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夢幻水滸伝

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第三百六十話 台風の如くその十

「かなりです」
「痛くて冷たくなって」
「最悪と言っていいまでに」
 オークの中佐ははまたこう言った。
「嫌な気持ちを味わいます」
「それが死やねんね」
「そして復活する時も」
 この時もというのだ。
「死んだ時の激痛それにこの上なく酷い悪寒を感じ」
「復活するんやね」
「ですから」
「死ぬのはよくないんやね」
「二度とです」
 それこそというのだ。
「死にたくないとです」
「思える位やねんね」
「そうです、寿命で死ぬのならいいですが」
「途中で死ぬのはやね」
「絶対にです」
 何があっても、そうした口調での言葉だった。
「そう思える位です」
「そうやねんね」
「はい、それが死です」
「ほな死なへん様に」
 エリカはこの話も聞いて言った。
「せなあかんね」
「復活出来ても」
「そうせんとね」
「駄目ですね」
「そやね、ほな命は大事にやで」
 エリカはあらためて言った。
「乗艦してても搭乗してても」
「どちらにしてもですね」
「まず死なへん」
「そのことを大事にしてですね」
「戦っていこね」
「そうですね、では」
「戦っていこね」
 こう話してそうしてだった。
 エリカは実際にダメージコントロールと将兵の命を重視して戦い続けた、海戦は五分と五分で戦っていってだった。
 日が暮れた、ここでメルヴィルもトウェインも戦闘中止を命じた。そうして両軍は戦闘を終えて兵を退けたが。
「互角か、何処も」
「はい、そうでした」
「申し訳ありません」
 ボームとホーソーンがメルヴィルに答えた、今東部の星の者達は艦隊の旗艦の中で共に食事を摂っている。まずはスパゲティカルボナーラを食べている。
「攻め切れませんでした」
「敵の戦線を突破出来ませんでした」
「死傷者と破損した兵器は全て回収しましたが」
「戦局は変わっていません」
「そうか、こっちも互角やった」
 メルヴィルも言った、その右手にはフォークがある。
「ほんまな」
「昨日と同じくですね」
「戦局は互角でしたね」
「そやったな、二日間戦っても」
 それでもというのだった。
「残念やけどな」
「互角のままですね」
「戦局は変わってへんですね」
「長引くのはな」
 戦がとだ、メルヴィルは苦い顔で話した。
「ほんまな」
「望ましくないですね」
 エミリーが言ってきた。 
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