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夢幻水滸伝

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第三百六十話 台風の如くその九

「落ち着いてすぐに帰還する、墜落するんやったら」
「着水することですね」
「艦載機は浮かぶので」
「だからですね」
「ちゃんと艦隊に連絡してな」
 このことも怠ってはならないというのだ。
「救助を待つんや、救助隊も送る」
「そうしてですね」
「パイロットを助けますね」
「艦載機も回収しますね」
「今は無理でも」
「ホーソーンちゃんは強い」
 彼が優れた水軍指揮官であることも認めた。
「ほんまな、そやから勝てへん」
「エリカ様ではですね」
「ホーソーン様には勝てないですか」
「そうなのですね」
「そやけどな」
 それでもというのだ。
「負けへんことは出来る」
「それで、ですね」
「今はですね」
「負けない様にしますね」
「そうした戦をしますね」
「そやで、そやから」 
 だからだというのだ。
「ここは守りきるで」
「わかりました」
「それではですね」
「このまま戦いますね」
「守りに徹して」
「艦艇は沈まへんで動けて攻撃が出来たら」
 そうであればというのだ。
「それでや」
「戦えるので」
「だからですね」
「ダメージコントロールは徹底する」
「そうしていきますね」
「攻撃を受けても慌てん」
 絶対にというのだ。
「艦載機もやで」
「被弾してもですね」
「生きることですね」
「大事なのは」
「若し着水した時にモンスターが来そうでも」 
 それでもというのだ。
「ちゃんとモンスターを退ける道具もコクピットにあるし」
「それを使ってですね」
「そうしてですね」
「それで、ですね」
「命を大事にしもらうで、復活出来ても」
 それでもというのだ。
「死んだら痛いし」
「はい、それはです」
 死んだ経験のある者が答えた。見ればオークの女で階級は中佐である。猪の顔で目が実に奇麗である。
「実際にです」
「痛いんやね」
「死ぬ時に激痛が走り」
 そうなりというのだ。
「多くの血が流れます」
「戦死かいな」
「はい、血が流れ寒さも感じ」
 痛みと共にというのだ。
「最悪と言っていいです」
「そうしたもんを味わうんやな」
「私は頭部に銃弾を受けて死にましたが」
「即死やったか」
「一瞬でもです」
 それで死んでもというのだ。 
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