口説かれると思いましたら」
 女好きとして有名な彼にというのだ。
「学生さんは勉強しろと言われて」
「それでなの」
「お店を出まして」
 そうしてというのだ。
「そこでお別れしまして」
「それでなの」
「そこで目が覚めました」
 そうなったというのだ。
「今さっき」
「そうだったのね」
「そうそう、伊藤さんがね」
 夜空が言って来た。 
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