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第5話「やられたらやり返す、私の好きな言葉です」
前書き
ネオ•代表05-1です。第5話「やられたらやり返す、私の好きな言葉です」となります。
どうぞ、ご覧ください。
「第一種戦闘配置、直ちに出現した敵〈クロイン〉艦隊を撃滅せよ」
「ラジャラジャ、第一種戦闘配置」
造船状況や資源備蓄に艦隊の様子といった様々な情報がスクリーンに映し出されていたが、第一種戦闘配置と同時に、スリナム星宙域に関する情報が次々と表示される。
その内の一つは敵は敵で味方は味方で別れている陣営と分かりやすく映し出され、それはさながら盤上の駒のように、スクリーンに映し出されていた。
「アルファ艦隊、ブラボー艦隊、チャーリー艦隊ハプロトコルに従イ、〈クロイン〉艦隊ヲ撃沈セヨ」
アルファ、ブラボー、そして1週間程前より増援として駆けつけたチャーリー艦隊はプロトコルに従い、〈クロイン〉艦隊を撃沈せんと行動を始めた。
「アルファ艦隊ハ右翼に展開、ブラボー艦隊ハ左翼に展開、チャーリー艦隊ハ中央に展開」
まず動いたアルファ艦隊は右翼側に展開し、ブラボー艦隊も同様に左翼へと展開、チャーリー艦隊は中央に艦隊を配置。
「艦隊、交戦準備ガ完了シマシタ」
艦隊は艦を大きく上回る大きさを誇る観測ステーションを背に、〈クロイン〉艦隊を相手する。
「敵〈クロイン〉艦種識別ガ完了シマシタ、スクリーンに映シマス」
そんな中〈クロイン〉の艦種識別情報、構成されるその戦力情報がスクリーンの一角に表示された。
「艦種識別、…600m級ガ8隻、400m級ガ42隻。以上デス」
スリナム星宙域に展開する味方の戦力情報も、同じくして表示された。
内容は以下の通り…。
ーーーー
【スリナム星宙域に展開している艦隊内容情報】
・FG300型装甲フリゲートx25
・FG300型多用途フリゲートx20
・ルビー級重量防御フリゲートx25
・マーレトランキリタティス級ミサイルフリゲートx15
・レリアット級高速魚雷フリゲートx20
ーーーー
以上が、その内容である。
スリナム星宙域に侵犯した〈クロイン〉艦艇数が丁度50隻に対し、此方は百五隻。
数だけみれば〈クロイン〉に勝っているが、相手が相手。
心配なところだ。
「敵〈クロイン〉前衛艦隊、友軍ノ前衛艦隊ヘノ砲撃開始」
味方が砲撃するよりも先に〈クロイン〉が前方に展開する味方艦隊へ、二連装主砲から白いビームを放つ。
「アルファ艦隊、ブラボー艦隊、チャーリー艦隊、砲撃ヲ開始シマシタ」
〈クロイン〉に負けじと、ギルド艦隊は〈クロイン〉艦隊へ砲撃し、ミサイル搭載艦からミサイルが一斉に発射される。
「敵〈クロイン〉、シールドヲ展開シタ模様」
「シールド、か」
〈クロイン〉艦隊は青いシールドを展開した。
そう、シールドを、だ。
ファーストコンタクトでは展開していなかったシールドを、二度目以降はシールドを展開してきた〈クロイン〉。
そう、厄介な事に〈クロイン〉はシールドを保有している。
流石は宇宙人と評するべきか。
現代ではまだ理論すら無い防御兵装であるシールドを、全ての艦艇に装備している。
やはり、宇宙人は油断ならない存在だ。
「ア〜、ブラボー艦隊ハ戦力ガ少ナイヨウデスガ」
「ふむ…」
確かにと、彼女は頷く。
ブラボー艦隊は戦力が少ない。
戦隊規模の艦隊であり、少なくとも12隻は基本となっている
増強し二度目以降は24〜36隻となったが、この戦いで既に半数以下となってしまった。
このままこの布陣を継続してしまえば、艦隊に穴を開けてしまう恐れがある。
それは何としてでも避けたい。
「艦隊を左右に展開し、敵〈クロイン〉艦隊を2つの方向から叩け」
「ラジャラジャ」
左右に展開させ、敵艦隊の砲火を分散する。
これで〈クロイン〉は、中央と左右から相手取る羽目となる。
シールドは確かに厄介だ。
しかし、”厄介”、なだけだ。
「600m級〈クロイン〉に集中砲火」
シールドは無敵ではないし、限界もある。
〈クロイン〉が展開しているシールドは、WOSのシールドと同一であるのか違うのか、それは定かではない。
だが少なくとも、〈クロイン〉が展開しているシールドは実弾兵装に弱いのは確かだ。
「敵前衛艦隊600m級、シールド完全剥離」
「同600m級、〈クロイン〉ヲ1隻撃沈」
「同ジク、600m級〈クロイン〉ヲ1隻撃沈」
したがって、そのシールドを剥ぎ取れば此方のものだ。
次々と戦果を挙げる中、遂には〈クロイン〉前衛艦隊18隻を全滅させるに至り、更には中衛艦隊16隻の内の半数に加え、600m級〈クロイン〉を全て撃沈した。
しかし、我が艦隊の被害がないわけではなく、大きな被害を貰ってしまった。
数にして、40隻ちょっと。
3分の1ものフリゲート艦が撃沈された他、小破された艦艇も多数あり、決して無視出来ない被害だが、ルビー級防御フリゲートは他と比べて被害は少ない。
残存する〈クロイン〉掃滅はそう時間は掛からない。
そう思った時だ。
観測ステーションから通信が要塞司令部へ入ったのは。
「ギルド長閣下、報告ガアリマス」
「何だ?」
「観測ステーションガ重力波ヲ探知シマシタ」
重力波。
それを聞いた彼女は、重力波の正体を察した。
間違いない。重力波の正体は、……ワープアウト反応。
「5秒後、敵〈クロイン〉艦隊後方にワープアウトシマス」
その報告と同時に、〈クロイン〉艦隊後方にワープアウト反応が確認され、百隻を超える艦隊が通常空間に姿を現した。
その艦影は今も戦っている敵艦隊と同一の存在、…〈クロイン〉だった。
「艦種識別、…600m級〈クロイン〉21隻、400m級〈クロイン〉79隻。以上デス」
「アルファ、ブラボー、チャーリー艦隊、後退ヲ開始」
彼女はワープアウトした〈クロイン〉全てを注視する。
遂にやって来たか、…”本隊”。
形勢は逆転し、優勢であったギルド艦隊は劣勢と化した。
「…フフフっ」
確かに、確かに劣勢となった。
背中こそ見せてはいないが艦隊は後退を始め、〈クロイン〉は我がギルド艦隊を追撃せんと速度を上げつつ真っ最中。
このまま行けば、勝利は〈クロイン〉であることは間違いない。
「増援艦隊、味方艦隊後方にワープアウトシマス」
宇宙人。
地球には有名な構文がある。
私は好きだ。だから、笑みを浮かべて言ってみようと思う。
ーーーやられたらやり返す、私の好きな言葉です。
後書き
さてさていかがだったでしょうか。至らないところもあるかと思いますが、温かい目で観ていただけると嬉しいです。ご意見、ご感想お待ちしております。次回もお楽しみに!
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