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星河の覇皇

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第八十七部第一章 シャイターンの復活その四十七

「やるべきことがある」
「その領分は越えてはなりません」
「下士官や兵に指示は出しても介入は出来ません」
「彼等には彼等のやるべきことがあります」
「ですから」
「そこは口を出さずだ」
 そしてというのだ。
「やっていくべきだからな」
「それが軍というもので」
「そして士官ですね」
「兵士達のことには口を出さず」
「然るべき者達に任せる」
「それがあるべき姿です」
「平民にあれこれ言ってはならない」
 大佐は貴族としてこうも言った、実は彼は男爵家の次男であり軍人として身を立てているのである。
「そうだな」
「それも貴族です」
「平民には寛容であれ」
「その文化には口を出さない」
「悪事は咎めてもです」
「その暮らしは尊重しなくてはなりません」
「貴族は国と民を護るものだ」
 大佐はこうも言った。
「それで害するなぞだ」
「言語道断です」
「あってはならないことです」
「むしろ平民の多少のことは大目に見る」
「それが貴族です」
「そうだ、そしてだ」
 大佐はさらに言った。
「やはり下士官や兵士達のことはな」
「彼等に任せて」
「そしてですね」
「一任する」
「我々は場所等を提供するのみですね」
「そうする」
 大佐はこの一言で話を終えた、そしてだった。
 自分のコーヒーを一口飲んでこんなことを言った。
「実は軍務省から連絡があった」
「軍務省からですか」
「そうなのですか」
「モンサルヴァート閣下が言われているそうだ」
 軍務大臣である彼がというのだ。
「ティムール軍の動きがおかしいとだ」
「そうなのですか」
「ティムール軍がですか」
「そう言われているのですか」
「そうらしい、我々の報告を聞いてだ」
 観戦武官達のそれをというのだ。
「そしてだ」
「そのうえで、ですか」
「閣下が言われていますか」
「そうなのですか」
「何でもな、ティムール軍の動きが落ちているとだ」
 その様にというのだ。
「言われているそうだ、タンホイザー閣下もだ」
「宇宙艦隊司令長官のあの方もですか」
「そう言われていますか」
「ティムール軍の動きが落ちている」
「そうだと」
「全体的な采配がな」
 それがというのだ。
「僅かであるがその質がだ」
「落ちている」
「左様ですか」
「私はそうは思いませんが」
「私もですが」
「私もだ」
 かく言う大佐もだった。 
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