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第12話「元地球人と出会ったギルド長」

 
前書き
ネオ:代表05−1です。第12話「元地球人と出会ったギルド長」となります。
どうぞ、ご覧ください。 

 
 アルポ銀河を我がギルド勢力図に組み込んでから、今日で1年が経過した。クロインと遭遇して以降は幾度となく戦いあったが、それも終わった。我がギルドは平和を謳歌している真っ最中である。いや〜、平和って良いな。

 とはいえ、だ。

 外部―――アルポ銀河系外より未知勢力がやって来たら大変だ。いや、もしかしたら本拠地であるサニー星系まで乗り込んで来るやもしれない。

 ギルド長は備えた。本当であればアルポ銀河を旅したい気持ちがあったが、旅したい気持ちを抑えに抑え、彼女は備えた。

 銀河の至る場所に艦隊を配備させた。
 造船所がある惑星軌道上に艦隊を配備させ、惑星の大地に建設された造船ドックには地上戦力を配備。

 だが、最も守りが固く、そして最も攻略が困難であろう一つの惑星が存在する。その惑星はサニー星系第3惑星である、〇〇〇〇〇〇星と名付けた地球瓜二つ惑星。

 〇〇〇〇〇〇・ギルドの本部が置かれている本星の守りは、鉄壁だ。本星の周辺には〇〇〇〇〇〇・ギルド艦隊―――合計1304隻が布陣。

 本星の周辺に展開する艦隊、その内訳についての各艦級ごとの総計が、これだ。


 ・エリスl級改 機動打撃駆逐艦350隻
 ・エリスl級改 重砲駆逐艦250隻
 ・プレデター級改 戦闘機搭載巡洋艦250隻
 ・イオ級改 イオン砲型巡洋艦200隻
 ・スタースイーパー級改 TEイオン砲巡洋艦200隻
 ・エターナルストーム級改 攻撃巡洋戦艦50隻
 ・エターナルストーム級改 /指揮官級4隻


 どの艦艇も改装がされている為、重粒子砲・シールドを標準装備している。その中でも最も強力な艦種が4種類、本星防衛艦隊に含まれていた。

 一つは、イオ級改 イオン砲型巡洋艦。
 一つは、スタースイーパー級改 TEイオン砲巡洋艦。
 一つは、エターナルストーム級改 攻撃巡洋戦艦。
 一つは、エターナルストーム級改 /指揮官級。

 艦の形状に違いはあれど、どの艦も共通して大型の砲口を艦首に備えており、船体そのものが砲身という設計は、強力な火力を誇った砲撃を遠距離に飛ばす設計となっている。
 
 クロインの機関を模倣し造られた機関を内奥に宿している本星防衛艦隊だが、イオ級改・スタースイーパー級改・エターナルストーム級改から放たれる攻撃は素晴らしいの一言。

 しかしながら、エターナルストーム級改 /指揮官級は特別だ。
 我が軍の動力源である機関はクロイン艦をもとに量産され艦艇の内奥に宿している一方、エターナルストーム級改/指揮官級はオリジナルの機関を内奥に宿している。量産型機関はオリジナルの機関と比べると、性能は劣る。オリジナルの機関―――【〇〇〇〇〇〇・ドライブ】は厳しい重力環境のもとで開発されており、量産型機関と比べると、オリジナルの機関のほうが圧倒的な性能を誇る。

 現にスイキ防衛線(最前線)での戦いでは、〇〇〇〇〇〇・ドライブより作り出した【〇〇〇〇〇〇・フィールド】は、敵連合艦隊から繰り広げられる艦砲射撃その一切の砲撃を、新防御兵装フィールドは破られることなく、余裕に防御してみせた。

 そんなエターナルストーム級改 /指揮官級が4隻も居る。

 艦隊は以上だが、何も艦隊だけで本星を守っている訳ではない。
 惑星軌道を移動する旧本部移動要塞も防衛の任に就いている。旧本部移動要塞は惑星と同じく球状となっており、直径は50km。無数のタレットや対艦ミサイル・対空ミサイル、そしてシールドで防御された旧本部移動要塞は、〇〇〇〇〇〇・ギルドが保有する唯一の天体兵器だ。
 
 立派に建てられた要塞基地―――本部は本部上空を覆うようにして偏向シールドが展開されている為、仮に本星防衛艦隊が敗れ敵艦隊による軌道爆撃がされたとしても、問題なく防御することが可能。

 偏向シールドによる防御だけではなく、本部から攻撃することも可能。攻撃が可能な理由は存在する。その理由は地上設置型砲台―――【Vー150プラネット・ディフェンダー】が存在するからだ。

 【Vー150プラネット・ディフェンダー】。
 この兵器は惑星軌道に居る敵艦を攻撃する為に設計された地上設置型砲台であり、巨大な球状が特徴な兵器である。イオンEMP砲から放たれるビームは、一撃のもと艦艇を行動不能状態にする。Vー150プラネット・ディフェンダーの最適射程距離は四千キロメートルで、最大射程距離は十八万キロメートル。この兵器は、本体設置部から約40m下に埋設されたパワージェネレーターから動力を得ている。

 この兵器と本部を守る偏向シールドがある限り、安泰だ。

 とはいえ、念には念を。
 本部とその周辺には地上戦力がこれでもかと展開している。本星の守りは安泰だな。

 ―――〇〇〇〇〇〇・ギルド本部、司令部。

 「報告、重力波ヲ探知シマシタ」

 司令部は今、警報で満ちていた。
 B1バトルドロイド達が動き、己の仕事に集中していた。
 
 「重力波だと、それは何処だ?」

 司令官席に座る黒髪赤眼の女性―――ギルド長は問う。平和って続かないものだな。

 「本星―――〇〇〇〇〇〇星宙域デス」

 「重力波ヲ確認―――」

 ギルド長は、B1バトルドロイドから報告される重力波の正体を察していた。恐らく、いや確実にワープアウト反応だろう。

 「―――ワープアウト反応デス。コノ反応は未確認デアリマス」

 やはりワープアウト反応か、ギルド長は顎を撫でた。
 それにしても未確認か、外部勢力であるのは間違いない。我がギルドは、今ではクロイン含めた勢力を勢力図に組み込み、今では異星人の技術を取り込んだが、必ずしも勝利の一方通行という訳でもなかった。WOSの要塞と技術が無ければ、転移後の私は何処かで死んでいただろう。

 「数は?」

 「数ハ1ツデス」

 1つ、…つまり1隻か。
 ギルド長はスクリーンに視線を移す。

 「未確認艦、現宙域にワープアウトシマス」

 B1バトルドロイドから報告された瞬間、漆黒の艦が姿を現した。漆黒の艦を映しているスクリーン。現宙域に出現した漆黒の艦はアルポ銀河に存在する勢力の艦船設計とは異なっており、それはWOSの艦船設計も同じ。アルポ銀河の外からやって来たのは、正解だったか。

 漆黒の艦は被弾面積が多い設計だった。かの艦の全長は、エターナルストーム級改/指揮官級どころか航空母艦すら優に上回っている。やはり、宇宙は広い。

 「本星防衛艦隊、シールド・フィールドを展開。本部シールドは展開を維持しつつ最大出力へ。Vー150プラネット・ディフェンダー、出現した漆黒の艦をロックオン、その後は指示あるまで待機せよ」

 ギルド長は、現れた漆黒の艦に対応する姿勢を見せた。司令部は慌ただしくなり、通信が至る所から行き交う。攻撃はしない。攻撃するしないは、相手の出方次第だ。

 勝てるか負けるか、それは分からない。

 「ギルド長。不明艦ヨリ通信ガ。回線ヲ開キマスカ?」

 「応じる。回線を開け」
 
 ギルド長は許可した。
 許可したと同時に司令部のスクリーンに砂嵐のようなノイズが走り、漆黒の艦の主であろう者が映し出された。

 腰まである黒い肩掛けマントを背負い、黒い装甲服と素顔を一切晒さない黒ヘルメットに身を包んだ一人の人物。身体のシルエットからして女性であるのは間違いない。そのマスクから発せられる暗く重い声音に、ギルド長は思わず身構えてしまう。

 『話がしたい』
 
 「話?」

 いったい、どんな話なのか、ギルド長には検討もつかなかった。彼女は警戒心を解くことなく、聞く姿勢をとる。

 『貴様は地球人だろう?』

 その言葉に、ギルド長は一気に緊張が走った。

 『貴様は〇〇〇〇〇〇の長、〇〇〇〇〇だろう?』

 ギルド長は緊張が高まったと同時にゾクリっと悪寒が走った。ギルド名はともかく、何故、私の名前を知っている。常に本部に居るし、外には出ていない私は間違いなく姿を晒していない筈だ。何故だ…。

 警戒心を露わにするギルド長を僅かに見つめた黒い女性は、ヘルメットの黒い双眸から僅かに覗く紫の瞳を彼女に向けた。

 『私の名はスノウ。元地球人だ』

 「ふぁ!?」

 ギルド長は絶句したが、直ぐに力強い眼光で睨みつけた。よくもまぁ、そんな嘘を。己は決して振り乱すことなく、この女の嘘と本性を暴いてみせる――!
 
 『宇宙人、信じてはいたが、まさか実在していたとは。その宇宙人に転生した私が言うのもなんだが』

 「本物だ!魂が籠もったその言葉に嘘偽りがない!!」

 『地球は青かった』

 「同郷だ!!!」

 即振り乱れた。

 ギルド長は黒い女性を本部に招き、直接の話し合いをした。危険?疑え?そんなものは知らん。
 なんでも元地球人の黒い女性スノウは統率機関―――連邦なる組織に属しているようで、それなりの地位に就いているようだ。

 地球の所在は分かるかどうかを確認すると、黒い女性は分からないと首を横に振った。

 話題を変え、転生する前は何をしていたのか、転生した経緯を黒い女性は語りだした。
 どうやら彼女もWOSをやっていたらしく、初期の頃から妹と共にプレイしていたらしい。最も自分は仕事の関係で忙しく、家であまり妹と居ることはなかったが、妹はまるで太陽のように眩しく、彼女にとって生き甲斐だったそうだ。

 ギルド長も、現実世界に転移する前に何をしていたのかを語った。
 姉が居て、姉はいつも貴様・お前と常に上から目線だが、不器用ながらも優しく接してくれる姉が大好きだったこと。WOSを初期の頃からやっていて、サービス終了日に何故かWOS世界から現実世界に転移してしまったこと。

 お互いに沢山、話を交わした。

 「…お前にとって、姉とは何だ?」

 黒い女性が去り際に、そうギルド長に問うた。質問の意味が分からかったが、ギルド長は首を傾げながらも笑みを浮かべ彼女に返答した。

 「不器用ながらも優しく接してくれる、大好きな姉だ」

 先程も言ったろう、と呆れながらツッコミを入れたギルド長。
 姉とは何だの質問の返答を聞いた黒い女性は「そうか」とだけ呟き、彼女は本部から立ち去った。

 こうして、スノウと顔を合わせるごとに、親しい仲へとなったのだった。 
 

 
後書き
現状公開可能な情報:トーラス級パルス砲駆逐艦

全長:520m
艦色:薄いカーキ(薄い緑)
最高速度(大気中)1200km
ハイパードライブクラス:1.5
装甲:中量級通常装甲、対ビームコーティング
防御:シールド
武装
・艦首大型パルス砲x1
・連射パルス砲x3

概要
 フルエネルギー兵器―――光学兵器のみを装備した駆逐艦。艦首に大型パルス砲を装備し、精密な大型機械照準機構を備え、各目標に対し強力な攻撃を出力可能。また、連射パルス砲を装備しており、連射パルス砲は対空・対艦と分けることが出来る。

 優れた生存能力を有している本級は、生産技術が成熟しており、生産コストが手頃。

 *インフィットラグランジュと呼ばれるゲームの艦船です。コピーして検索すると、

ーーー
本話にあった「〇〇〇〇〇〇・ギルド」の〇は、次回以降より明かされます!
さてさていかがだったでしょうか。至らないところもあるかと思いますが、温かい目で観ていただけると嬉しいです。ご意見、ご感想お待ちしております。次回もお楽しみに!
 
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