神々の塔
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第七十六話 大天使その九
「しかしな」
「そこまで嫌われてたな」
「しかもその末路はな」
「あの人自殺したな」
「逃げきれんでな」
そうであると自分が判断してだ。
「長い間生死不明やったが」
「生き残ってるとも言われてたな」
「それがな」
DNA鑑定という科学によりわかったのだ。
「判明した」
「自殺したってな」
「末路はそうやった」
「悪事を重ねてやな」
「権力を私物化してた」
ボルマンはそうした輩であったのだ。
「それでや」
「悪事を重ねて」
「そうなった、ベリヤもな」
「同じやな」
「こいつはもっと酷かった」
スターリンの側近中の側近だった彼はというのだ。
「人生そのものがや」
「悪事やな」
「ええことなんてな」
それこそというのだ。
「一切や」
「せんでな」
「その末路はや」
「処刑されてやな」
「終わりやった」
そうだったというのだ。
「泣き叫んで命乞いしたとかな」
「言われてるな」
「まだ前任者達はな」
ヤゴーダやエジョフといった面々だ、スターリンの頃は粛清を行う秘密警察のトップも安泰ではなかったのだ。
「最後は神を信じたりお母さんのことを心配したりしてな」
「処刑に挑んだな」
「そう言われてるわ」
二人とも泣き叫んで死んだというがどうも真実はそうであるらしい。
「まだましやった」
「ベリヤよりはな」
「その行いもな」
ヤゴーダ、エジョフのそれもというのだ。
「仕事でよおさん人を殺したがな」
「スターリンの命令やな」
「あくまで担い手でな」
「主犯はスターリンやな」
「そうであってな」
「私利私欲で人は殺してへんな」
「そやったからな」
だからだというのだ。
「自分等も粛清されてな」
「因果応報といえばそうなるな」
「そやけどベリヤと違ってや」
「私利私欲で人は殺してへん」
「しかしベリヤは違った」
この輩はというのだ。
「知ってるな、胸糞悪い話ばかりや」
「女の子は言いたくないな」
「人としてな」
それこそというのだ。
「認めたくない」
「そこまでのもんやな」
「腐れ外道や」
シェリルは吐き捨てる様にして語った。
「ほんまな」
「ベリヤはそやな」
「人ですらない」
こう言い捨てるまでにというのだ。
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