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八条学園騒動記

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第七百六十三話 餓鬼の姿その三

「それはか」
「はい、嫉妬故にです」
「言っていたのか」
「人は何かを必死にしていますと」 
 そうであるならというのだ。
「嫉妬する暇もです」
「ないか」
「はい、ですが」
 それでもというのだ。
「努力していない人はです」
「嫉妬する暇があるか」
「ですか」
「今話している奴はだな」
「嫉妬深くもです」
「あったんだな」
「はい」
 そうだったというのだ。
「これが」
「いいところなぞないな」
「というか今セーラが言ったの七つの大罪だけれど」 
 エイミーはこのことに気付いて言った。
「そちらから見ても」
「酷い人ですね」
「七つのうち六つがかなり強かったのね」
「好色は然程ではなかったですが」
「後の六つがなのね」
「そうでした」
「しかもあらたまらなかったのね」
 エイミーは眉を顰めさせた。
「ずっと」
「そうでした」
「そのうちのどれが一番酷かったのかしら」
「どれもでした」 
 セーラはエイミーのその疑問に答えた。
「怠惰、嫉妬、強欲、大食、憤怒、傲慢と」
「六つ共だったのね」
「誰が何を言っても働かず」
「ただ怠けてるだけで」
「そしてすぐにひがみ悪く言って」 
 そうしてというのだ。
「嫉妬し図々しく借金もして」
「自分はいい暮らししてたの」
「お金がないことを見れば」
「そういえばいい煙草吸って」
「服もいいものでした」
「それじゃあ強欲ね」
 エイミーもそうなると頷いた。
「確かに」
「そして大食、憤怒、傲慢は」
「言うまでもないわね」
「ですから親戚の人達にです」
 近い彼等にというのだ。
「誰からも嫌われ人間のバケモノとまでです」
「人間の?」
「おそらく身体は人間ですが」
「ああ、心がね」
「そう言われていたかと」
 そうだったというのだ、セーラはその人が身体も餓鬼となったその写真を観つつ言った。自分が餓鬼道に行って撮ったそれをだ。
「どうやら」
「そうなのね」
「そうです、まことにです」
「あまりにも浅ましく卑しくて」
「バケモノつまり餓鬼にです」
「なったのね」
「そして言われたのです」
 親戚達にというのです。
「そうなりました」
「本当にどうしようもない人ね」
「尚こうした人はごく稀です」
 セーラはこうも話した。
「世の中沢山の人がいますが」
「そこまで酷い人は」
「そうです、餓鬼になる人は」
「ごく稀ね」
「はい」
 あくまでというのだ。 
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